婿入りって?
嫁入りと婿入り、2つの形態がある結婚。結婚というと、おおよその人が嫁入り婚を想像するのではないでしょうか?
嫁入り婚とは、結婚して新しい戸籍を作る際に夫が戸籍筆頭者になり、妻が夫の苗字を名乗ることです。一方、婿入り婚とはその逆で妻が戸籍筆頭者となり、夫が妻側の苗字を名乗る形態のことを言います。最近では職業上の都合や、多様化が進む環境の影響で、婿入り婚を考える人も多いそう。
移りゆく社会情勢で増えているように見える婿入り婚ですが、実は古代日本でも行われていた婚姻形態です。『源氏物語』などの古典文学で「通い婚」などが描かれているように、男性が女性の家に通い、婿入りするというのは一般的とされていたのですね。
婿入りと婿養子、ここが違う!
婿入りと婿養子は似たようなことと認識されてしまいがちですが、全くの別物です。まずは婿養子が一体どのようなものなのか、確認していきましょう。
婿養子って何?
婿養子とは夫婦間で婚姻関係を結んだ上で、妻側の親と夫が養子縁組の手続きを行うことです。つまり、夫は妻側の親と親子関係になるということですね。婿入りはあくまでも夫婦2人の間で行われるものですが、婿養子となると妻側の親にも関わってきます。
婿入りと婿養子の違いって?
婿入りと婿養子の決定的な違いは、養子縁組届を提出しているか否か。婿養子は妻側の親と親子関係になるため、扶養義務や財産の相続権が得られます。もちろん妻の親の遺産を相続することもできるのです。つまり、夫は実の親にも妻側の親にも扶養義務や相続権を有することになりますね。
婿入りの場合は、このような扶養義務や相続権を得ることはできません。
婿入りする際の手続きとは?
婿入りと婿養子の違いについてよくわかったところで、ここからは実際に婿入りする際の流れや手続きについて見ていきましょう。結納金についても触れていますので、ぜひ参考にしてくださいね。
親への報告
まず結婚するとなれば、お互いの親へ報告しますよね。実家に直接挨拶するのが一般的とされていましたが、最近ではお店で食事の機会を設けて、そこで挨拶するという形も多く見られます。婿入り婚の場合、実家に挨拶しに行く際は妻側の自宅へ先に訪問するようにしましょう。
結納
結納とは婚約を成立させる儀式のこと。結婚する両家を結び、1つに納めるという意味を持つ日本の伝統的な文化です。しかし最近は、結納を省いてお食事会などでの顔合わせのみを行う人も多いでしょう。結納には、仲人が両家を行き来し結納を交わすパターンや、ホテルなどで仲人を立てずに行うパターンがあります。
結納を行う際には、結納品や結納金を準備しておく必要があります。関東や関西などの地域によって結納の形は変わるので、相手や自身の地域のことも考えた上で準備を進めましょう。
嫁入り婚の場合、結納金は男性から女性へ100万円ほど用意するのが相場であると言われています。一方で、婿入り婚の場合は女性がその2、3倍の結納金を用意するのが一般的だと言われているようです。
しかし、両家の意向によっては結納金を省略するケースもあるため、よく話し合って決めることが良いですね。
婚姻届を提出する
結納や顔合わせが終われば、残るは入籍ですね。婚姻届の提出は、嫁入り婚の場合とさほど違いありません。ただし、婚姻後の夫婦の氏を選択する際に、婿入り婚の場合は妻側の氏を選択しましょう。そうすることで、戸籍筆頭者は妻ということになります。
婿入りのメリット
さて、ここまで婿入り婚について解説してきましたが、婿入り婚を選ぶ理由とは一体何なのでしょうか?
嫁姑問題が起こりにくい
結婚後の女性の悩みの筆頭に躍り出ることもある嫁姑問題。どちらが悪いというわけではありませんが、妻にとっても姑にとってもストレスが生まれがちなこの問題。婿入り婚であれば、自然と夫側の親と妻の間に距離が生まれるため、口出しをされづらくなる可能性が。子育てについて干渉されることも少なくなる可能性もあります。
子育てが楽になる
妻側の親からすると、我が子の産んだ子供なわけですから、さぞかし可愛がってくれることでしょう。婿入り婚であれば妻の実家で一緒に暮らすなど、夫婦が妻側の親と共に生活する場合もあります。そうであれば、実の母親と共に子育てが出来る場合、女性にとってはとても心強いこと。余裕がなくなりがちな子育てにおいて、ストレスを軽減できることはとてもありがたいことです。
妻側の苗字を変えなくて済む
妻側が長女であったり、跡継ぎ問題を抱えている場合、女性の苗字を変えなくて済むのは非常にメリットがあります。実際に女性が長女で、男性が次男であったことから婿入り婚を選んだ、という方もいるようです。
婿入りのデメリット
続いて、婿入り婚のデメリットを紹介します。
結納金を支払う場合、多額になる
先述した通り、嫁入り婚の場合に比べて婿入りの場合は、一般的とされている結納金額が非常に高くなります。婿入り婚は、これまでの慣習的に理解されにくい部分が未だに残っていることも事実です。婿入りは女性側の家族の都合で行われるのだから結納金は納めるべきだ、という考えの方もいるかもしれません。そんな場合は、多額の結納金を準備する必要が出てくる可能性もあるでしょう。
夫側の跡継ぎ問題
女性の跡継ぎを解決できることはメリットですが、男性側も跡継ぎ問題を抱えている場合はジレンマが生じてしまいます。自分の家系をここで終わらせてしまう、とモヤモヤした気持ちを抱える男性もいるはず。お互いの家系を考えると難しい問題ですよね。
夫が気疲れしてしまう場合も…
婿入り婚では、妻側の家族と近い距離感で接する機会も多いかもしれません。そうなるとやはり夫の肩身が狭くなり、気疲れしてしまう可能性もあるでしょう。婿入りに抵抗を持つ男性の多くは、妻側の家族に気を遣って生活しなければいけないことを懸念しているようです。
最後に
婿入り、嫁入り、どちらにもメリットとデメリットが伴います。結婚は人生における大きな決断のひとつ。自分の意見はもちろん、相手の意見も尊重し、2人ともが納得いくように進めていけると良いですね。
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