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2022.08.27

【元タカラジェンヌのセカンドキャリア】「会社員」という道を選んだ30代同期対談

『Oggi』専属読者モデル・オッジェンヌの力丸莉帆さんが、宝塚歌劇団を退団後に社会人としてセカンドキャリアをスタートさせ、着実に歩みを進めている同期の元タカラジェンヌにインタビュー。30代の会社員としての日々や悩みのほか、タカラヅカ時代の思い出まで、ふたりが熱く語ります。

なぜ今の仕事に? 宝塚歌劇団退団後の仕事探し

力丸:在団中から、退団後のセカンドキャリアについては考えていた? 漠然とした不安とかあった?

森脇:卒業したらワーキング・ホリデーで海外に行きたいと思っていて、年齢的な制限もありだいたいこのあたりで退団しようと決めていたから、その時には先の不安はなかった。よく、「鐘の鳴る音が聞こえて退団を決めた」と言うけど、私には聞こえませんでした(笑)。

コロナの影響で、退団を決めてから発表するまでが長かったんだよね。退団を発表してから少しずつ不安を感じることもあって、そんな時に「こんな仕事が向いていると思うんだけど、どう?」とライブネクストのお話をいただいて。ライブネクストが本格的に始動するタイミングで、プロデューサーになりたいとか具体的なことは全然考えていませんでしたが、面白そうだなと思って受けることにしました。

力丸:退団後の不安を抱えている人が多い中、とてもスムーズでいいなぁと思ったよ。

森脇:お話をいただく前に行った出雲大社が、仕事の良縁を持ってきてくれたのかも! 莉帆ちゃんは今の仕事をどう決めたん?

力丸:タカラヅカでしかできない経験はとても貴重だけど世間知らずだから、退団後は社会勉強をしなければいけないと思っていて、だから絶対に働こうと決めていたの。

いつか結婚をして子供がほしいとずっと思っていたけど、社会のことをなにも知らないのに子供を育てるって怖いじゃない? とにかく働いてみよう、まずはバイトから始めてみようと受けに行った会社で、「せっかくなら正社員で働いてみたら?」と言っていただいたので深く考えることなく「では正社員で!」って。

もしバイトで入っていたらいろいろ考えてしまって結局なにも決まらなかったかもしれないから、あの時勢いで入ってよかったと今は思うよ。ゆっちんは、なにも知らないまま入ってどんな苦労をした?

森脇:たくさんあるよ! 企画書を書いたら上司から「アイディアは面白いから、企画書の書き方を教えてもらってな」って言われて、「私の企画書は企画書じゃなかったのか…」とか(笑)

力丸:でも、そうやって教えてくれる人がいるのは本当にいいこと。私たちって30歳前後で、新入社員としては中途半端な年齢じゃない。それでなにも注意されることなく「ちょっと違うんだけどな」と思われるより、教えてくれたり叱られたりするのはずっといい。

森脇:そうだよね。自分から聞いたもん、「ビジネスメールってどう書いたらいいんですか?」って。企画書も上司が赤ペンで添削してくれるの。あまりにも赤文字が多くて恐怖すぎて、莉帆ちゃんに「赤文字が多すぎてメールが送れないよ」って言ったよね。

力丸:グーグル先生に聞けば全部出てくるから大丈夫。ちなみに私の最初のグーグル先生は「オフィスカジュアル」。

森脇:今は私もグーグル先生を頼りにしていて、会社で「森脇さん、これな」「はい、グーグル先生に聞きます」って言ってたら、会社の人も検索のことをグーグル先生って呼ぶようになってるよ(笑)

不安や葛藤よりも新しい仕事への期待が大きかった

力丸:タカラジェンヌから会社員になることに葛藤はありましたか? 葛藤をする間も無く、今の仕事を決めた感じかな?

森脇:タカラヅカが好きすぎるから、またタカラジェンヌだった方たちと関われるんだと思ったらうれしいほうが大きかった。自分でストンと決めて辞めたからね。

辞めたくなかったというわけではないけど、寂しい気持ちもあるやん? 世代も組も超えてOGが集まれる周年公演とかいいよねぇ。観てくださる方もタイムスリップしたような気持ちになるって言ってくれて、あったかいんだよね。また男役をやってくださる方がいたり、幸せしかない。

力丸:私もタカラヅカが大好きだったけど、ゆっちんとは逆かも。好きだからこそそこですっぱり終わらせて、まったく違うことをやりたいなって思ったんだよね。

森脇:やり方は違うけど、オッジェンヌの活動はOGの可能性を広げてるって思うよ。そういう意味では一緒やで?

力丸:そっか! 『Oggi』で元タカラジェンヌとオープンにしたことで、(劇団の)下級生から「退団したら会社員になります」と連絡をもらったり、直接関わっていない人から「退団後はどうしたらいいでしょうか」とDMが来たりすることがあって、うれしいなと思うんだ。

もちろん芸能の表舞台で仕事を続けていく人もいるけど、他にこんな道もあるんだよと伝えたい。ゆっちんは今はライブネクストでの仕事が楽しいだろうからそんなことはないかもしれないけど、また舞台に立ちたいと思うことはある?

森脇:うーん、どうかな。

力丸:私は舞台には立ちたいと思わないけど、モチベーションを保ち続けたくて(オッジェンヌの)オーディションを受けたんだよね。オッジェンヌの人たちはカッコいいバリキャリで、たくさん刺激をもらっているよ。だから、エリザガラコン(『エリザベート TAKARAZUKA25周年スペシャル・ガラ・コンサート』)の出演は本当に悩んで悩んで…。

森脇:「やってー!」ってビデオ通話で話したやんな。私は舞台自体には立っていないけど、OGの瀬戸(かずや)さんのコンサートの『The ALSTROEMERIA-アルストロメリア-』という公演に向けてタンゴのワークショップをやった時に、男性の人数が足りなくてニットワンピースで3時間踊ったことはあるよ(笑)。踊りを誰かに見てほしいというのはないけれど、踊ることは楽しい。

力丸:わかる、人に見せたいというのはない。でも、もともとはそれがしたくて(タカラヅカを)受験したじゃない? 私は歌も踊りも苦手だったから、それが仕事になって「やらなきゃ、やらなきゃ」と毎日追い立てられるようになって、辞めたら「二度と踊るもんか!」って思っていたの。

ところが、退団して3年ぶりにバレエに行ったら、嫌いになりかけていたバレエが心から楽しめた。自由に踊ることがこんなに楽しいのかって。

森脇:やっぱり現役時代は追われていたもんね。お客さまに観ていただけるから頑張れていたけど、なかなかハードだったもんね。

オッジェンヌ 力丸莉帆

福岡県出身。9年間宝塚歌劇団に所属していたという華やかな経歴の持ち主で、退団後は不動産関連会社で主に広報を担当。いちばんの趣味は舞台鑑賞!

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