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LIFESTYLE

2022.05.14

【TBS井上貴博アナ×ジェーン・スーさん対談】自分をさらけ出して、恥をかいて、リスナーを裏切っていきたい|井上アナ初の冠ラジオ番組を語る【前編】

TBSの看板アナウンサー・井上貴博さんの初・冠ラジオ番組『井上貴博 土曜日の「あ」』が4月からスタートしました! Oggi本誌連載コラムでもおなじみ、ジェーン・スーさんのラジオパートナーをつとめていたこともある井上アナ。気心知れたふたりのラジオトークを、前・後編の2回に分けてたっぷりとお届けします!

平日夕方のニュース番組『Nスタ』のメインキャスターをつとめる、TBSの看板アナウンサー・井上貴博さん。4月からは同局ラジオで、念願の冠ラジオ番組『井上貴博 土曜日の「あ」』(毎週土曜・13:00〜15:55)がスタート! 週5日のテレビ生放送をこなしつつ、ラジオ番組にも向き合う日々を送っています。

Oggi連載コラム『もやもやの泉』も大人気、我らがジェーン・スーさんが6年にわたってパーソナリティをつとめているラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』(毎週月曜〜木曜・11:00〜13:00)の初代火曜日パートナーでもあった井上アナ。そんな縁がきっかけで、ジェーン・スーさんと井上アナの対談が実現しました!

〝ラジオ〟をテーマに繰り広げられたふたりの本音トークは、記事に収まりきらないくらい大盛り上がり! その光景は、さながら架空のラジオ番組が目の前で進んでいるようでした。ということで… ここからは、ふたりのラジオを聴いている気分でお楽しみください。

では、3・2・1・Q!

想像の100倍くらい楽しい! 〝予想外〟が続く、新ラジオ番組『井上貴博 土曜日の「あ」』

井上貴博アナウンサー(以下、井上アナ):今日はありがとうございます。『生活は踊る』を卒業してから早5年… ついにラジオに戻ってきました。

ジェーン・スーさん(以下、スーさん):以前から「ラジオをやりたい」と言ってましたよね。でも、『Nスタ』が始まったからラジオは無理そうだな〜と思ってみていたんですよ。

井上アナ:会社にはずっと「ラジオをやりたい、やらせてください」と言っていました。それは本心なんですが、スーさんがおっしゃる通り、『Nスタ』が週5日あるから… と僕自身もなかば諦めていたんです。でも今となっては、それはただ自分で可能性を狭めていただけだったなと思います。

スーさん:なにかラジオと向き合うタイミングがあったの?

井上アナ:去年の夏、ラジオプロデューサーをしている同期と偶然再会したんです。そこでラジオの話をしたら、「それ本気?」「やるんだったら、一緒にやろう」と背中を押してもらえて。「週5日3時間の生放送があるのに… どうしよう…」という気持ちも半分くらいありましたけど(苦笑)、そこで一歩踏み出せて本当によかったです。いつでも誰でも言える「やりたい」って言葉と、実際の行動には大きな差がある。過去の自分は、正直甘かったなって思いますね。

スーさん:番組制作にはどれくらい関わっているんですか?

井上アナ:企画書の一文字目から携わっています。たまたまパーソナリティとして喋っているだけで、僕も番組スタッフのひとり、という感覚ですね。『生活は踊る』でスーさんと一緒にラジオをやらせてもらっていましたけど、こうして企画段階から番組をつくっていて感じるのは、「ラジオって想像の100倍くらい楽しい!」です。想像以上でした。

スーさん:そう、ラジオって楽しいんだよね! でも、大先輩である久米 宏さんが過去に担当していた枠が回ってくるなんて、予想外だったでしょう?

井上アナ:想像もしていませんでした。どこか1時間の枠でいいから生放送をやらせてもらえたら… いや、まずは30分枠かな… なんて思っていたら、土曜の生ワイド枠ですよ!

スーさん:土曜午後って、すごく難しい時間帯だと思うんですよ。半分お休み・半分仕事みたいなリスナーさんたちを相手に、週末にかけて考えるようなピリッと記憶に残る内容を、固くも暗くもない軽妙さな語り口で伝えなきゃいけない。ほら、ラジオリスナーさんたちって、審美眼ならぬ〝審美耳〟みたいなものを持ってるじゃない?

井上アナ:〝審美耳〟… それは確かにありますね。

スーさん:だから、すごく緊張するよね。

ラジオ番組はオーディション会場!? 喋り手とリスナーの謎の関係

井上アナ:番組を聴いてくださっているリスナーの皆さんは、すごく優しいんです。だけど同時に〝値踏み〟もされているというか(苦笑)。もちろんテレビでも値踏みはされていると思うんですけど、ラジオはリスナーの皆さんが〝審査員〟のように感じるんですよ。オーディション会場に通されている感覚ありませんか?

スーさん:わかる(笑)! いまだにその感覚が続いてる。

井上アナ:「ハイ、次の人どうぞ〜」って面接会場に通されて、「ここはTBSラジオです。あ、あなたが井上貴博さん? うん、それで君はどんな人なの?」って質問されて答えると、「へぇ〜…」って反応が返ってくる…みたいな(笑)。

スーさん:基本的にずっとTBSラジオを聴いてきている方たちだから「井上さんが番組を始めたから聴いてみよう!」ではないんですよね。その人たちのお眼鏡にかなうかどうか… という喋り手とリスナーの謎の関係性がある。でも、それがいい緊張や刺激になったりしてね。もともと久米さんのリスナーだった人たちがいる場所でやるんだから、そりゃ値踏みもされますよ。

井上アナ:「久米さんと比べるとこんなもんか」とか「クソほどつまんねぇ」とか、そんな感想もいただいて胃がキリキリしてます(苦笑)。

スーさん:それは必ず言われるよね。

井上アナ:でも最高ですね。そんな土俵に上がらせてもらえる、比較してもらえるんだ! ってたまらなく嬉しいです。もともとラジオをやりたい気持ちがある反面、すごく怖くもあったんです。ラジオを始めたら、自分のことが全部バレてしまう…って。

スーさん:ラジオって演出が通用しなくて、嘘がバレるんですよね。「今、話聞いてなかったな」とか「まるで思ってないこと喋ってるな」とか、言葉の間合いひとつで全部見抜かれちゃう。

井上アナ:そんなメディアをやるって、ここまで積み重ねてきた評価が崩れるリスクがある…というか崩れるリスクしかないんですよ。でも、局アナとしてある程度の素地ができた今、さらにステップアップするには、自分が不得意なことや恥をかくことも本気でやるしかないんじゃないかなと思ったんです。

人に好かれようと思わなくなったら、心がラクになった

スーさん:ラジオを通して、これから井上さんの何がバレていくのか、私は楽しみにしてますよ(笑)。

井上アナ:僕を知っている方は「井上貴博は野心家だ」と分かってくださっている。だけど、当然ながらご存知ない方が大多数なんですよね。これは自分を追い込むためなんですけど、「局アナなめんじゃねぇ」とか「日本一の司会者になる」なんてビッグマウスを世の中に発信してどう見られるのか、実験をしているところです(笑)。

スーさん:井上さんのこの野心やガッツ、さて世間はどう捉えるか…。

井上アナ:人に好かれようという気持ちを、自分の意識の中で限りなくゼロにしたんです。こんな職業ですから、もちろんその気持ちをゼロにはできないですけど(苦笑)。誰かに好かれようと思って行動しない。そしたら、すごくラクなんですよ。今のところは心の安定につながっています。番組では自分を全部さらけ出して、恥をかいて、いい意味でリスナーさんたちを裏切っていきたいですね。

スーさん:めちゃくちゃ凹んでいじけてるとか、憎い恨めしいとマイナスな気持ちを吐きだしてるとか、そういう一面をどれだけ出せるかが勝負になっていくんだろうなと思います。だって、公に自分の弱音を吐くってアラフォー男性にとって一番難しいことじゃない?

井上アナ:いや〜、その通りです。歳を重ねるごとにどんどん難しくなっていきますね。

スーさん:だけど「あんな野心家が、こんなにも凹んじゃって…」というギャップは人間の愛嬌だから。それを開示できるかどうかで、井上さんの将来が変わりますよ。

〝ウェルビーイング〟って何だろう? 押し付けのない本当の幸せ

井上アナ:朝の番組で、アナウンサーが「今日も明るく元気にいきましょう!」って笑顔で言うじゃないですか。その気持ちはわかるんだけど、人生そんなんじゃないよな、誰しも常にハッピーで笑顔ではいられないよなって思うんです。視聴者に対して笑顔を向けなければいけないのは理解できるけど、毎日みんながみんな幸せではないし、嫌な気分のときもある。むしろ嫌なときのほうが多いくらい。そこで「まぁ、生きてりゃいいんじゃない?」という本音を言えるのがラジオだと思うんです。もちろんテレビでもそうありたいんですけど。

スーさん:新番組のテーマになっている〝ウェルビーイング〟って、そういうところにも意味があるの?

井上アナ:〝ウェルビーイング〟… この言葉、企画書で使うかどうか最後まで悩んだんですよ。歯が浮くような横文字は好きじゃないし、流行に乗っかってる感じもするし、それにAMラジオを聴いている人はあまり好きな言葉じゃないだろうな… って。最後の理由は、打算的な〝審査員対策〟ですけど(苦笑)。

でも、クライアントと話を進めていくうちに、ウェルビーイングやSDGsを取り上げるのはもう当たり前のことで、その上で何をするかが課題なんだと気がついて。こんなことで悩むなんてダッセーなって、開き直って企画書に書きました。

スーさん:〝ウェルビーイング〟って一体なんなんだろうね。〝幸せ〟ってこと?

井上アナ:正直なところ、僕も分かっているようで分かってないんです。でも、ひとつはテレビにありがちな二項対立な報じ方を変えたいなと。

スーさん:そのやり方、分かりやすいからやりがちですよね。

井上アナ:誰かを悪者にして、叩いて、煽って、番組の数字をとっていく。でも、それをしたところで誰もハッピーにならないよなぁって。歯が浮くような横文字はさておき、本当の幸せってなんだろう、それをリスナーの皆さんと探していけたらと考えているんです。

〝聴ける番組〟と〝聴けない番組〟… その違いとは?

スーさん:今、スマホで調べてみた。身体的・精神的・社会的に良好な状態であることが〝ウェルビーイング〟なんだね。

井上アナ:でも、さっき言っていたみたいに人生って嫌なことも多いわけで「みんなハッピーで笑顔でいよう!」なんて押し付けは〝ウェルビーイング〟ではないと思うんですよ。スーさんの番組って、絶対にリスナーに無理をさせないですよね。「頑張ろう」とか言わない。たとえば月曜なら、「週のはじめってダルいよね」からラジオが始まる雰囲気がすごくいいなってずっと思ってるんです。『生活は踊る』がスタートしてから6年が経ちましたけど、リスナーの皆さんの温度感って変わりました?

スーさん:ジェーン・スーという人がこの番組で何をやろうとしているか、を理解してくれる人は増えた気がするな。もちろん〝オーディション〟をした上で番組を聴かなくなったリスナーさんもいるだろうけど。

井上アナ:それって、やりやすさにつながってます?

スーさん:番組の前提を詳しく話さなくてもよくなった、そこはやりやすいですね。でも、ご新規さんを拒むことにもつながりかねないから、気をつけなきゃいけないなとも思ってます。

井上アナ:なるほど。〝一見さんお断り〟状態になってしまう可能性があるわけですね。

スーさん:知らない土地をドライブしているときにラジオをつけると、そこには〝聴ける番組〟と〝聴けない番組〟があるんですよね。後者はどんな番組かというと、内輪受けで成立している番組。番組スタッフとパーソナリティと一部のリスナーだけが理解できる言葉で喋ってるんですよ。

井上アナ:番組の内側にいると、どうしてもそっちの方が楽しくなりがちですよね。

スーさん:それって、パッと入ったレストランで隣のテーブルがうるさい感覚で、良くないよね。誰が隣に座っても、邪魔をせず心地よく聞いていられるような番組が理想。究極のところはNHKラジオの『ラジオ深夜便』なんだと思うけど、平日の昼という時間帯や私の技量を踏まえて、どんな塩梅がいいのかなと考えながらやってますね。ただ、6年やってきて慣れからくる飽きも出てきているかな。だけどラジオはマンネリからが勝負だと思ってるから、ここがようやく本当のスタート地点だ! と感じています。

対談の前編はここまで!

気になる続きはこちら▶︎後編

■TBSラジオ『井上貴博 土曜日の「あ」』

放送時間:毎週土曜日 13:00〜15:55
出演:井上貴博(TBSアナウンサー)、田中ひとみ(TBSラジオキャスター)

平仮名の「い」の上は、「あ」。わからないことをわからないと言える場所にすべく、日常にある「あ!」「あー」など色んな「あ」を探し、「これ、いいね」の気づきをリスナーと共有しながらつくっていく生放送番組。毎回スペシャルゲストが登場するほか、車いすラグビー現役日本代表・池崎大輔選手による『池崎大輔 パラスポーツの「あ」』、リスナーと井上アナの生電話トークなど、多彩なコーナーを展開。

公式Twitter公式Instagram

撮影/目黒智子 構成/旧井菜月

井上貴博(いのうえ・たかひろ)

1984年、東京都生まれ。TBSアナウンサー。2007年にTBSテレビに入社し、『朝ズバッ!』『あさチャン!』『ビビット』などの番組を担当。2017年より夕方のニュース番組『Nスタ』の平日版メインパーソナリティをつとめている。4月より初の冠ラジオ番組『井上貴博 土曜日の「あ」』がスタート。また、5月17日(火)にはこちらも初となる著書『伝わるチカラ』(ダイヤモンド社)を刊行予定。

ジェーン・スー

1973年、東京都生まれ。作詞家・コラムニスト。TBSラジオ『ジェーン・スー 生活は踊る』、ポッドキャスト番組『ジェーン・スーと堀井美香の「OVER THE SUN」』のパーソナリティとしても活躍。新刊『きれいになりたい気がしてきた』(光文社)、『新しい出会いなんて期待できないんだから、誰かの恋観てリハビリするしかない 愛と教養のラブコメ映画講座』(高橋芳朗氏との共著・ポプラ社)が好評発売中。


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