【32歳・派遣社員女性のケース】
心優さん(仮名)は、20代後半からずっと派遣社員として働いてきました。不倫に足を踏み入れたのは2年前。派遣先の社員である瀬戸内さん(仮名)から口説かれ、相手が既婚者と知りつつも関係を続けてしまったそうです。
「相手はそこそこ職場でも地位がある人だったので、仕事で優遇してもらえるかも? という下心もありました。実際にはあまり優遇してもらえず、仕事は仕事、プライベートはプライベートという感じでしたけどね。
瀬戸内さんにはバツが2回あり、そのときの結婚は3回目。私の予想では離婚への抵抗感が少ない人かもしれないから、不倫からの結婚もワンチャンあるのかも! と期待していたのも事実です」
派遣としての働き方に限界… 結婚してほしいと相手に打ち明けるが
不倫をして1年7ヶ月経った頃、年齢的にも結婚を焦っていたという心優さんは、同時に派遣社員としての働き方にも限界を感じていたそう。心優さんいわく「誰でもいいから結婚しないと」とまで心理的に追い詰められた感覚だったというその時期に、瀬戸内さんに対して離婚と結婚を迫ったのだそうです。
「私は1年7ヶ月も待ったんだから、もう離婚してもいいんじゃないの? という気持ちは強かったですね。あと、コロナ禍で将来的な仕事への不安が強まったというのもあります。不倫をズルズル続けていても先が見えないし、瀬戸内さんに対してふたりの関係をそろそろなんとかしてもらいたいという思いが強かったです」
意を決して結婚を望む心優さんへの瀬戸内さんからの返事は「その気はない」。それだけでなく「今、僕が離婚をしてまで君と一緒になるメリットが見つからない」とまで言われたのだそうです。
「この言葉は想定外でとてもショックでした。そのときに瀬戸内さんから、瀬戸内さんの今の奥様は金融系の仕事をしていてバリバリ働き高収入であること、これまでの離婚と結婚は瀬戸内さんの中では“人生のステップアップ”のためのもので、惚れたというだけで結婚したことはないと聞かされました」
不倫の終わりとともに自尊心が傷つき…
その後ふたりの関係がギクシャクし、不倫関係を終えたとのこと。しかし心優さんは、瀬戸内さんから聞かされた「君と結婚するメリットがない」という言葉が頭から離れず、不倫を終えてからもずっと自尊心がズタズタになったまま苦しんでいるそうです。
「あんな言い方するんだ… ってショックが大きかったです。もともと自分に自信があるほうではありませんでしたが、不倫相手にそんな言い方をされたことで、自分に価値がないと言われている気になりましたし、以前よりさらに自信を失いました。
そもそも私は不倫をするような女だしちゃんとしたキャリアもないし。貯金だってないし、年収も高くない。いろんなコンプレックスをえぐられたような気持ちになりました。瀬戸内さんの言うことも一理あるなと思ったら自分が情けなくて。
不倫相手にあんな言い方をされても、言い返す言葉ひとつ見つからなかった自分が本当に悔しいです。現実を突きつけられたのと自分の甘さを痛感するしかなくて、どうにも前を向く気持ちになれません」
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並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。