【29歳・クリニック受付女性のケース】
知人との集まりで知り合った既婚者の斉藤さん(仮名)と1年間の不倫を終えたばかりの美波さん(仮名)。「不倫なんてしなければよかった、何ひとついいことなんてなかった」と振り返っています。
「斉藤さんはいわゆる“お調子者”タイプで、先々のことを考えずに感情だけで行動するタイプ。出会ってから猛烈に口説かれたのですが、斉藤さんが既婚者だとわかっていたので最初は私もテキトーにあしらっていたんです」
しかしもともと「NO」と言えない性格の美波さんは「大丈夫、大丈夫!」「俺がなんとかするから安心していいんだって!」など斉藤さんの強引なノリに押し切られ、不倫をスタート。勢いのいい斉藤さんにリードされる形で交際が始まりました。
「斉藤さんはバツ2で今は3回目の結婚。家庭はうまくいっていないだの、妻がムカつくだのってこんな話ばかりしていましたね。それと自分を大きく見せるのが好きみたいで、実際の収入よりも見栄を張って“いい車”に乗ったり、投資の話を自慢げにするような人でした」
強引な性格の斉藤さんは、アポなしで美波さんの家に押しかけてくることも多く、美波さんは「面倒だな」と思いながらも応じてしまっていたと言います。
「事業資金を貸してほしい」と言われ断れず…
斉藤さんとの不倫を始めて半年ほど経った頃、斉藤さんから「事業資金を貸してもらえないか」と相談を受けたという美波さん。最初は「絶対に貸さない」と決めていたそうですが、借用書や返済計画書を持ってきて借金を迫るようになった斉藤さんに対し、最後は「NO」を貫けずに、100万円を貸してしまったそうです。
「私にとっては大金です。だけどそこまで困っているなら… と貸しました。返ってこないかもしれないなとは思いましたが、斉藤さんがあまりにも必死だったので情にほだされた形です」
そして美波さんの予感は的中し、斉藤さんは約束の日が来てもお金を返すことなく言い訳ばかり。そのうち「いい投資話が入ってきたから、これで君にもお金を返せる」などと非現実的な話ばかりするようになったそうです。
「その頃はもう斉藤さんの胡散臭さにウンザリしていたのですが、別れると言うと大騒ぎして家まで押しかけてくるし、面倒くさい感じで。ズルズルと交際を続けてしまいました」
「妻バレしたから慰謝料を払え」と主張し始めた不倫相手
その数ヶ月後、ある日斉藤さんから美波さんのもとに電話がかかってきて「妻に不倫がバレた。慰謝料を払って離婚するから、100万円出して」と言われ、さすがに限界を迎えた美波さんはその場で斉藤さんに別れを告げたそうです。
「その後も斉藤さんからは2ヶ月近く、毎日のように着信がありました。最後の方は『不倫したくせに逃げるのかよ!』とか『無責任な女性だな!』などと罵られて精神的にしんどかったですね。
もちろん追加の100万円は渡していませんが、最初に貸した100万円も戻ってきていません。というか、斉藤さんは最初の100万円について『借りたんじゃなくて、もらったお金だ』とまで言い出していました。当時の借用書は斉藤さんしか持っていないので、私からは法的な行動にも移せません。
奥様に不倫がバレたっていう話ももしかしたら嘘なんじゃないかなって思っています。結局、私は斉藤さんから見て“金づる”でしかなかったんじゃないですかね。交際中も薄々は感じていましたが、別れてからもお金を返してくれない彼の行動から、自分が騙されたと改めて感じました。
不倫をしてお金を失って、嫌な思いをして。断りきれなかった私がいけないとはいえ、お金と時間を無駄にしたとしか思えません。きちんと“NO”が言える性格だったら… と考えてしまいますし、流された自分が情けないと後悔するばかりです」
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並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。