迎えた緊張の朝。受精卵になれる確率は…?!【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、麻酔による採卵後、痛み止めが切れておなかが痛くなった話をお届けしました。今回は、採卵翌日の朝に電話で伝えられた受精結果について。
2人して早起き。最悪の事態も考えて心にバリアをはる
自己ベストスコアの成績の採精ができたばかりに顕微授精をさせてもらえず凹んでいる夫と、9個の採卵に成功して浮かれている私。
病院の方針で、9個すべてふりかけ方式の体外受精が行われた翌朝、9時半に病院から受精した数を電話で知らされることになっていました。
採卵当日の夜の私は、結局寝る前までおなかの痛みやハリ感を感じていたものの、朝起きたら嘘のようにスッキリとれていました。しかし、体は緊張でこわばっているような感じ。頭のなかは受精結果の電話のことでいっぱいです。
遅い時間までふりかけ方式での体外受精をした場合、受精確率は何パーセントくらいなのか気になり、あれこれネット検索していたのですが、こればかりは個人差が大きいようではっきりした数字がわかりませんでした。
寝不足なのに、夫も私も、すごく早い時間に目が覚めてしまいました。
夫「おはよう、何か飲む?」
私「うん、お茶入れてもらおうかな」
夫「昨日、ほかの人のブログとか読みまくっていたんだけど、半分くらい残れば御の字って感じかねぇ。顕微できなかったのが本当に痛いな…」
私「私もいろんな人の体験談を読んだけどさ、卵巣刺激の仕方も元のAMHの値も、人それぞれだし比較できなくてわかんなかった。私の場合、卵子の大きさ的にはけっこうイイ感じで育っていたと思うんだけど、ベースのAMHが低いから不安。
仮に受精卵が半分残ったとして4個、すぐ移植したいと思ってたけれど、若いうちにもう一度採卵してある程度の数を貯卵するっていうのも選択肢としてあるかなとか考えちゃった」
夫「う~ん。採卵はキミの負担が大きすぎないか。もしやるとしたら次は確実に顕微授精できるところへ転院したいけど、採卵を繰り返したくないから高刺激でキミにがんばってもらったのに…。どうも受精卵が胚盤胞になる確率は6割程度らしいというのをネットで読んだんだよね。まずは今回いくつ残るかどうか、結果を見てから考えようか」
私「そうなんだ、けっこう減るんだねぇ。卵がちゃんと受精して、着床して、妊娠して、産むってミラクルだな…」
どんな結果を言い渡されても受け止めるつもりではいるけれど、それでも最悪の事態は考えておかないと…。心にバリアをはって身構えている自分がいました。
夫「あぁ落ち着かない。9時半まで長いなぁ」
私「ね。スマホ、音鳴るようにしておこう」
ずっと握りしめたままだから、バイブでもすぐに気が付くのに。ドキドキしながら病院からの電話を待ちました。こうしている間にも私はどんどん歳をとっていく。採卵をもう一度するなら、若い方がいいという気持ちもあり、当初の移植に専念! という意思が早くも揺らぎそうでした。
先生は一刻を争う状況じゃないと言っていたけれど、いざ体外受精! となってからは、1回、1回のチャンスを無駄にしたくない! という気持ちも高まっていました。
こんな風にモヤモヤしながら、ついに9時半。着信。時間ぴったりに電話がかかってきました。
培養師から受精結果の数が電話で伝えられ…
胚培養士「もしもし、昨日採卵されたクロサワさんのお電話でお間違えないでしょうか?」
私「はい、そうです」
胚培養士「ご本人確認をいたしますので、生年月日とフルネームでお名前を教えていただきますか?」
うわうわ、いよいよだ~! 電話での本人確認ってこんな風にするんだ~! と思いながら、応える私。夫は真剣な顔でこっちを見つめています。
胚培養士「それでは、クロサワさんの受精卵ですが、9個になります」
私「…?! あの、昨日、採卵できたのが9個って言われたんですが…」
胚培養士「あ、そうですね! 全部受精しました」
私「うぉぉぉぉ~!(と口を開けたまま変な顔になってしまいました)わかりました、ありがとうござました!」
電話を切り、夫に「9個全部受精したって!」と伝えると、「ヨシ!」と大きなガッツポーズをして、そのまま寝室へ走って行ってしまいました。
ひとりダイニングのテーブルに残された私(へ?! どうしたんだろう…?)。
寝室の扉を開けると…、夫がベッドに突っ伏して泣いていました。その姿を見たら私もポッロポロと涙が…。
二人三脚で乗り越えた採卵。夫にも大きなプレッシャーがかかっていた
夫「よかったよ~~~(涙)」
私「よかったね~~~(涙)」
不妊治療では、連日の自己注射、体調不良、採卵からの腹痛など、体力的な辛さは圧倒的に女性に偏っていることが多いと思います。
しかし夫の場合、精索静脈瘤の手術をしたとはいえ、精子の結果も採卵日当日までわからなかったなかで、突然、顕微授精ができなくなったこともあり、昨日今日で相当なプレッシャーと責任を感じてくれていたのだなと、この時改めて思いました。
肩にのしかかっている重たい荷物を半分こしてあげる余裕は私にはなかったけれど、いい結果に結びついた嬉しさを2人で泣きながら分かち合うことはできました。
しかし、体外受精ははじまったばかり。妊娠までの遠い道のりをえっちらおっちら2人で歩いていかねばなりませんが、この時ばかりは夫婦で泣いて大喜びしました (;’∀’)
ひとまず私の初めての採卵はすべてふりかけ方式の体外受精で9個の受精卵をゲット。受精確率はまさかの100%でした。
採卵に挑む前にチェックすべき5カ条
結果論ではありますが、私たちの場合は投薬、治療、受精方法を信頼できる病院・医師に全部お任せして正解でした。
それでも小さな後悔や失敗が立て続いた私の初めての採卵。これから体外受精へ挑むカップルに少しでも役に立つよう、私たちが実際にやってみてわかった事前に確認すべき項目をまとめてみました。
1. 男性不妊の可能性が本当にないのかステップアップの前に徹底的に調べておく方がいい
2. 卵巣刺激方法は病院ごとに得意、不得意があるようなので複数比較するほうがいい
3. 採卵は治療の過程で副作用のリスクが大きいのでゆっくり休める環境を整え、仕事との両立は無理にやらないほうがいい
4. 採卵当日の精子のスコアは結果に直接影響するので、男性も自分のベストなタイミングを知っておくべき
5. 顕微授精の方が受精確率が上がるとも言われているけど、患者の一方的な希望でできるかどうか確認しておくほうがいい
私たちは、希望していた顕微授精を行うことができなかったけれど、すべて受精するという幸運な結果に恵まれたのでホッとしました。
また、採卵時の金銭的な負担については以前お話した通り、病院ごとに大きな差があるので、慎重な比較が必要です。
いざ、治療がはじまってしまうと、本当に時間的にも精神的にも調べる余裕がなくなってしまうので、「こんなハズでは…」とならないように、事前に夫婦で話し合いと検討をしっかり重ねておけるといいですね。
次回は病院で受精卵の凍結相談です。何を相談するのかわかっていなかったので、うっかりひとりで病院へ行ってしまって大失敗したお話…。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。