29歳・家業を継ごうとした女性のケース
咲さん(仮名)は大学新卒後1年だけ就職。その後は家業を継ぐために地元に戻り、不倫をしたときには両親が経営する飲食店と美容室の手伝いをしていました。
「家業と言ってもこじんまりとした地域密着のお店を2店舗です。将来は私が継ぐことになっていたので早めに地元に戻りました。東京のベッドタウンという位置付けの街でしたが、地域密着で経営している小さな事業者が多いエリアです。私は同じような仲間と切磋琢磨したくて、商工関係の地域団体にも入って精力的に活動していました」
その団体で知り合った同世代の男性と親しくなり経営のことや事業のことなどを話す親しい仲に。そしてあるとき、その男性が「飲み会をしよう」と咲さんを誘い、そこで不倫相手となるその男性の同級生・ササキさん(仮名)と出会ったそうです。
「不倫相手は私より3歳年上。不倫相手のササキさんとは出会った瞬間にビビビっときて、ほぼ一目惚れでした。生活感がなかったから独身なんだろうなと思っていたのに、飲み会の終盤に既婚だと知りガッカリしたんです」
既婚と知る前にLINEを交換していたこともあり、その夜からササキさんから頻繁にメッセージが届き、家が近いこともあってお茶や食事に行くようになったとのこと。やがて男女の関係へと進んでいきました。
デートはいつも突発的だけど楽しかった
「彼も同じ地元なのでデートしやすく、いつも『今日、夕方会える?』などと突発的に誘われていました。お互い地元のことはよくわかっているので待ち合わせはラブホテル。別々に入って別々に出るスタイルで2年近く不倫を続けていました」
互いの地元ゆえに人目につくと困ることからそのうちに食事やお茶のデートはなくなり、ラブホテルで落ち合うだけの関係になっていったふたり。しかし咲さんはササキさんと会えるだけで幸せで楽しかったそうです。
ところがそんな毎日はある出来事をきっかけに急展開を迎え、終わりました。
不倫の終わりは想像しないほど残酷だった
「私が妊娠したんです。もちろん父親はササキさんです。ササキさんは妻とうまくいっていないと言っていたし、結婚が早く既にササキさんの子どもはある程度大きくなっていたから、私は当然、離婚して私と結婚してくれるものだと思っていました。
ところが…、妊娠の事実を告げた途端にササキさんは私からの連絡を無視するようになり、結局私は子どもを諦めたんです…」
病院の予約日時をササキさんに伝えるも、そのLINEすらも未読無視。費用も全額、咲さんが負担したそうです。心も体もズタズタに傷ついた咲さんはその後メンタルの不調を抱え、家から出られない日々が続いたそう…。
「なんだかんだで地元では私たちのことが噂になっていたみたいだし、こんな結果になって私は恥ずかしくて仕方なかったのと、地元で商売をしている両親にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした。両親は私には何も言いませんでしたが、おそらく噂は耳に入っていたはずです」
その後半年ほどの療養期間を経て、咲さんは東京都内の会社に就職。「これ以上地元で仕事はできないし、したくない」と思っての決断だったと言います。
「今でも当時のことを思い出すのであまり実家には帰っていません。私は今、東京で何食わぬ顔して働いていますが、不倫をした過去への後悔は大きく次の恋愛もなかなか本気になれずにいます。いつかは両親の事業を継ぎたいけれど、不倫の過去を地元の人たちが忘れてくれるのか、私自身が完全に過去のことにできるのか、今はまだ先が見えません」
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並木まき
ライター・時短美容家。シドニー育ちの東京都出身。28歳から市川市議会議員を2期務め政治家を引退。数多くの人生相談に携わった経験や20代から見てきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様を活かし、Webメディアなどに執筆。