実際どうなの? 事実婚のメリットとデメリット
昨今、婚姻関係を結ばない「事実婚」を選択するカップルも増えてきています。法律に縛られすぎない良好な関係を築くことができるのが事実婚の魅力。結婚に対する選択肢を広く持つためにも、事実婚とはどういうものか、メリットやデメリットを踏まえて紹介します。
◆事実婚とは?
婚姻届を提出し戸籍上で夫婦になっている状態を「法律婚」といます。それに対し、婚姻届を出していないが共同生活を送っていてお互いが夫婦だと認め合っている状態を「事実婚」と呼びます。
つまり、事実婚とは婚姻届を提出せずに結婚生活を送っている状態です。なお、結婚の意思を持たずに共同生活を送る「同棲」は事実婚にはなりません。
法律上では夫婦ではないので同じ戸籍に入ることはありませんが、法律婚と同様に同居や扶養、生活費の負担の義務、事実婚を解消する際には財産分与が認められることもあります。
◆事実婚のメリット
・姓を変えなくていい
法律婚の場合、夫婦どちらかの姓を選択しなければなりません。どうしても姓を変えたくない人、姓を変えてまで法律婚をする必要性を感じない人にとってはメリットといえそうです。
・万が一別れても戸籍に影響しない
法律婚をした夫婦が離婚した場合は、戸籍に離婚したという記録が残ります。事実婚であれば、そもそも法的に結婚をしていないので戸籍に記されることはありません。一度離婚を経験している人、戸籍に慎重な人にとって、事実婚は戸籍に影響しないメリットがあるといえそうです。
・「結婚」に縛られない
法的に結婚をすると、結婚によるさまざまな制度に縛られると感じるかもしれません。また、双方の両親や親族の考え方によっては「夫婦」や「結婚」という風習に縛られてしまい、苦痛を感じる可能性も。お互いを尊重し、良い関係を築いていくために「事実婚」は魅力的といえそうです。
◆事実婚のデメリット
・法律で定められた制度を受けにくい
事実婚では、法的に結婚をすることで得られる制度を受けられないことも。配偶者控除など税金に関する制度もそのひとつです。他にも、事実婚では法律婚のように相続の権利が発生しないため、遺産を受け取ることが難しくなります。事前に遺言書などで相続について記しておく必要がありますが、たとえ遺言書があっても法定相続人がいる場合は希望が叶わないこともあります。
・婚姻関係の証明が難しい
どちらか一方の戸籍に入らないため、夫婦であることや家族であることを証明することが難しくなります。住宅を借りることや保険の契約などがスムーズに進まないこと、どちらか一方が手術や入院をする際に家族として同意書にサインすることが難しくなる場合も。
・親権がどちらか一方になる
事実婚で子どもが産まれた場合、原則として母親のみが親権者となり、戸籍も妻の側に入ります。父親との親子関係は法律的に認められないため、認められるためには別途「認知」の手続きが必要です。
「事実婚」に対する価値観は夫婦次第!
「法律婚」を選ぶか「事実婚」を選ぶか、結婚の形は夫婦によってそれぞれです。どちらを選んでも人によって感じるメリット・デメリットは違うので、自分たちにはどちらが最適かを話し合って決めることが重要なポイントとなるでしょう。
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ライター/コラムニスト コマツマヨ
WEBサイトライティングをメインに、インタビュー、コラムニスト、WEBディレクション、都内広報誌編集、文章セミナー講師など幅広く活動。