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2021.12.08

【医師解説】新型コロナワクチン有効率95%は「95人が感染しない」ではない?

勘違いしやすい「新型コロナワクチン95%の有効率」を解説します。日本小児科学会認定日本小児科学会専門医である、すずきこどもクリニック 院長・鈴木幹啓 医師による寄稿です。

医師 鈴木幹啓

新型コロナワクチン95%の有効率:100人打てば95人感染しない? それは不正解!

(c)Shutterstock.com

ファイザー社の新型コロナウイルスに対しての有効率は95%です。100人接種すれば何人発症しないでしょうか?

こんな質問をされたらほとんどの人は95人が発症しないと答えると思います。しかし、実はそういう意味ではありません。

100人接種しても5人は発症してしまうという事でもありません。ワクチン有効率とは、発症させない割合ではないのです。

実際は、ワクチンを接種した人と、ワクチンを接種していない人を比較して、どのくらい発症を予防できるかという事です。ワクチンを接種した人で発症した人数と、ワクチンを接種しない人で感染した人との人数を比較したのが有効率です。

(c)Shutterstock.com

具体的に説明すると、一万人のワクチン接種者(A)群と、一万人のワクチン非接種者(B)群を比較してみましょう。

ワクチンを接種した(A)群のうち50人が新型コロナを発症したとしてみます。また、ワクチンを接種していない(B)群のうち1000人が発症したとします。

ここで大事なポイントは、有効率を比較する部分は発症者数の(A)群50人と(B)群1000人ということです。

ワクチン非接種(B)群1000人の発症者-ワクチン接種(A)群の発症者50人=950人となり、「ワクチン接種により、950人少ない発症で済んだ」ということになります。

この結果を踏まえ、有効率を計算すると…

ワクチン接種(A)群はワクチン非接種(B)群の発症者1000人に対して950人の感染者を減らすことができたと言えます。

つまり、有効率は950/1000=0.95(95%)ということになります。

よってワクチン有効率とは、接種した人が発症しにくくなる割合ではなく、ワクチンを接種した場合と、接種しない場合を比較して、どのくらい発症を予防できるかという事です。多くの方が勘違いされていたことでしょう。

新型コロナワクチン95%の有効率の計算法

(c)Shutterstock.com

ワクチン有効率95%とは、ワクチン非接種者と比較して、ワクチン接種者の発症リスクが95%減るということです。ワクチンを接種すれば、ワクチンを接種していない人と比較して、発症が95%防げるという事です。

逆に、ワクチン有効率95%とは、ワクチン非接種(B)群の1000人のうち、95%の950人は「ワクチンを接種していれば感染しなかった」と言い換えることができます。

ワクチンの導入が先進国の中で最も遅かった日本のことを振り返ってみると、今までに新型コロナウイルスを発症した何万人方の95%はワクチンを接種していれば発症しなかったと言えるのです。

しかし、日本の人口1億2000万人全員がワクチンを接種すれば、95%の11400人の感染を防げる訳ではありません。

ファイザー社のコロナワクチン(コミナティー®)の添付文書を見てみましょう。

添付文書に記載してある有効率95%を検証すると、最終臨床試験で、36,523人の被験者を無作為に(特別な理由をつけずにコンピュータで勝手に割り振りする方法で)2つのグループに分けています。

一つのグループの18,198人にはコロナワクチンを接種し、もう一つのグループの18,325人には無害な液体を偽薬(プラセボといいます)として接種しました。この時、被験者にはどちらを接種されたかは秘密にしています。これを盲目試験といい、試験の精度を高める方法の一つです。

その結果、ワクチン接種群での感染症確定例数8人、偽薬(プラセボ)接種群では、感染症確定例数162人と記載されています。

ワクチン接種群で感染した人の割合は8/18,198=0.04%です。一方、偽薬(プラセボ)接種群での感染した人の割合は162/18.325=0.88%

ワクチンを接種すると、接種しない人と比べて5Vの感染率で済むということで、有効率は95%と計算されるのです。

つまり、ファイザー社製コロナワクチン(コミナティ®)には95%の発症予防効果があると言えるのです。

難しい式にすると以下ということになります。

コロナワクチンを接種すれば、接種した人の95%が発症しないという事ではなく、コロナワクチンを接種しない人と比較して発症が95%防げる事なのです。

有効性の意味まで知ったうえで、ワクチン接種を検討してください。

TOP画像/(c)Shutterstock.com

医師 鈴木幹啓

日本小児科学会認定日本小児科学会専門医
自治医科大学卒業
三重県立総合医療センター、国立病院機構三重中央医療センター、国立病院機構三重病院、伊勢赤十字病院、紀南病院
2010年5月、和歌山県新宮市に「すずきこどもクリニック」を開院
2020年株式会社オンラインドクター.comを設立。医師-患者プラットフォームを運営

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