生理からくるめまいや貧血の対処方法
最近、なんとなく疲れやすい、息切れしやすい、もしかして貧血? なんてカラダの不調を感じることはありませんか? 「仕事の疲れのせいかな」「食事はちゃんと摂ってるのにな」と思ってる人もいるのではないでしょうか。
現代の日本は、食料事情が豊かで恵まれた食生活を営んでいるように思えますが、厚生労働省で行っている国民健康・栄養調査では、血液中の血色素(ヘモグロビン)の構成成分として大切な鉄分が依然として不足しています。
鉄は血液を構成する成分のひとつ。赤血球の中の鉄(ヘム)とたんぱく質(グロビン)が結びつきヘモグロビンをつくります。鉄分が不足するとヘモグロビンを合成できず赤血球自体が小さくなり、数も減ってしまうので体内の組織に酸素を十分に行きわたらせることができなくなります。
その結果、動悸・息切れ・疲労感・頭痛などが起きやすい貧血という現象が起こります。これを鉄欠乏性貧血といいます。
鉄は一日にどれくらい必要? その種類もチェック
体内では鉄を作り出すことができないので、食物から補給することが必要です。
鉄欠乏性貧血が多くなった理由としては、女性は生理による血液の損失に加え、妊娠や授乳によっても鉄の必要量は増加します。個人差はありますが、経血の量が多い女性は特に鉄が欠乏するリスクが高まります。
また、男女ともに食事内容の洋風化や簡素化、偏食、朝食の欠食などにより鉄分の摂取量が減少し、その他の栄養素とのアンバランスを招いていることも原因となっていることが考えられます。
◆鉄の一日の摂取必要量
日々の食事では成人(18~49歳)の男性では7.5mg、女性では約10.5mg(生理のない女性は6.5mg)の鉄を摂取することが推奨されています。妊娠中、授乳中となるとさらに妊娠初期・中期では+2.5mg、妊娠後期では+9.5mg、授乳期でも+2.5mgの鉄を追加して摂取することが推奨されています。
◆2種類の鉄の特徴
食品中に含まれている鉄は2種類あります。肉や魚などの動物性食品に含まれている「ヘム鉄」と、野菜や豆類などの植物性食品に含まれている「非ヘム鉄」です。ヘム鉄と非ヘム鉄は、それぞれ特徴が異なります。
ヘム鉄
動物性食品に多く含み、食品に含まれているそのままの形で吸収され、非ヘム鉄に比べて5~6倍吸収率が高く、レバーや赤身肉などの濃い色の肉、赤身の魚、あさりなどの貝類に鉄が多く含まれています。
【可食部100g当たりに含まれる鉄の多い食品】
・豚レバー(生):13.0mg
・鶏レバー(生):9.0mg
・あさり(水煮缶):29.7mg
・かたくちいわし(煮干し):18mg など
非ヘム鉄
植物性食品に多く含み、ヘム鉄と比べ吸収率は下がりますがビタミンCや動物性たんぱく質と同時に摂取することで吸収率を上げることができます。小松菜やほうれん草などの野菜や、納豆、豆腐などの大豆製品や海藻類などが比較的多く鉄分が多く含まれています。
【非ヘム鉄を多く含む食品と可食部100g当たりの含有量】
・大豆(乾):6.8mg
・納豆:3.3mg
・あおのり(素干し):77mg
・岩のり(素干し):48.3mg
・小松菜(葉・生):2.8mg
・ほうれん草(葉・生):2.0mg など
鉄を効率よく摂取するためには?
鉄はカラダに吸収しづらい栄養素でもあります。食事から摂取したヘム鉄の吸収率は10〜20%、非ヘム鉄は2~5%と言われています。体内での鉄吸収は、同時に摂取する食べ物の成分に影響を受けます。鉄の吸収率を高めるための食事のポイントを紹介します。
1. ビタミンCを一緒に摂る
ビタミンCは鉄の吸収を促す作用があるので、鉄を効率よく摂取するために、ビタミンCを含む食べ物を一緒に摂ることが大切です。緑黄色野菜や果物などに多く含まれています。
2. タンニンの摂取を控える
コーヒー、緑茶、紅茶などに含まれているタンニンは鉄の吸収を抑制します。そのため、食事中に濃い目の緑茶を飲んだり、食後にコーヒーを大量に飲んだりすると、鉄の吸収率が低下します。
食事中の飲み物は、タンニンを含まない麦茶や水などを選ぶと良いです。コーヒーや紅茶を飲みたくなる場合は、食事から2~3時間ほど経過した食間に飲みましょう。
3. 胃酸の分泌を助ける
胃酸が十分に分泌されていると、鉄の吸収が高まります。まずは、よく噛んで食べると胃酸の分泌を促すことができます。または、柑橘類やお酢などの酸味のあるものを食べると胃酸が分泌されやすくなります。
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鉄不足から起こる貧血を予防する上で大切なことは、まずは毎日の鉄分の一定量(必要量)が不足しないようにいろいろな食品から効率よく摂取することが基本となります。
動物性食品の鉄は吸収されやすいですが、動物性食品ばかりだと脂肪の摂りすぎになってしまうので、両方をバランスよく食べることが大切です。
また、鉄分やビタミンCの他にも良質なたんぱく質やビタミンB6、B12、葉酸、銅などを十分に摂取することが貧血を予防、改善する栄養素として必要になります。
そのためには、日頃から朝ごはんを抜いたり、偏食や無理なダイエットをしたりしていないかなど生活全般見直す必要があります。魚や肉などのレバーや赤身の多いお肉やお魚といった鉄分が多く含まれる動物性食品を意識しながら、バランスのとれた食事を心がけましょう。
食事は主食・主菜・副菜・汁物などをそろえ、一汁三菜を意識して、いろいろな食品を組み合わせて、栄養バランスの良い食事を取るように心掛けましょう。カラダに必要な栄養素を食事から補えないという時は、サプリメントなども上手に利用されると良いと思います。
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ダイエットカウンセラー 及川美由紀
NPO法人日本痩身医学協会認定講師、おいかわ整骨院ダイエットカウンセラー。
日本痩身医学協会では、健康的なダイエットの学術研究と生活習慣病の改善を目的とし全国に1100人以上の会員を有している。
看護師として15年以上病院勤務。生活習慣と健康の関係がより密接であることを感じ、ダイエットアドバイザーとして1000人以上のお客様のダイエットをサポートし成功に導いている。