「否定のない空間」に身を置くと誰でも話せるようになる
私の主催するコミュニティには、3つのルールがあります。
まずかかげているコンセプトは、「否定のない空間」。
このコミュニティで、私はたくさんの奇跡を目にしてきました。
「あがり症の人が人前で話せるようになった」
「話し方が苦手だった人が、いつも会場を満席にするセミナー講師になった」
「年収で1200万円を超えるコーチになった」
中には出版が決まった人もいます。彼らの姿を目にしながらわかったこと。それは、ほとんどの人が話すのが苦手なのではなく、話せるというメンタル状態に持っていくことが苦手なだけ。
そこで、普通の人が簡単に話せるようになる3つのコツをお伝えします。
◆コツ1:否定禁止
マイナストークで未来を語ると、どんどん現実の未来が暗いものになってしまいます。そこで私のコミュニティでは、否定発言をしたら退場していただくルールを作っています。
会議でよく見かけられる光景ですが、誰かが何かを発言した時に「そうは言っても」とか「それは違うだろ」という空気が流れることがあります。
そういう空気が会議全体を覆ってしまうと、人の潜在能力つまりパフォーマンスは低下します。そして誰もが口を閉ざすようになります。
人はつい他人が語ることを「できる」「できない」に分類してしまいがちですが、これでは一人一人が自由に発言するモチベーションを奪ってしまうのです。
社会は学校の○×テストの場ではありません。大切なのは、意見や感想がどんどん出てくる場にすることです。それにはまず質より数が重要です。数を出してもらうことで、一人一人のパフォーマンスが上がることが最重要課題なのです。
繰り返しますが、大切なのはとにかく発言すること。そこで前向きであればすべてオッケーというルールをあらかじめ設定しておきます。
学校教育で植えつけられた「とにかく正解を出さなければいけない」という思い込みを捨て、遠慮なく色んな意見を出してもらうことで場の空気は前向きになり、人前で話すのがラクになっていきます。
◆コツ2:笑顔でうなずく
2つめは「うなずきの徹底」です。
うなずきですからただ首を縦に振るだけですが、人間関係においてこの習慣を身につけるとかなり役立ちます。このうなずき文化が人の心の扉をあけ、安心を生み出していく最高の方法なのです。
私の会社は毎日朝礼をしています。これは自分にスイッチを入れるという目的もありますが、重要なのはそこではありません。
ポイントは「それぞれの言葉環境を変えるため」「それぞれの心の中にあるブロックを外すため」「人を勇気づけるナイスマンを育てるため」の3つです。
何かを人前で発表する時は誰でも緊張します。しかしその中にうなずきながら聞いてくれる人がいたら、人は自然と話せるようになります。
何を言ってもうなずいてもらえると安心するからです。そして、その安心感が話す力を引き出します。つまり「ノってくる」のです。
人間のパフォーマンスは、力んだ時よりリラックスした時のほうが上がります。そのため私の会社、そしてコミュニティではこのうなずきを徹底してもらっています。
◆コツ3:プラストーク
前向きな話は人を元気にします。逆に、後ろ向き、否定的な話は、自分自身だけでなく聞く人のエネルギーも下げてしまいます。
普段どんな言葉を使っていても、私のコミュニティに来た時だけは、意識してプラストークを徹底するようルール化しています。
「人をほめること」「感動した話をすること」「今の現状を良くしていこうとすること」。これらはすべてプラストークです。明るい言葉が明るい空気を作っていきます。
過去の傷を癒やすと、人は自然と話せるようになる
先ほども書きましたが、残念ながら私たちの周りにはマイナスな言葉ばかり飛び交っています。私たちは知らず知らずのうちに、否定的な空気の中に身を置くことが当たり前になってしまっているのです。
なるべくそうした場所からは離れ、先ほどお伝えした3つのコツを意識することが大切です。そうすることで前向きに話すことができるようになり、少しずつ本来の自分を取り戻していくことができるのです。
自分自身を全肯定してくれる場所に身を置くこと。そうすれば、あなたの過去の傷は知らず知らずのうちに癒やされていくのです。
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永松 茂久(ながまつ・しげひさ)
株式会社人財育成JAPAN代表取締役。大分県中津市生まれ。「一流の人材を集めるのではなく、今いる人間を一流にする」というコンセプトのユニークな人材育成法には定評があり、全国で数多くの講演、セミナーを実施。「人のあり方」を伝えるニューリーダーとして、多くの若者から圧倒的な支持を得ており、講演の累積動員数は延べ45万人にのぼる。2021年上半期1番売れた会話の本『人は話し方が9割』(すばる舎)をはじめ、著書多数。