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2021.10.11

社長である私が“負けた”話。浮き足立った己の失敗から得たのは…<元テレビ朝日プロデューサー転職実録#40>

仕事と自分の人生を見つめ直す社会人10年目。今回は、私が負けから気づいたことの話。元バラエティ番組の女性プロデューサー 古瀬麻衣子が考える「理想の人生」への近づき方。

古瀬麻衣子

挑戦と失敗の中から新しきものが生まれる

これまでの連載はこちら

この連載は、有り難いことに、今回で40回目となります!

1年以上、好き放題に書かせてくださったOggiの方々にも、そして毎回読んでリアクションをくださる読者の皆様にも感謝でいっぱいです。

ネタが尽きるまで、あとどのくらい書けるだろうかと、私のチャレンジは続きます。

そんな今回は、最近わたしが“負けた”話です。

きっかけは自分が大きくなったような気がしたこと

(c)Shutterstock.com

数ヶ月前にある知り合いから素敵な先輩女性を紹介されました。その方は30代後半でアメリカにMBA留学をしている方で、女性のキャリアに関する興味が共通し、ここ数ヶ月ですぐに仲良くなりました。

その方がある時、「麻衣子さん、この賞にあなたを推薦しようかと思うんだけど」と、今まで想定したことのなかった素敵な提案をしてくださいました。

その賞は、日本の社会課題に向けて様々な挑戦・活動をしている女性リーダーを対象に、推薦形式で候補者を募り、大賞が選考されるというものでした。

彼女はこの主催者側と面識があり、新しい女性リーダーがいればぜひ推薦して欲しいという話をされていたようで、今年、私を推薦してくださることになったのです。

これまで、渡米してからというもの、日本人女性のキャリアアップ推進に焦点を置き、自身の経験や考え方を通して、キャリアカウンセリングを行わせて頂いたり、イベントを開催したり。また、このように著名な媒体で発信をさせて頂いてきましたが、その活動をこんな風に捉えてくださる方が現れたことに、単純に感激しました。

(c)Shutterstock.com

まだまだ個人の活動の域を抜けていませんが、少しでも多くの方に認知して頂くことで、日本人女性の活躍推進や男女共同参画に繋がる一歩になるかもしれないと、推薦を喜んで受けることにしました。

さらに、日々私をサポートしてくださっている他の方々にもこの賞について知って頂こう、もし了解してくださるなら、さらに推薦をして頂こうと思い、何人かの信頼する方にこの詳細をお話しました。

みなさん、「応援しているから!」と推薦を快諾してくださり、私はその嬉しさから、急に自分が大きくなった気がしました。

そう、自分を見誤るとは、まさにこの事。なぜか、日本を代表する女性リーダーのひとりになった気になってしまったのです。自身の勘違い力にホトホト感心します。

私に欠落していたものは…

(c)Shutterstock.com

それから、1次選考の結果が出るまでの1ヶ月間、妙に浮き足立ち、いつの間にか、選考に選ばれる前提で、この先どんな活動を新たにしていこうかと毎日考えていました。

賞を貰えば、社会的にも少し評価された事になるから、新しいイベントをやろうかな〜なんて呑気なことを。

そして9月末、結果は1次選考通過の25名にすら選ばれませんでした。「何でだ?」と冷静になれず、その日1日久しぶりに落ち込みました。

いやいや、落ち着いて事実を見れば理由は一目瞭然なのですが、この賞の新星になれると本気で思っていたようです(選ばれる方々は毎年NPOなど、組織として実績のある活動をされている方々ばかり)。

重たい身体を起こして夫に電話しました、「なぜか選ばれなかった」と。

夫はすぐに、慰めることもなく、「現実が分かって良かったね。これで足りないものが分かったでしょ」と辛辣。足りないもの…。

その後、少し元気を取り戻して、協力してくださった方々に報告をしました。悔しいけれど、ここですぐに報告しないのは情けないと自分を奮い立たせて。

すると、いつも誰より応援してくださっている、あるメディアの方が、「勝ちに不思議の勝ちあり。負けに不思議の負けなし。野村克也監督の名言だよ」とメッセージをくださいました。

ここまでサポートしてくださる愛情に素直に心が救われて、何が私に欠けているのかを真剣に考えるきっかけとなりました。

こういうターニングポイントは日常の中で何を差し置いても大事にすべきだと思い、1日中部屋に閉じこもり、自分について考え続けました。正直、妊婦なのに、夜もほぼ眠れませんでした。

たまにはこんな苦しい1日も必要です。

(c)Shutterstock.com

そして、組織を率いていること、大きな実績を出していることももちろん大切ですが、それより、何よりも、私がこの分野で「本気で目指しているものが明確であること」が確実に欠落していることを強く認識しました。

薄っすら気づいていたことを、痛烈に叩きつけられたという方が正しいです。負けの理由は明確だったわけです。

今回、この結論に至れたことが本当に有り難く、自身の今後を動かすほどの経験となりました。何事も挑戦と失敗の中からしか新しきものは生まれていかない。幸せばかりでは強くなれないということですね。身に染みました。

さあ、年内も走り切りましょう! 明確な目標を持って!

◆これまでの連載はこちら

古瀬麻衣子

1984年生まれ。一橋大学卒。テレビ朝日に12年勤務。「帰れま10」などバラエティ番組プロデューサーとして奮闘。2020年、35歳で米国拠点のweb会社「Info Fresh Inc」代表取締役社長に就任。現在NY在住。日本人女性のキャリアアップをサポートする活動も独自に行なっている。

Instagram:@maiko_ok_
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