何コレ!? 鏡で見た自分の背中に驚愕
普段は目にすることが少ない背中ですが、ふと鏡で見てみると背中がブツブツ! 見た目は顔のニキビに似ているけれどニキビの薬を塗っても全然よくならない! そんな経験はありませんか?
今回はニキビのような背中のブツブツ、マラセチア毛包炎についてお話ししたいと思います。
その正体は毛穴に生息する“カビ”!
顔のニキビは皮脂がうまく毛穴から排出されずに詰まることから始まり、アクネ菌などの細菌が炎症を起こすことでニキビを悪化させるということは以前にお話ししました。
背中は汗をかきやすかったり衣服で蒸れたりするため、アクネ菌とは違ったマラセチアという真菌が原因となるマラセチア毛包炎が引き起こされているケースが多くみられます。
マラセチアは毛穴に生息するカビで皮脂を非常に好みます。高温で増殖・活発化して皮脂を分解し、その分解産物が毛穴に炎症を引き起こします。また、毛穴の細胞がマラセチアを異物と判断して攻撃をしかける免疫反応を起こすことで炎症が生じるとも言われています。
毛穴の一つ一つに炎症が起こるため、顔のニキビによく似た外観になってきますが、原因にマラセチア菌が関与しているのでアクネ菌をターゲットにしたニキビ治療ではなかなか良くなりません。マラセチア菌をターゲットにする抗真菌薬の外用が必要となってきます。
日頃からできる対策は?
背中にニキビのようなブツブツが増えると、清潔を保つためにナイロンタワシなどでごしごしとこするように洗う方が多くいます。ところがこれは背中に小さな傷をたくさん作り、菌が入りやすい環境を作ってしまい、逆効果。
たっぷりの泡で優しく洗うことが大切です。直接肌に触れる衣類もナイロン素材はお肌に余分な摩擦を生じさせるため綿素材のものを選ぶようにしましょう。
マラセチア毛包炎はかゆみや痛みが出にくいため、時折背中を眺めてお肌の状態をセルフチェックすることも大切です。
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田場医院 院長 田場史子(たば・ふみこ)
兵庫県三田市にある形成外科・皮膚科・美容皮膚科を併設する「田場医院」院長 形成外科専門医。
1982年生まれ。高知大学医学部医学科2007年卒。淀川キリスト教病院での研修後、神戸大学大学院医学研究科形成外科学へ入局。2018年田場医院に形成外科・皮膚科・美容皮膚科を開設。クリニックにはお肌で悩む多くの患者さんが訪れる。