植物のことを本当に知っていますか?
山を見れば緑の木々で覆われ、野を見ればさまざまな草花が咲いています。そして道ばたには雑草が生え、花壇では色とりどりの植物が私たちの目を楽しませてくれていますよね。
そんな私たちの暮らしの身近なところにある植物ですが、実は知らないことも多いのではないでしょうか。
そこで書籍『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』の中から、植物の生態やしくみについてご紹介。計3回にわたるプチ連載形式でお届けします。
植物の正体を知れば知るほど、自然の偉大さや不思議さに驚嘆するはず!
前回の記事はこちら>>知らなかった… 刺身に添えてある菊は飾り? それとも…
チューリップはなぜ完全に開かないの…?
花は朝に開き、夜に閉じることを毎日繰り返すのが一般的。それは送粉昆虫が来る昼間に咲かないと、受粉できない恐れがあるから。夜はガなど以外はほとんど虫が来ないので、花を閉じて無駄を省いているのです。
しかしチューリップは、昼間は満開になりません。
気温が20℃前後になると開きはじめ、10℃前後で閉じるチューリップ。このように温度によって花の開閉が決まることを「温度傾性」といいます。
チューリップの開花期は約1週間で、朝に満開し、日中は少しすぼめ、夕方再び閉じるというサイクルを数回繰り返します。そのため、満開になるけれど、私たちが見るタイミングを逃していることが多いというわけです。
ちなみに、特に夜になっても気温の高い熱帯地方では、夜に咲く花も多いようです。これは熱帯地方では、夜に活動するスズメガなどの昆虫、花蜜を求めて飛ぶコウモリなどの動物が多いため。夜咲く花は、これらの生き物によって受粉し、子孫を残します。
では、生き物たちは暗い夜にどうやって花を見つけるのでしょうか。
答えは、花の色と香り。白ければ月あかりで十分見えるので、夜咲きの花は白色が多いのです。また熱帯の夜に咲く花は、強い芳香を放ち、生き物たちを引き寄せています。
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今回お届けした内容について詳しく知りたい方は、書籍でチェックしてみて!
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『眠れなくなるほど面白い 図解 植物の話』
稲垣栄洋 監修/日本文芸社
大ヒット「眠れなくなるほど面白い」図解シリーズに、【植物学】が登場。色仕掛け、数学の応用など、生き残りをかけた植物のたくみな戦略を徹底解説。図とイラストで、ひとめで植物の生態としくみがわかります。読めば、「ふだん見かけるあの植物に、そんな秘密が!?」と驚くはず。身近な疑問から、花粉を運ばせるための昆虫だましテクニック、一歩踏み込んだ光合成のしくみまでわかりやすく紹介します。監修は、植物学者・静岡大学教授の稲垣栄洋先生! 植物たちの巧みな戦略とたくましい生き様が見える一冊です。
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