私たちが人工授精を決断して初めて知ったこと【30代からの不妊治療】
妊活を始めて3年。現在34歳の私の体験から、妊娠を考えているカップルにとって少しでも役に立つような情報をレポート形式でお届けします。
前回は、排卵誘発のホルモン剤に関するお話をお届けしました。今回は、人工授精の精子と卵子のお話。
また病院通い… 苦い記憶が蘇る…
妊活をはじめて2年が過ぎようとしていた2019年の夏、私たち夫婦は人工授精をすることにしました。
しかしながら、注射や薬などの排卵誘発剤を使えば、○時間後に排卵! とわかるものを、副作用が怖くて逃げることにした私。でも初めての人工授精は、まだまだわからないことがたくさん。S先生にくわしく聞いてみました。
私「誘発剤をナシで人工授精する場合って、排卵はどうやって確認するんですか?」
医師「体外受精の自然周期と一緒です。エコーで卵胞モニターを行ったり、検査でLHサージをチェックしたり、血液中のエストロゲン濃度もみながら排卵を予測するので、明日、明後日… と、ちょっと小まめに病院にきてもらうことになります」
LHサージといえば、妊活をはじめたばかりのころに使った排卵日予測検査薬の苦い思い出が…。それに体外受精の自然周期といわれても、体外受精は次のステップでやったことがないので、ちょっとピンとこない感じがしました。
私「以前、ドラッグストアで買った尿をかけるタイプの検査薬を使っていたんですけど、私の場合、LHサージの感度が悪いみたいでぜんぜん排卵日いつなのかわからなかったんです。大丈夫なのかな…」
医師「病院は市販薬よりもっと精度よく予測できるから問題ないですよ」
私「病院にくるスケジュールはどのようになりますか?」
医師「排卵しそうな日の2日か3日前くらいに、卵胞の大きさや子宮内膜の厚さ、LHサージの検査をします。それで排卵日の直前にご主人の精子を人工的に注入するという感じになります。」
覚悟はしていたけれど、また連日の病院通いか。今日はD(デイ)10だから私の場合、もう明日くらいから連続で通院だわ… とドンヨリした気分になりました。
そして人工的に妊娠を手助けするという一連のロジックはわかっていても、この待ち時間の長い病院の診察と排卵の時刻、そして精子を注入するタイミングがピッタリあうのか、根本的なことが心配になってきて、自分で薬を拒否しておきながら頭がごちゃごちゃになってショートしそう…。
卵子と精子の生きている時間、巡り会う奇跡が妊娠に繋がる
ホルモン剤を回避したから副作用の不安はなくなったものの、人工授精をするからには成功確率を少しでも上げたい。だったら薬を使えばいいのにー! と心のなかで自分自身にエンドレスなツッコミを入れながら、S先生に「排卵の時刻が正確にわからないのに、うまくいくんですか?」と質問してみました。
医師「卵子の寿命が排卵から24時間なのに対して、精子は3日くらい生きていられるんです。だから、排卵時刻は1分1秒まで正確にわかるというものではないけれど、卵子と精子がうまく出会える確率は、きちんと検査していけばあがりますよ」
と、LHサージが上昇するグラフを見ながら「このあたりのタイミングを狙って人工授精をしましょう!」と丁寧に説明してくれるS先生。でもそんなピンポイントにうまくいくかな? と疑心暗鬼に…。
私「これ…、すごい奇跡みたいな確率じゃないですか…」
自分のおなかのなかにある子宮が、宇宙よりも広い空間のような気がしてきました。
医師「うん、そもそも卵子と精子がただ出会うだけでなく、そこできちんと受精卵になって一週間くらいかけて子宮にたどり着いて、ふかふかの子宮内膜に着床できて、やっと妊娠ということになるから、奇跡みたいというか、奇跡なんだよね、妊娠や出産って」
やっつけ仕事のような心境で人工授精に挑もうとしていた私ですが、この時あらためて子どもを授かることの尊さに気づかされました。
人工授精で使う精子は家で採るのと病院で採るのどっちがいい?!
人工授精は、今まで付き添いだけが多かった夫も“精子を提出する”という重要な任務があります。
夫「人工授精をする当日がいつになるかは、けっこうギリギリまで確定しないということなんですね。精子って家から持参してくるんですか?」
医師「そうですね、奥様の排卵日がズレこむこともあるので、検査結果をみながら人工授精の日にちは決めていきましょう。精液は、どっちでもいいですよ。病院でとっていただいてもいいですし、持ってきていただいてもいいですし」
私たちの場合は、精液検査のときと同じように、人工授精でも病院の採精室を使うことにしました。そのほうが、精子も新鮮だし、運動率などのスコアも確実な気がして。
もし会社の休みがとれないなどの場合は、自宅で採取したものを持っていく方法もあるのですが、精液は温度変化に弱いそうなので猛暑の夏や極寒の冬は、病院まで運ぶのにも気を使いそうな作業だと思いました。
人の体温に近い状態で運搬するほうがいいそうで、実際、旦那さんが採取した精液を入れたケースを奥さんがブラのなかに入れて人工授精当日に病院まで持っていくというのも、けっこう有効な手段みたいです。
というわけで、次回は実際に人工授精の様子をお話したいと思います。
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クロサワキコ
34歳・主婦ライター。妊活歴3年目。男性不妊の治療や人工授精に体外受精、ステップアップを重ねていくなかで感じた不妊治療のリアルな本音を発信しています。