見逃さないで… 離婚にもつながる“マザコン男性”を見抜くポイント！
離婚相談者の多くは「こんなはずじゃなかった」「幸せな結婚生活を送るはずだったのに」「できれば結婚前に戻って結婚相手を選び直したい」と涙ながらにおっしゃいます。
離婚自体は、まったく恥ずべきことではないし、人生の汚点でも何でもないと私自身は考えています。それでも目の前で苦悩の表情を浮かべる相談者を見ていると「結婚前に的確なアドバイスや情報があれば、この離婚は避けられたのに」と、もどかしく思います。避けるべきなのは、離婚自体ではなく、離婚に至るまでの長く苦しい不毛な結婚生活なのです。
そこで婚活中の女性が多いOggi.jp読者の皆さんに、弁護士として多くの離婚相談を行なってきた中で発見した「結婚してはいけない人」の傾向を見抜く、いわば「秘訣」をお伝えしていきたいと思います。
いま交際しているお相手にちょっと不信感を抱いている方、この人でいいの？ と思っている方、いつか結婚したいけどパートナー選びに必要な知識を得たいと思っている方にぜひ読んでいただければと思います。
前回の記事では「マザコン男性」の特徴についてご紹介いたしました。今回は「マザコン男性」との離婚事例を紹介しながら、見抜くポイントを解説していきます。
マザコン男性との離婚事例 〜美奈さん（仮名・32歳）の場合〜
美奈さん（仮名・32歳）はITベンチャーに勤める営業担当。大手ゼネコンに勤める勉さん（仮名・41歳）とはコロナ前に街コンで知り合い、1年ほどの交際期間を経て結婚。半年過ぎたころにコロナ禍となり、2人ともリモートワークを余儀なくされるようになりました。
「いまから思えば、夫は典型的なマザコン男性でした。9歳年上の彼はルックスも悪くなく、また誰もが知る大手ゼネコンに勤務しているにもかかわらず、私と付き合い始める前は、彼女いない歴8年という話でした。女性が苦手というわけでもなさそうだし、清潔感もあり、そんなに長い間彼女がいないのは不思議だな… と知り合った頃まず思ったんですよね」と交際当時を振り返ります。
「彼は都内の賃貸マンションに住んでいたんですが、月の半分くらいは埼玉にある実家から会社や現場に通っていると言っていました。知り合った街コンは賃貸マンションがあったところで開催されたものだったので、私とのデートは都内ばかり。仕事も忙しかったし、出張も多かったので、そんな話も気にしなかったんですよね」
リモートワークで顕著になったマザコンぶり
「驚いたのはコロナ禍になってから。いざリモートワークってなったら、彼、実家で仕事するって言いだしたんです。もともと彼が住んでいた賃貸マンションは2LDKで十分なスペースがあり、結婚後、私の荷物を運び入れても別々の独立したスペースを確保することは十分可能でした」
「どうして？ って聞いたら、“母親が心配するから”って。」
結局、リモートワーク期間は勉さんは埼玉の実家、仙台出身の美奈さんは二人の現住所である都内の賃貸マンションで別居状態に。
美奈さんの会社はITベンチャーでしたので、リモートワークへの移行もスムーズで、毎日オンライン会議もあり、日中は忙しくしていましたが、夜になると、一人ダイニングテーブルで食事する毎日に、いったい何のために自分は結婚したんだろう？ と自問自答するようになったと言います。
「そういえば、付き合っているときからお義母さんの自慢がすごかったんですよね。確かに70代でもいつも綺麗にされていて、スポーツクラブにも定期的に通って体形維持するような方だったので、傍目にも素敵に歳を重ねている女性だな、とは思いました。でも自分の母親のことを美人だとか性格が良くて友達が多いとか言わないですよね？
お義母さんの話は毎回出るのに、お義父さんの話はほとんど出なかったのも、いま思えばマザコンの兆候だったなと思います」
数ヶ月の別居期間中、勉さんから美奈さんに連絡はほとんどありませんでした。美奈さんがLINEを送っても“元気にしている”や“仕事している”といった短いメッセージが返ってくるのみ。夏になり、緊急事態宣言がいったん明けても、勉さんは戻ってきませんでした。
それどころか、賃貸マンションにある洋服や荷物を実家に送ってくれと言うのです。なんだか、だんだん馬鹿馬鹿しくなってしまって。様子も見たいし、顔も見ていないし、“私が届けられるものは持って行くよ”と、美奈さんは勉さんの実家を訪ねてみたそう。
マザコン夫の実家部屋は時が止まっていた…
結婚の挨拶時と、コロナ禍になる前の半年間の間1度訪問しただけだったため、勉さんの実家のリビング以外に立ち入ったのは初めてのことでした。勉さんは実家の自分の部屋に、まるで独身時代のように暮らしていたそうです。
「どうぞって言われて入って、びっくりしました。なんていうか、時が止まっている感じがしたんです。彼が高校時代に埼玉に家を建てているのですが、その時から変わっていないっていうか…。彼が大人になったことを示すのはスーツがハンガーにかかっていたことくらい。ベッドも壁に貼られた家族写真もすべて彼の学生時代を思わせるもので、部屋の中に私との写真は一枚もありませんでした」
美奈さんは勉さんの部屋を思い浮かべて淡々と語っていました。
その後、美奈さんはご自身の両親に話をし、協議離婚を持ちかけました。勉さんと勉さんのお母さんはコロナウイルス感染症を理由に同席を拒みましたが、結婚を継続したいと弁護士を通して主張してきました。残念ながら美奈さんと勉さんの別居期間は、裁判で平均的に離婚が認められる3年に満たないため、そこを理由に離婚に持ち込むことはできませんでした。
美奈さんが「お金を払っても離婚したい」と主張したため、結局結局、解決金を勉さん側に支払って離婚が成立しました。今でも美奈さんは、あの結婚期間は何だったんだろうと、辛い気持ちになるそうです。
マザコン男性は母親と一体化しているケースが多く、こじれたときに母親が交渉の場に立って事を荒立てることもあります。今回はわりとあっさり離婚できたケースでした。
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TOP画像／(c)Shutterstock.com
フェリーチェ法律事務所代表 後藤千絵弁護士
京都府出身。大阪大学文学部卒業後、大手損害保険会社に入社するも、5年で退職。大手予備校での講師職を経て、30歳を過ぎてから法律の道に進むことを決意。派遣社員やアルバイトなどさまざまな職業に就きながら勉強を続け、2008年に弁護士になる。2017年にスタッフ全員が女性であるフェリーチェ法律事務所設立。
離婚・DV・慰謝料・財産分与・親権・養育費・面会交流・相続問題など、家族の事案をもっとも得意とする。中でも離婚案件は女性を中心に、年間約300件以上、のべ3000人以上の相談に乗っている。神戸在住。
