気遣いは「ない」とすぐに気づかれる
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大人になると特に「あの人、気がきかないな」と思うような人が増えてきたと思いませんか? ではその「気がきかない」と感じる理由は何なのでしょうか? 自分自身が気がきかない人にならないためにも、気遣い不足だと感じる原因を知っておく必要がありそうです。
今回は気遣いができない人の特徴と対策を見ていきましょう。
そのウッカリで「気がきかない人」認定
本当の気遣いは、相手の心に負担にならないもので、相手に気づかれにくいものかもしれませんね。しかしながら一方で、気遣いが「ない」と「この人は気遣いが足りない」と気づかれてしまうものです。
相手を不快にさせたいとは誰しも思っていないはずなので、「わざと気を遣わない」というよりは、「ついウッカリできない」ことのほうが多いのでしょう。
やっかいなことに「この人は気遣いが足りていないな」と思われても、本人の耳に届くことはほとんどありません。大人になってしまうと、「言わない」のが普通だからです。そしていつの間にか、自分の気づかないところで「あの人は気がきかない」というレッテルを貼られてしまうものなのです。
自分のことで手一杯のときほど要注意
CA時代、私はたまたま自分の気遣いのなさを知らせてもらい、大いに勉強になったことがありました。これは本当に幸運なことで、もしこの指摘がなければ、いまだに自分の気遣いのなさに気づけずにいたかもしれません。
新人の訓練指導をするインストラクターの仕事を任されたとき、自分の担当していた新人CAが課題をクリアし、訓練は終了。晴れて所属の班に配属されることになったときの話です。新人さんは訓練終了後、Aさんの班に配属されることになったのですが、Aさんは、そのことを事前に知らせてくれればいいのにと愚痴っていたそうです。
Aさんとしては新人さんの名前を入れた歓迎メッセージを用意しておきたかったみたいでした。Aさんは面倒見がよく、情の厚い人で、先に伝えておけばAさんも新人さんも良いスタートが切れたはずです。すぐにAさんにはお詫びをしましたが、「まあ知らせなきゃいけない義務はないけどね」と渋い表情でした。
「気がきく連絡」を心がけよう
ところで、連絡には「漏れてはいけない連絡」と、自分で相手や内容を考えて「伝えたほうがいい連絡」があります。そして、この「伝えたほうがいい連絡」こそ「気がきく連絡」であり「気遣い」なのです。
自分のことで頭がいっぱいになっているときは、ついまわりの状況を見落としがちです。特に、忙しいとき、疲れているときほど気にかけないと、つい忘れてしまうことが多くあります。
ときに「いちいち連絡してうるさいと思われないかな?」と迷うこともありますが、その際には「念のためお知らせしますね」という便利な一言を使えば、相手に伝えやすくなります。
人は、「知る」ことで安心感を得ることができます。誰かに指示されなくても、自分の頭で誰に何を伝えたほうがいいのかを考え、「気がきく連絡」を心がける。それが最終的に、相手に困らず安心してもらえる気遣いの第一歩になるのです。
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今回紹介した、気遣いの秘訣はほんの一部。発売中の著書『仕事も人間関係もうまくいく「気遣い」のキホン』では、気遣い上手になれる秘訣がたくさん詰まっています。
読んだ次の日から実践できるものばかりなので、ぜひチェックしてみてください。
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人材教育講師 三上ナナエ
新卒でOA機器販売会社に入社し、販売戦略の仕事に携わる。その後ANA(全日本空輸株式会社)に客室乗務員(CA)として入社。チーフパーサー、グループリーダー、OJTインストラクター、部門方針策定メンバーなどを経験。
ANA退社後は、研修講師として活躍中。独自の切り口で行う接客・接遇・コミュニケーション力向上セミナー、プレゼン能力アップ研修などは、官公庁や民間企業、大学など多数で採用され、受講者総数は20,000人以上。年間100回以上の企業研修を任されている。
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