【目次】
・「策士」の意味と類語
・歴史上の「策士」たち
・「策士」な人の特徴とは?
・「策士」な人のデメリットや注意点とは?
・最後に
「策士」の意味と類語
まずは、言葉の意味をおさえましょう。そもそも「策士」って何なのでしょう。
「策士」とは、策略を立てるのが巧みな人のことをいいます。自身も策略を練るのが好きなので、何をするにも凝ったことを考えます。ビジネスシーンはもちろん、恋愛における「策士」もいると思います。
歴史上の「策士」たち
歴史に名を残す人物には「策士」が多いものです。その一例をあげてみますね。
黒田官兵衛
豊臣秀吉と同時代を生きた戦国武将。大将に寄り添い、戦略を練る軍師として有名ですね。ある時、織田信長から中国攻めの命を受けた秀吉は、備中高松城の攻略を企みます。
しかし、高松城は沼や堀で強固に守られていて、なかなか攻め落とすことができません。そこで官兵衛が取った策とは何だと思いますか?
答えは水攻め。高松城の周りに全長4キロ、高さ8メートルという堤防をつくり、川の水を堰き止めたのです。ちょうど季節は梅雨。大雨が降った日に、高松城は水没したのだそうです。
ネフメト2世
15世紀、東ローマ帝国の首都・コンスタンティノープルを陥落したオスマン帝国の皇帝です。
当時、東ローマ帝国は敵の侵入を防ぐために金角湾の入り口に鎖を張っていました。この鎖を何とか突破したいと考えたネフメト2世が取った策略がおもしろいのです。
ネフメト2世は、湾に沿った陸地に油を塗った木を並べ、道をつくり、その上を艦隊に進ませたのです。陸地といっても、そこは山。山を超える70隻の艦隊に当時の人々は随分驚いたことでしょう。この奇策は「オスマン艦隊の山越え」として知られています。
諸葛亮(しょかつりょう)
『三国志』で知られる後漢時代の中国での話です。当時、魏、呉、蜀の3国が争っており、諸葛亮は蜀軍の軍師でした。
3国のうち、曹操率いる魏軍が優勢だったため、呉軍と蜀軍は同盟を結び、長江の赤壁で魏軍と衝突したのでした。何とか魏軍を追い詰めたい呉軍と蜀軍。「そのためには矢が10万本ぐらいあれば…。10日くらいでどうにかできないか」との呉軍の軍師・周瑜(しゅうゆ)の言葉に、諸葛亮は何をしたと思いますか?
実は、この周瑜の言葉には裏があります。例えば、呉軍と蜀軍が協力して勝利したとしましょう。その先には、呉軍と蜀軍の争いが待っています。それを見越した周瑜は、諸葛亮に無理難題をふっかけて、先に蜀軍をどうにかしようとしたわけです。
それに気づいた諸葛亮は、周瑜に対して「10日もかけていたら魏軍に滅ぼされてしまう。10万本なら3日でどうにかしよう」と答えました。驚く周瑜。しかし、諸葛亮はその後2日は動きません。ようやく3日目、霧の深い夜に腰をあげたかと思うと、小舟に藁人形を立てて、魏軍の方へ向かわせます。魏軍の曹操は霧の中、船を出すことはできず、遠くから藁人形目掛けて矢を放ちました。
もうお分かりでしょうか。藁人形には10万本の矢が刺さっていました。諸葛亮は敵軍から10万本もの矢を調達したというわけです。
「策士」な人の特徴とは?
歴史上に残された有名な策略と策士をご紹介しました。ここまでではないにせよ、皆さんの周りにも「策士」がいるのではないでしょうか。いくつか特徴を挙げてみますので、思いつく人をチェックしてみてくださいね。
策士な人の特徴「性格」
「策士」だといわれる人は、「ドライ」「したたか」という印象があります。策略を練るときに感情的になることはもっとも避けるべきことですから、当然といえば当然ですね。
たとえば、本当は大好きなものが目の前に登場しても、そんなことは露ひとつ感じさせないのが「策士」だといわれる人です。
策士な人の特徴「行動」
「策士」だといわれる人は、結構社交的です。頭の回転が早く、瞬時に自分にとってメリットがあるかどうかを判断できるので、「メリットがある」とみた人にはスッと取り入ります。
例えば、直属の上司だけでなく、少し離れているけれど、関連のある部署の上席の人など、一見何の関連もない人でも射程範囲。「策士」だといわれる人は、話上手な人が多いので、それとなくゴマをすって、気に入られてしまうのです。
策士な人の特徴「仕事面」
「策士」だといわれる人は、営業職などに向いています。なぜなら、人に取り入るのが上手で、信頼を得ることもお手の物だからです。
トラブルを事前に回避すべく根回しをするのも策略の一つ。自分の描いたストーリー通りにことを運ぶことを楽しんでいる節があるのです。
策士な人の特徴「恋愛面」
「策士」だといわれる人のもっとも得意な分野が恋愛かもしれません。狙いを定めるやいなや、相手のことを徹底リサーチ。外堀を埋めるべく、周囲の友人を巧妙に巻き込んで、最終的には断れないようにすらしてしまいます。
なんだかずる賢いような気がしますが、いずれのシーンにおいても「策士」だといわれる人には悪気はありません。何事にもそうして策略を練ってしまうのです。
「策士」な人のデメリットや注意点とは?
もし、あなた自身に「策士」的なところがあるのなら、次の点に注意しましょう。「策士」であることは決して悪いことではありませんが、行きすぎると「感じが悪いよね」といわれかねない側面があるからです。
1:利害ばかりを優先させない
「策士」だといわれる人は、何かにつけてメリットとデメリットを考える傾向があります。無意識ともいえるスピードでそれらを判断してしまうのですが、できれば、ひと呼吸おいて、それ以外の判断基準も考えてみましょう。
メリット・デメリット以外の要素も必ずあるはずです。
2:素直さも持つように
いつでも冷静でクールなあなた。それはひとつの個性ではあるけれど、感情が表に出てこないと、相手になる人の感情も押さえてしまうことがあります。
ときには、心から笑ったり、怒ったりしてみましょう。理屈などなくてもいいのです。そんなあなたの一面を魅力的だと感じる人もいると思いますよ。
3:人間観察は控えめに
何でも冷静に見て、分析できることは、ひとつの能力ではありますが、その必要のないシーンでは、相手を不快にさせることがあります。みんなで楽しく何かをするときには、分析や計算は不要。TPOを考えることが大切です。
最後に
「策士だね」という言葉は褒め言葉とは言い難いですね。賢いのだけれど、それを巧みに利用している… そんな様子をちょっと否定的に見られているようです。ですが、冷静であること、自分なりのストーリーを描けることは、ひとつの能力です。その力を必要とされるときにこそ発揮すれば、きっと頼りにされると思いますよ。要は、シーンを選ぶことです。
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