【目次】
・「𠮟咤」の読み方と意味とは?
・「𠮟咤」の使い方を例文でチェック
・「𠮟咤」の類語にはどのようなものがある?
・「𠮟咤」の対義語にはどのようなものがある?
・最後に
「𠮟咤」の読み方と意味とは?
まずは、「𠮟咤」の読み方と意味をご紹介します。
𠮟咤の読み方と意味
「叱咤」は、「しった」と読みます。「叱」と「咤」の二つの漢字で成り立っていますが、どちらも叱ることを意味する漢字です。同じ意味の漢字で成り立つ「叱咤」は、「大声を張り上げてしかりつけること」、「しかりつけるようにして励ますこと」という意味になります。
叱咤と叱責の違い
「叱咤」は、「叱りつけるように励ますこと」に対し、「叱責(しっせき)」は、「他人の失敗を叱り咎めること」を意味します。同じ「叱」の字を使っていますが、後に続く漢字で、「励ます」と「咎める」で、意味に大きな違いがあります。
「𠮟咤」の使い方を例文でチェック
1:「部長の言葉を、叱咤激励と捉えてくれればいいのだが」
部長から叱られた場合、それを「責められた」と感じるか、「励まし」と感じるかでは、大きな差があります。部長からお叱りの言葉を受けた新入社員。先輩たちが気にして、「部長の言葉を、叱咤激励と捉えてくれればいいのだが」と心配するようなことも多々あります。
「叱咤激励」は、「大声を張り上げて叱りつけること」という意味を持つ「叱咤」に、「励まして奮い立たせる」という意味の「激励」を加えた四字熟語です。「叱咤」は、「叱咤」だけで使われるよりも、「叱咤激励」と使われることが多く、叱るよりも励ます意味を強く感じさせる言葉です。
2:「彼は会議の場で叱咤されたことで、すっかり自信をなくしてしまっている」
会議の場のような大勢がいる前で、大きな声でしかりつけるようにして励まされたことで、萎縮して自信を失ってしまうこともあるでしょう。「叱咤」する側も、相手に「叱責」と取られないように、「励ます」ということに重きを置いて「叱咤」したほうがいいでしょう。
3:「叱咤激励も時には必要だ」
「○○ハラスメント」を気にしながら、部下の教育をする最近の管理職は大変です。だからといって、いつも褒めてばかりもいられません。「叱咤激励」も時には必要です。ただ、相手に「頑張って欲しい」という気持ちが伝わらないと、「怒られた」というマイナスな印象だけが残りかねませんので、「𠮟咤激励」する方は、注意しなくてはなりません。
「叱咤」の類語にはどのようなものがある?
「𠮟咤」の類語をご紹介します。
1:「一喝」
「一喝」は、「いっかつ」と読みます。「喝を入れる」という言葉で知られるように、「大きな声(一声)で叱りつける」という意味です。
例文:「いつまでも文句ばかりで行動に移さない者を、一喝した」
2:「苦言」
「苦言」は、言いにくいことを言ってまで諫めることで、言われる側にとっては「耳の痛い忠告」です。言われる側にとっては気分の良いものではありませんが、その人のために敢えて言う言葉です。
例文:「あなたのその考え方には、苦言を呈さざるを得ない」
3:「咎める」
「咎める(とがめる)」には、責める、非難するという意味があり、「叱咤」よりも「叱責」に近い意味を持ちます。
例文:「彼は担当者の怠慢(たいまん)を咎めた」
「叱咤」の対義語にはどのようなものがある?
「叱咤」の対義語も合わせて、ご紹介します。
1:「冷笑」
「冷笑」は、「れいしょう」と読みます。字の通り「冷ややかに笑う」ことで、「相手を馬鹿にし、見下した態度で笑う」という意味の言葉です。叱られるのは誰しも嫌ですが、見下した態度で冷たく笑われるよりも、叱りつけるように励まされるほうがいいですよね。叱られた時は、「冷笑」されるよりも「叱咤」されるほうが期待されているのだと、ポジティブに捉えましょう!
例文:「徹夜で考えた提案を、みな冷笑した」
2:「称賛」
「称賛」は、「しょうさん」と読み、「褒めたたえること」です。「叱咤」の「大声で叱る」に対し、「称賛」は、「言葉にして褒めたたえる」という意味を持ちます。
また、「称賛」と混同されがちな「賞賛」という同じ読みの言葉があります。「称賛」は、言葉に出して褒めるという意味ですが、「賞賛」は、金品などを出して褒めるという意味です。会話では気にする必要はありませんが、メールや手紙などでは注意して使い分けましょう。
例文:「彼の行動力は、称賛に値する」
3:「礼賛」
「礼賛」は、「れいさん」ではなく、「らいさん」と読みます。もともとは仏教用語で、「すばらしいものとして、褒めたたえること」、「ありがたく思うこと」です。「礼賛」はただ褒めるだけではなく、相手を尊敬するような場合に使います。
「礼」には「敬う」という意味があります。「礼賛」には単に褒めたたえるだけではなく、敬うというニュアンスも含まれています。
最後に
励ましの気持ちが含まれる「叱咤」。ただ、相手の取り方によっては「叱られた」という印象だけが残ることも。「叱咤」が持つ「励まし」の意味に重心を置いて「叱咤激励」すると、相手に気持ちが伝わりやすいでしょう。また、「叱咤」された側は、「叱咤激励」してくれる人への感謝の気持ちも忘れずにいたいですね。
TOP画像/(c)Shutterstock.com