宝塚歌劇団花組時代に出ていた『ポーの一族』
明日海りおさん演じる「エドガー」が再び観られることに心が震えました!
Oggi専属読者モデル6期生の力丸莉帆です。2018年まで宝塚歌劇団の花組で、男役・桜舞しおん(おうま・しおん)として在籍していました。現在は不動産関連会社で勤務しながら、時間を見つけては趣味である観劇を楽しんでおります(宝塚の舞台に限らずいろんなミュージカルが大好きです!)。
▲力丸莉帆
コロナ禍で外出さえ厳しくなっていた時はエンタメ全般が中止になり、趣味である観劇も叶わなくなりました。心の躍動が止まり、なんだかポッカリ穴が空いたような虚無感に襲われました。持論ですが、ドキドキ&ワクワクする心の元気さがなくなると、免疫力も少なからず下がると思っています。身体のための健康は運動、心のための健康はエンタメ! …そんな感覚です。
昨年5月に初の緊急事態宣言が解除された時に、ものすごく久しぶりにひとりひっそりと劇団四季の『アラジン』を観に行きました。生の歌声とダンスに心が弾み、「あ~、舞台って素晴らしい!」と鼻歌とスキップをしながら帰ったほど(ガチです)。
体調管理ももちろん大切ですが、心の免疫力を上げるべく、最大限の予防対策をして観劇を楽しみたい! 行けない方のためにも、しっかりとレポート頑張りたいと思います。
さっそく観てきました『ポーの一族』! 引き込まれっぱなしの観劇タイム♡
以前『Oggi.jp』にてインタビューさせていただいた、私が尊敬してやまない明日海りおさん主演のミュージカル『ポーの一族』を観劇してきました!
インタビュー記事はこちら▶︎ミュージカル『ポーの一族』の開幕迫る! 主役の明日海りおさんに元タカラジェンヌが突撃インタビュー! タカラヅカ時代の裏話も♡
※1/23に行われた大阪公演のライブ配信を我慢し、今回東京公演を観ただけあって感動は倍になっております(力丸談)。
まず、プロローグの曲の前奏にゾクゾク…! バンパネラの世界(この世ならぬ者の世界)に引き込まれます。そして、明日海さん演じるエドガーが現れた瞬間、その美しさに息が止まり、頭のてっぺんから爪先まで鳥肌が立ち、震えました。
明日海さんは宝塚を退団したはずなのに、そしてもう二度と明日海さんのエドガーは見られないと思っていたのに、そこに存在しているのは確かに明日海さんで… 感動して涙が止まりませんでした。立っているだけでその場の空気を支配するほどの存在感、それが明日海さんの魅力だと思っています。
花組にいた時からずっと好きで、当時、花道で舞台を覗きながら聴いていた『哀しみのバンパネラ』の曲がより完成度が高くなっていて、なんとも切なくて泣きました。
『ポーの一族』で歌われる曲はどれもとても素敵なのですが、今回は男性がいることで曲の層が分厚くなっていて、宝塚公演より少人数なのにものすごい迫力でした。女性だけで歌っていたパートに男性のキーが入るとバランスが悪くなりそうなところがうまく転調されており、NEWバージョンになっています。知っている曲なのに新鮮で、聴いていて心地がよく印象的でした。
そして、エドガーが作った水車を追いかけてメリーベルが出てくるシーン。メリーベルを演じている綺咲愛里(きさき・あいり)さんも元タカラジェンヌで、私の同期です。とにかくメリーベルがかわいすぎて、兄のエドガーと並ぶとまさに絵になるふたり♡
捨てられたふたりを育てた老ハンナ役の涼風真世さんは、声が低くて冷たそうなのに情のあるバンパネラ感が滲み出ていて… 引き込まれました。原作のマンガからそのまま飛び出てきたような老ハンナさまでした。
夢咲ねねさん演じるシーラは、目を見張るほどの美しさ! 小西遼生さん演じるポーツネル男爵との婚約式のシーンでバンパネラになった瞬間、ガラッと雰囲気が変わりその妖艶さにゾクッとしました。
コヴェントガーデンでディリー(花売りの少女)の血を吸ってしまった後、自分がしてしまったことの恐ろしさに気づくエドガーの狂気の場面も印象深いです。エドガーと、エドガーの影たちのダンスの振り付けがカッコよく、エドガーの心が痛いほど伝わりました。
アランを演じた千葉雄大さんは、真っ直ぐで強がっているけれどどこか寂しそうでほっとけない雰囲気たっぷり。エドガーとアランの並びもとても映えていました。
1幕ラストのシーンはエドガーが生い立ちを回想しているような演出になっているため、それまでエドガーの人生にまた思いを馳せることができます。気持ちが2幕につながりやすく、なんだかお得感(笑)がありました。
2幕では、降霊術の場面のブラヴァツキー(霊能者)がたまりませんでした。思わず、「誰が演じられているんだろう?」と確認したほど(1幕で老ハンナを演じた涼風真世さんの2役です)。
セリフを言う以外はずっと頬を膨らませていて、美しいお顔がユニークな表情に! 個人的に見どころ(ツボ)です(笑)。
アランの苦悩の歌は、観ている私も一緒に苦しくなるほどのオーラ。また、エドガーがアランを一族の仲間にしようとする時に、メリーベルが「この人まだ、未練があるわ!」と反対するシーン。
それぞれの感情が入り混じり、その心の動きにリンクする影のダンス…。複雑な気持ちが胸に届くほどの迫力でした。
アランがバンパネラになり、エドガーとともに永遠の旅に出るふたりの曲を聴きながら、こんな美しいバンパネラならもしかしてバンパネラとして生きることも悪くないかも… と思ってしまうほど。ふたりはその後、何年生きているのか? 今もいるのか? と、続きを想像させるエンディングでした。
力丸的見どころは、1幕の、ホテルブラックプールにポーツネル一家が登場するシーン。レッドのベロアの衣装に身を包んだエドガーが「極上の美」なのです! あと、バンパネラとして生きて行く覚悟を決めたであろうコヴェントガーデン以降のエドガーの鋭い目つき。完全にバンパネラになっていく変化は見逃せません。
私が出演していた宝塚歌劇団花組公演の『ポーの一族』の思い出
宝塚公演の時は、萩尾先生の『ポーの一族』の世界観を表現するために「バンパネラとは何か? どういう生き物なのか?」という意識を統一することを徹底していました。「この世ならぬ者」を表現することがとても難しく、とにかく表情・動きを作り込んだためか、今でも脳の引き出しを開けるとその時の感情がスッと思い出されます。
(「どうやって死ぬのか?」とか「消滅とは何か?」とか。ポーの世界では、聖書は効かないけれどニンニクは効くみたいです(笑)。今回、小道具にニンニクが使われているか確認しよう、と思っていたのに忘れていました…)
『ポーの一族』は、衣装も小道具もセットもすべてが美しく、毎日がときめく舞台だった記憶があります。一族のひとりの役を演じた時に、明日海さんの創ったエドガーに共鳴していく感覚が楽しくて、日々自分がバンパネラになったように感じたことも。
宝塚歌劇では最後にフィナーレナンバー(公演を締めくくるミニショーのようなもの)があります。この時のダンスの振り付けがとてもカッコよくて、お芝居の儚く哀しい感情をリセットして「気持ちいい~!!」と発散できるようで大好きでした。
微力ではありますが、これからも働く女性にとっての心のエナジーをみなさんに届けるべく、観劇レポートを続けたいと思います。
ちなみに、「ミュージカルをまだ観たことがない!」「観たいけど敷居が高い」など思っている方におすすめなのが、ライブ配信や映画館でのライブビューイング。まずはそこからチャレンジしてみてもいいかもしれません。
そして、きっと生の舞台が観たくなり、沼にハマるはず…(笑)。一緒にエンタメを盛り上げていきましょう!
撮影/岸 隆⼦(Studio Elenish) 文/力丸莉帆 構成/淡路裕⼦
ミュージカル・ゴシック『ポーの⼀族』
◆公演情報
2月17日(水)まで 東京国際フォーラム ホールC
2月23日(火祝)〜2月28日(日) 御園座
◆ライブ配信
配信公演:
2⽉7⽇(⽇) 12:30 公演
2⽉13⽇(⼟) 12:00 公演【エドガーアングルバージョン】
2⽉13⽇(⼟) 17:00 公演【アランアングルバージョン】
2⽉28⽇(⽇) 12:00 公演
料⾦:
¥4,500(税込)→「Go Toイベント」適⽤で¥3,600
公演パンフレット郵送サービス付き¥6,500→「Go Toイベント」適⽤で¥5,200(数量限定)
※視聴券発売中 各回の開演30 分後まで購⼊可能。チケットはこちら
※アーカイブはございません。
◆国内ライブ・ビューイング
⽇時:2⽉28⽇(⽇) 12:00公演
会場:全国各地の映画館60館
料⾦:¥5,500(全席指定・税込)
※劇場公演・ライブ配信の詳細はこちら
▶︎オフィシャルサイト
▶︎オフィシャルTwitter:@poe_musical
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力丸莉帆(りきまる りほ)
30歳・不動産関連会社 勤務
福岡県出身。9年間宝塚歌劇団に所属していたという華やかな経歴の持ち主で、退団後は不動産関連会社で主に広報を担当。いちばんの趣味は舞台鑑賞!