世界初演となる新作ミュージカル『イリュージョニスト』。迫力に圧倒された2時間!
『Oggi』を盛り上げてくれているOggi専属読者モデル・オッジェンヌのひとり、力丸莉帆さんは、宝塚歌劇団花組に男役として所属していた元タカラジェンヌ。舞台人として演じる側を卒業した今も「舞台」が大好きで、いろんな作品を観ているそう。
「コロナ禍の今は以前のように気軽に観劇しにくくなりましたが、舞台はやっぱり、パワーをくれます。入場時に検温と消毒をし、マスクはずれないようにしっかりする。劇場内ではしゃべらない、など感染対策を行なって今回も観劇してきました」(力丸さん)
力丸さんが観に行ったのは、1月27日(水)〜29日(金)に日生劇場で行われているミュージカル『イリュージョニスト』。宝塚OGで、力丸さんの1期上だった愛希れいか(まなき・れいか)さんも出演している作品です。
主人公を演じる予定だった三浦春馬さんの急逝、カンパニー内での新型コロナウイルス感染の陽性者が判明… などの苦難を乗り越えて上演にこぎつけた今作。初日が延期となり3日間の公演になってしまった中、27日の初日に観劇が叶いました。
「息の詰まるような展開で、こんなに集中してのめり込むように観た作品は久しぶりです。何が本当で何が嘘なのか、何が正義で何が悪なのか、最後は観客に投げかけられるんですよね。自分しか判断ができないことは、自分を強く持っていなければならない… と考えさせられました。
宝塚の舞台は夢を大切にしているため必ず楽しいフィナーレで幕が降りるのですが、最後にずっしりとした思いが残るこんな作品は、また違った面白さがありますよね」(力丸さん)
世界初上演ミュージカル『イリュージョニスト』
原作は、アメリカのピューリッツアー賞を受賞した作家、スティーヴン・ミルハウザーによる短編小説『Eisenheim the Illusionist(幻影師、アイゼンハイム)』で、2006年にはエドワード・ノートン主演にて映画化(2008年日本公開)。
19世紀末のウィーンを舞台に、天才幻影師と公爵令嬢の禁断の愛、傾国の危機が迫るオーストリア皇太子の苦悩、嘘と真実に翻弄される人間模様を、巧みなストーリー展開と華麗なトリックで描き、話題に。今回は日英共同企画の新作ミュージカルとして、日本にて世界初演を迎えました。
「まずうれしかったのは、オーケストラがあったこと。今はご時世的に録音が多いですが、やっぱり生演奏ってすごくいい。音楽を含めて、舞台の空気で浴びられることに感動しました。ストーリー展開が速くて、見逃せないシーンばかり。警部がトリックを解き明かしていく終盤の場面がゾクゾクして、とても印象に残っています。サスペンスですね。
ミュージカルって、歌に感情を乗せてつないでいくから心に入ってきやすいなと思っています。『なんでここで歌うの?』と思ったらおしまいなので、それは一旦おいといて(笑)。セリフに曲がついているからこそ感情を一緒に共有できるというか、想像していけるのが楽しいんです。
興行主の役をされていた濱田めぐみさんの歌声に圧倒されて、鳥肌が立ちました。歌の声色が変幻自在で… 素晴らしすぎます。主役の海宝直人さんは劇団四季の舞台で観た以来だったのですが、海宝さんは、役とともにご自身の懐の深さのようなものが垣間見れるというか、その魅力が絶妙でグッと引き込まれました。あとはやっぱり、先輩であるちゃぴ(愛希れいか)さん! ミステリアスでつかみどころがない公爵令嬢が、とっても美しかった…」(力丸さん)
ミュージカル『イリュージョニスト』は1月29日まで、日生劇場で上演中。スケールの大きい幻想劇に、2時間があっという間に過ぎるはず!
舞台撮影/岡 千里 構成/淡路裕子