厳しい寒さを耐えながら咲かせる花「雪中四友」
今年の2月3日は立春。暦の上では春を迎えても、まだまだ氷点下まで冷え込む日が多く、春を肌で感じられるのはもう少し先。そんな厳しい寒さに耐えながら花を咲かせる、「雪中四友(せっちゅうのしゆう)」という4つの花をご存知ですか? 中国で生まれた言葉ですが、皆さんの身近でも咲き始めているものがあると思いますよ。
今回は、その4つの花を紹介します。
水仙(スイセン)
ヒガンバナ科の植物で、海岸近くにたくさん咲いているのをよく見かけます。清楚で気品あふれる姿ですよね。実はこのスイセン、「ナルシスト」の語源とされているのです。
ギリシャ神話にでてくるナルキッソスという美少年が、水面に映る自分の姿に見とれていたら一輪の花になってしまった、という逸話から生まれたそう。このため、スイセンの花言葉は「うぬぼれ」や「自己愛」なんですよ。
臘梅(ロウバイ)
1~2月ごろ、字のごとく臘を引いたような光沢のある黄色い花をつけます。梅のような香りがするためその名がついたという説や、陰暦12月の別名である臘月に咲く梅であるからという説もあります。ただ、バラ科の「ウメ」とは異なり、ロウバイは「クスノキ」の仲間。
見つけたらその透明感に惹かれること間違いなし、香りも忘れずに確認してみてくださいね。
山茶花(サザンカ)
晩秋から初冬にかけて咲く、日本原産の花です。椿とよく似ていますが、サザンカのほうが花も葉も小ぶりです。また、散るときの特徴が大きく異なり、椿は花全体をぽつんと落としますが、サザンカは花びらを一枚ずつ落とします。地面に散り重なる花びらはとっても趣があります。
梅(ウメ)
早春の冷たい空気の中、小ぶりながらも見ごたえのある花をつけます。それになんといっても気品あふれる香りも特徴的ですよね。別名「春告草」とも呼ばれ、春の訪れを告げる代表的な花です。多くの気象台で開花が観測されていて、今シーズンは東京で平年より8日早い1月18日に開花が観測されました。そろそろ皆さんのご自宅の近くでも咲き始めているのではないでしょうか。
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まだまだ不安な日々が続いていることと思いますが、私たちの周りには季節に合わせて開花する花がたくさんあります。日々の生活の中で四季の移ろいに目を向けてみると、少しずつ状況が前に進んでいるような気がしてくるものです。
気象予報士 太田絢子
気象予報士、防災士。中学生のころから気象に興味をもち、大学在学中に気象予報士試験に合格。卒業後は損害保険会社に就職し、交通事故や自然災害に遭った人へのサービス業務に従事。自然災害が多発するなかで、犠牲者をゼロにしたいと思うようになり、気象キャスターへ転身。現在は地元名古屋のCBCテレビ「チャント!」などに出演中。趣味はモーニング巡り、季節の箸置き集め。