【目次】
・「不徳の致すところ」の意味とは?
・「不徳の致すところ」の使い方を例文でチェック
・「不徳の致すところ」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「不徳の致すところ」を使う時の注意点
・「不徳の致すところ」の英語表現とは?
・最後に
「不徳の致すところ」の意味とは?
政界や芸能界、企業の不祥事による謝罪会見、ここ最近はあまり驚かない光景になりつつありますが…、会見中によく耳にする「わたくし(我々)の不徳の致すところで…」というフレーズ、皆さんは意味をご存じでしょうか?
ネガティブな言葉なのは知ってるけど、詳しくは知らないという方が多いのでは? 今日はそんな「不徳の致すところ」というフレーズの意味、使い方を詳しく解説していきます。いざという時に備え、皆さんしっかりと覚えておきましょう!
まず「徳」とは、“身に得たすぐれた品性、また良い行いやふるまい”の事を指します。それを否定する「不徳」とは、“身に徳が備わっていないこと、人の行うべき道に反すること、その様子”を意味した言葉です。「不道徳」や「背徳」といった言葉を思い浮かべるとイメージしやすいですね。
続く「致すところ」ですが、“招き寄せる、行きつく、引き寄せる”といった意味が含まれています。つまり「不徳の致すところ」は、“自身の道徳心やモラルがかけていたことにより、何か良くないことを引き起こしてしまった”という意味です。
「不徳の致すところ」の使い方を例文でチェック
「不徳の致すところ」は、自分のモラルの欠如により、特定の相手あるいは世間に対し迷惑をかけ、謝罪をする際に使うフレーズになります。口頭でも文書でも使われるこの言葉ですが、具体的にどのような場面で使うのか、例文を用いて説明していきますので見ていきましょう。
1:「この度の不倫報道についてはすべて、わたくしの不徳の致すところです。関係者の皆様、ファンの皆様に深くお詫び申し上げます」
最近よくテレビで見かける不倫の謝罪会見。世間的にはまさに“背徳”による謝罪になりますね。「不徳の致すところ」という言葉自体には、謝罪の意味は含まれていないため、きちんと謝罪の言葉を伝えることが重要となります。
2:「そのチームは4年連続で予選リーグ敗退となり、監督は辞任に際し、『自分の力不足、不徳の致すところ』とコメントを発表した」
野球やサッカーなどのスポーツ界では、大きな大会で負けてしまった時などに、責任を取って監督が辞任することってありますよね。そういった時によく耳にしたりするのが、このフレーズです。モラルに反する、というよりは、力不足が原因といったニュアンスが込められています。
3:「このような不祥事を起こしたことは不徳の致すところではございますが、皆様の信頼回復に努める所存です。誠に申し訳ございませんでした」
一度失った信頼を取り戻すことはそうたやすいことではありませんが、謝罪の気持ちを伝えると共に、信頼回復への努力の意志を表明することも、非常に大事なポイントになります。
「不徳の致すところ」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
「不徳の致すところ」を別の表現で言い換えることはできるのでしょうか? いくつかご紹介したいと思いますので、早速見ていきましょう。
1:「不徳の極み」
「極み」とは、究極、極限などの言葉にあるように、“物事の行きつく先”のことです。「不徳の致すところ」よりもさらに反省の意が相手により強く伝わる表現になりますね。
例文:「このような事態を招いたこと、誠に不徳の極みでございます。深くお詫び致します」
2:「不徳の至り」
「至り」もまた「極み」と同様、物事の成り行きや結果、つまり“これ以上ない極度に達している事”を意味します。よって、こちらも「不徳の致すところ」よりも、猛省している気持ちが込められている表現です。
3:「わたしの責任です」
「不徳の致すところ」というのは、過ちや失敗の原因は自分にあると非を認めることになります。ストレートに、「わたしの責任」と言い換えることも可能です。
「不徳の致すところ」を使う時の注意点
「不徳の致すところ」は、非常に堅い表現で日常的にはあまり使われません。ちょっとしたミスなどで使うと、大げさで反省の意が伝わりません。かえって不信感を与える可能性があるので、使う場面には気を付けましょう。ビジネスシーンで、日常的に使える謝罪表現としては、下記のような例が挙げられますので、併せて覚えておきましょう。
・「この度は、ご迷惑をおかけし大変申し訳ございませんでした」
・「記載に誤りがあり大変失礼致しました。誠に申し訳ございません」
・「再三のご変更となりご迷惑をおかけいたしました事、深くお詫び申し上げます」
「不徳の致すところ」の英語表現とは?
「不徳の致すところ」の英語で表現する場合の注意点は、「謝罪する気持ち」にフォーカスをすることです。「不徳の致すところ」はあくまでも枕詞にすぎませんので、英語に訳す場合は、下記のようにお詫びする気持ちがきちんと伝わるように表現することが重要なポイントとなります。
・I’m really sorry for causing this.
(このような事態を招き大変申し訳ありません)
・This is all my fault. I deeply apologize.
(すべて私の責任です。深くお詫び申し上げます)
・I need to take responsibility for this. I am very sorry.
(このことに関し責任を取る必要があります。本当に申し訳ありません)
最後に
いかがでしたでしょうか? まとめると「不徳の致すところ」は、不祥事や失敗をしてしまった際に、公の場や書面にて、自分のモラル欠場による非を認め謝罪する際に使うフレーズになります。使う場面が来ないことを願うばかりですが、万が一の時に備え、意味や使い方はしっかりと覚えておいた方がよいでしょう。
TOP画像/(c)Shutterstock.com