ヒアリングとリスニングの違いってわかる?
「商談時の成否の鍵はヒアリング」、「監督官庁からヒアリングの要請を受けた」など、社会人になって、ヒアリングという言葉が身近になった方もいらっしゃるのではないでしょうか。ところで、ヒアリングってどんな意味か知っていますか? 「ヒアリング」と「リスニング」をひとつずつ紹介していきます。
◆ヒアリングは『ビジネスの場では聞き取りや情報収集』
ヒアリングとは「【1】外国語を耳で聞いて理解すること。また、その練習。ヒヤリング。【2】公聴会。聴聞会(デジタル大辞泉より)」のこと。
ビジネスの場では【2】の公聴会や聴聞会から転じて、意見を聞く場や意見を聞くこと、聞き取りや情報収集という意味で使われることが多いですね。
英語の“hear”は自然に聞こえてくる、耳にする、というニュアンスの「聞く」を意味します。そこから“hearing”は「聴覚」の意味を持つほか、ヒアリングと同じく、「公聴会」を意味する言葉としても使われます。
そういった語源から考えると、営業マンが商談時のヒアリング力をつけたい! というのは自然な流れで、ニーズを聞き出す力をつけたい、という想いが隠れているのかもしれませんね。一方で監督官庁からのヒアリングは「公聴会」を意味する“hearing”に近しいイメージかもしれません。
なお、上記のようにデジタル大辞泉で「ヒアリング」と調べると「ヒヤリング」と載っているように、「ヒアリング」と使っても「ヒヤリング」と使っても間違いではありませんが、例えば内閣府の政策に「新型コロナウイルス感染症の実体経済への影響に関する集中ヒアリング」とあるように、「ヒアリング」と使う方が一般的となっています。
◆リスニングは『耳を傾けて意識的に聞くこと』
ヒアリングと似た言葉に「リスニング」がありますね。
リスニングとは「聞くこと。聞き取り(デジタル大辞泉より)」のこと。“listen”はしっかりと耳を傾けて「聞く」ことをいいます。
ラジオを思い浮かべると納得ですね。また、学生時代には英語のリスニングのテストがあり、一生懸命聞き取りましたよね。
◆ヒアリングとリスニングの違い
このヒアリングとリスニングもどちらも耳を使って「きく」ことを意味しますが、その違いはなんでしょうか?
ヒアリングは自然に「聞こえてくる」場合に多く使われます。一方、リスニングは意識して「よく聴く、耳を傾ける」と言うニュアンスで使われます。
違いをわかって使うことができると、英会話もスムーズにいきそうですね!
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いかがでしたか? ヒアリングと聞くと、英語を母国語としている方は“hearing”の公聴会という意味から、尋問のような聞き取りをイメージされることが多いようです。ヒアリングと“hearing”にはニュアンスに乖離があることから、和製英語として挙げられることも。
英語のカタカナ表記のようでも日本独自のニュアンスが加わって使われる言葉もあることを覚えておくといいですね。
言葉の意味/デジタル大辞泉
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!