【目次】
・「ご報告まで」の意味と使える相手とは?
・「ご報告まで」の使い方を例文でチェック
・「ご報告まで」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
・「ご報告まで」をより丁寧にした表現とは?
・「ご報告まで」を使う時の注意点
・「ご報告まで」の英語表現とは?
・最後に
「ご報告まで」の意味と使える相手とは?
「取り急ぎご報告まで」という言葉を何気なく使ってはいませんか? 実はその表現、失礼だと思われているかもしれません。本記事では、「ご報告まで」の意味や正しい使い方について解説していきます。
まずは、「ご報告まで」の意味。そして、どのような相手に使えるかをみていきましょう。
◆ご報告までの意味
「報告」は、「告げ知らせること。特に、ある任務を与えられた者が、その経過や結果などを述べること。また、その内容」という意味。文末にある「〜まで」は、終助詞的に用いられ、前にある言葉の意味を強め、確認する気持ちを表現します。
「ご報告まで」を使うのは、基本的に急いで内容を相手に知らせる場合です。最終的な内容ではないものの、ひとまず上司や取引先に今の段階で分かっている結果を伝えておきたい時に使います。また、速やかに伝えることが前提で、簡潔に内容だけを伝えることがポイントです。特にさっと目を通すことが多いメールの場合は、「ご報告まで」の後に長々と説明することは避けて返信不要とします。
後であらためて詳しい内容を伝えるようにしましょう。「追ってご連絡いたします」といった言葉を文末に追加しておくと「ご報告まで」のそっけなさが和らいで、丁寧な印象を与えられます。上司や取引先に対しての結びのことばが「ご報告まで」と言い切りになってしまうと不躾な印象となりますので注意してください。
◆ご報告までを使える相手
自分が相手に報告するときにつける「ご」は謙譲語となり、相手に対する謙遜を表す言葉になります。ですので、上司や取引先に対して「ご報告いたします」という表現は、間違いではありません。しかし、先述した通り、「ご報告まで」と言い切りになってしまうと不躾な印象となりますので、後であらためて詳しい内容を伝える等、気遣いを忘れないようにしたいですね。
◆ご報告とご連絡の違い
「報告」とは、「与えられた任務について、その結果を述べること」の意味。「連絡」は、「関係がある人々に情報などを知らせること」の意味です。誰かに物事を伝えるという意味では報告も連絡も似ていますが、伝える内容に違いがあります。
「報告」は、今自分がどのような状況にあるか、どこまでその仕事が進んでいるかについて知らせるのが目的です。「連絡」は、その時々で発生した事実を関係者に知らせることが目的である点が違います。
「ご報告まで」の使い方を例文でチェック
いくら急ぎの返信であり、返信の相手が親しい上司や先輩であったとしても、相手への気配りや適切な言葉遣いは忘れずに連絡をするようにしましょう。
<例文>
1:「明日のミーティングは明後日の同じ時間に変更になりました。取り急ぎご報告まで」
2:「上司の山田にご報告させていただきます」
3:「本日のクライアントとの打ち合わせでフィックスした内容をお知らせいたします。取り急ぎご報告まで。追って議事録をお送りいたします」
「ご報告まで」の類語や言い換え表現にはどのようなものがある?
1:「まずは、要件のみ申し上げます」
「ご報告まで」を使う場合は、簡潔に内容だけを伝えることがポイントだとお伝えしました。ですので、「要件のみ」を伝えると言い換えることができます。「ご報告まで」よりも丁寧に表現できるので、覚えておくと便利ですよ。
2:「ご連絡まで」
「ご報告まで」と同様に、相手に今すぐ伝えるべきことがある場合に使います。目上の相手には「取り急ぎのご連絡失礼いたします」などと、丁寧な表現を用いましょう。
3:「お返事まで」
「取り急ぎお返事まで」は、「とりあえず急ぎ返信します」という意味の言い回しです。今は、ゆっくり返信する時間はないけれど、先に返信をしますというニュアンスになります。特に、ビジネスシーンでは、今は返信をしている時間がないといった場合でも、リアクションを早めにしておくと相手に「返信を待つ」手間をとらせずにすみます。
「ご報告まで」をより丁寧にした表現とは?
あまり親しくない上司等、「ご報告まで」を使えない相手に対してはどのように表現したらよいのでしょうか? 同じようなニュアンスで丁寧な表現を覚えていきましょう。
1:「まずはご報告申し上げます」
報告という言葉を丁寧に表現した敬語が「ご報告」です。そこに、謙譲語である「申し上げます」を付け加えることで、さらに相手に対して丁寧な表現になります。上司などの目上の人や取引先などの社外の人に対しての敬う気持ちが表現できます。
言い切りの形になる「ご報告まで」よりはずいぶん丁寧なニュアンスが強くなるでしょう。また、「申し上げます」を「いたします」や「させていただきます」と言い換えることも可能です。
2:「まずはご報告のみにて失礼いたします」
「まずはご報告申し上げます」と同じように丁寧な表現として用いることができます。また、報告だけであることに対し、「失礼いたします」を加えることで、取り急ぎの連絡に対しての申し訳ない気持ちを表すことができますね。
3:「要件のみのご報告で大変恐縮ですが、よろしくお取り計らいのほどお願い申し上げます」
先述した例文よりも、さらに丁寧な表現になります。また、メールでの報告をし、後日お伺いする場合は文章の最後に「結果のみ申し上げます」として内容を報告し、その後改めて報告する旨を記載しておくとさらに気の利いた表現となります。
「ご報告まで」を使う時の注意点
「ご報告まで」を使う際に注意したいポイントを抑えて、正しく使えるようにしていきましょう。
1:上司や取引先など目上の人には基本的に使わず、親しい間柄の人のみに使用する
短く言い切る「ご報告まで」という言葉は、敬語ではありますが冷たい印象を与える可能性があります。そのため、「取り急ぎ」という言葉を頭に付けて、迅速に処理しているニュアンスを出す言葉のテンプレートになっていることが多いです。
しかし、「取り急ぎ」という言葉に含まれているのは「現段階ではこうです」という意味合い。すべて完了した最終的な報告ではないことを伝えているわけですから、至急の場合であっても目上の人や社外の人に対しては使わないようにしましょう。同僚など、理解のある親しい間柄である人だけに使うとよいですね。
2:相手に返信してほしいのかを明記する
「ご報告まで」は、一般的には目上の人に対して使用しない方がいい言葉でしたね。しかし前後の文章によっては使える場合もあります。例えば、終了した仕事の結果を急ぎで上司に知らせる場合、上司からその報告に対して返信がほしいのか、それともお知らせとして報告を受けてもらうだけで返信不要なのかをメールの文中で明記しておくことが大切です。
返信が必要な場合は、「ご確認よろしくお願いいたします」などの丁寧な言葉を文末に付けておきます。返信不要なら文末に「返信不要です」と付け加えておくと、報告のみの連絡であることが伝わるでしょう。
3:後から詳しい内容を報告する
「ご報告まで」という言葉で相手に内容を伝える場合は、後日詳しい内容をあらためて知らせることが必要です。「ご報告まで」を使うのは、現段階の状態をお伝えする場合。つまり、見通しのついた内容をひとまず伝え、最終的な結果は今後伝えるというニュアンスが含まれています。
そのため、「ご報告まで」の後に「最終的な結果が分かり次第追って報告いたします」といった文章を文末に追加しておきます。結果がまとまり次第、最終的に報告を行うことを、忘れないようにしましょう。
「ご報告まで」の英語表現とは?
単に結果を伝えるだけの場合であれば、「I am reporting.」という英語表現がよいでしょう。敬語表現という概念がない英語は、こうした簡潔な形で知らせることが多いです。ビジネスの場では「The above was just a quick report.」という英語表現も多用されますので覚えておきましょう。
最後に
「ご報告まで」という言い切りの表現は、ビジネスシーンでは失礼になることが多いです。別の言葉に言い換えて、使えるようにしておきましょう。よく聞く慣用句でも誤った使い方がされている場合がありますので、正しい敬語が使える社会人を目指したいですね。
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