【目次】
・「頂く」の読み方と意味とは?
・「頂く」をビジネス等で使う時の注意点とは?
・「頂く」「戴く」「いただく」の違いは?
・「頂く」の使い方は? 例文でチェック
・「頂く」の類語にはどのようなものがある?
・「頂く」の英語表現とは?
・最後に
「頂く」の読み方と意味とは?
「お土産を頂く」「社長賞を戴く」「教えていただく」この3つの違いについて説明できるでしょうか? 本記事では、普段何気なく使っている「頂く」について解決します。「頂く」「戴く」「いただく」の違いについても理解し、使い分けられるようになりましょう。
まずは、「頂く」の読み方と意味を解説します。
◆「頂く」の読み方と意味
「頂く」は、「いただく」と読みます。主な意味として、「もらうの謙譲語」「食べる・飲むの謙譲語」があります。
◆「頂く」の使い方は? 敬語として正しい?
先述した通り、「頂く」は「(物などを)もらう」「~してもらう」の謙譲語になります。謙譲語ですので、目上の方に対して用いても問題ないですよね。例えば、「お中元を頂く」「確認して頂く」などと使います。
また、「食べる、飲む」の謙譲語として使用する場合についても解説します。例えば、食事をする際の「いただきます」です。この場合は、「食べる」の謙譲語としての「いただく」。食事に携わってくれた人や食材そのものへの感謝と敬意を込めて使います。ご存知でしたか? これからは今まで以上に感謝と敬意を込めて、「いただきます」を使っていきたいですね。
「頂く」をビジネス等で使う時の注意点とは?
ビジネスシーンにおいて、注意すべき点について解説します。
「頂く」は「(物などを)もらう」「~してもらう」「食べる、飲む」の謙譲語ですので、目上の方や社外の方に対して用いても問題ありません。近年、「食べる」「飲む」の謙譲語「いただく」を「どうぞ冷めないうちに頂いてください」というように尊敬語として使うケースが増えているようです。正しくは、「どうぞお召し上がりください」。先ほどの例文に出てきた「どうぞ冷めないうちに頂いてください」の「頂く」の使い方は、誤用ですので注意してください。
「頂く」「戴く」「いただく」の違いは?
まず、「頂く」と「戴く」の漢字の違いについて解説します。この違いは、「頂」が常用漢字であるのに対し、「戴」は常用外漢字であることです。教科書や公文書などでは、常用漢字を用いるとされているので「頂く」を用います。「戴く」が使われることはありません。また、ビジネスシーンにおける文書などでも、基本的に常用漢字である「頂く」を使い、「戴く」は使わないよう注意してください。
では、「戴く」はどのような場面で用いるのでしょうか? 「戴く」は、「ありがたく受ける」「もらう」の謙譲語として使用します。相手が自分よりも非常に上でかしこまるような場面に適していますね。敬意を強調したい場合に、あえて「戴く」を使うのが好ましいです。ただし、常用外漢字を用いることには変わりありませんので、あくまでも個人的なメールやお礼状などでの使用にとどめた方が良いでしょう。例としては、「社長賞を戴き、光栄に存じます」などと用います。
では、漢字表記の「頂く」とひらがな表記の「いただく」には、どんな違いがあるのでしょうか? 「頂く」は、「物をもらう」という意味で用いますね。一方、「いただく」は、「~していただく」という意味で用いるという違いがあります。
具体的には、「先輩からお土産を頂いた」と「先輩に仕事を教えていただいた」という例文で違いを比べるとわかりやすいのではないでしょうか。お土産は“物”を頂いていますね。対して、仕事は物ではなく“行為”として教えていただいたものです。このように補助動詞の「いただく」の場合には、ひらがな表記するのが好ましいとされていますので覚えておきましょう。
また、ひらがな表記の「いただく」にはもう1つの使い方があります。補助動詞としての使い方に限らず、あえてひらがな表記の「いただく」を用いるのもテクニックのひとつです。漢字ばかりが並ぶことを避けたい場合や、柔らかいイメージにしたい場合に効果的ですので、状況にあわせて使い分けましょう。文章がより読みやすくなるはずですよ。
「頂く」の使い方は? 例文でチェック
実際の「頂く」の使い方を例文で確認していきましょう。漢字表記とひらがな表記の使い分けをマスターできると良いですね。
1:「部長から出張のお土産を頂きました」
この例文は「もらう」の謙譲語「頂く」を用いて、「お土産をもらった」という自分の行為をへりくだって表現しています。すなわち、部長に対しての敬意を表していますね。「物をもらう」という意味で「頂く」を用いていますので、漢字表記の「頂く」を用います。
2:「今回は辞退させていただく所存です。」
「させていただく」は、自己がある動作をするのを他人に許してもらう意味で、「させてもらう」の謙譲語です。目上の人などに自分の行為をへりくだって表現するときにも使われます。この場合は、補助動詞として用いられますので、ひらがな表記が良いでしょう。
「いただく」は、「所存」と合わせ「いただく所存です」などと使います。「所存」は「しょぞん」と読みます。「思います」「考えます」「つもりです」という意味で、より丁寧に表現する言葉です。つまり「いただく所存」は「自分が~をさせてもらおうと思っている」ということを丁寧に伝えたいときに使いましょう。
3:「先生にアドバイスをいただきました」
「~していただく」は、話し手または動作の受け手にとって恩恵となる行為を他者から受ける意味。この場合もひらがな表記が良いでしょう。アドバイスは物ではなく、行為にあたりますので補助動詞「いただく」として用いられるからです。
「頂く」の類語にはどのようなものがある?
「頂く」の類語を抑えておくと、ボキャブラリーの幅がより広がりますよ。ここでは3つご紹介します。
1:「賜る」
「賜る」とは目上の人から何かをもらう場合に使われる言葉です。「頂く」と同様に相手から何かをもらったり、何かをしてもらったりするという意味があります。ただし、「賜る」は物品以外のものを頂く際にも使えますので違いに注意をしてください。
2:「頂戴する」
「頂戴(ちょうだい)」は、人から何かをもらうこと、また、もらって飲食することをへりくだっていう語。「頂戴」は、基本的に「頂戴する」「頂戴します」「頂戴しております」と用います。
「頂戴いたします」というセリフを耳にしたことはありますか? 丁寧な表現に感じますよね。しかしこの使い方は、「頂戴」と「いたします」を重ねて使う二重敬語であるため、誤った表現なんです。注意してくださいね。
3:「拝受」
「拝受」は「受け取る」という意味。「頂く」と同様に、「人から何かをもらう」ことを表現しています。しかし、「拝受」は「頂く」とは異なり、ビジネスシーンでの事務的なやりとりに適しているでしょう。それは、「頂く」が事務的なやりとりだけでなく、相手からの好意によって何かをしてもらう場合にも使われるからです。
「頂く」の英語表現とは?
英語表現には、敬語の概念が存在しないため、「頂く」と全く同じように使うことができる単語はありません。「もらう」という意味ならば、have・get・receive・accept などがあります。また、「would it be possible for you to ~」(~していただくことは可能でしょうか?)というフレーズは、かなり丁寧な表現なので「頂く」に近い意味合いになります。
1:Can I have this book?(この本を頂いてもよろしいですか?)
2:Would it be possible to give me a little more time to consider it?(もう少し考える時間をいただくことはできますか?)
最後に
今回は、「頂く」「戴く」の使い方、ひらがな表記の「いただく」についてご紹介しました。ビジネスシーンでは、物を頂くだけでなく、アドバイスや何かを教えていただくシーンがたくさんありますね。状況に合わせて、上手に「頂く」を使い分けるようにしましょう。
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