WITH コロナ時代の旅はどう過ごす?
マイクロツーリズムを箱根強羅「ホテルインディゴ箱根強羅」で実践
最近新しい旅スタイルとして注目を集める「マイクロツーリズム」。これは、新型コロナウイルスの影響で大きな外出ができない状況の中で、「自宅周辺の観光地に出かけよう!」とする試みのこと。早速実践してきました。今回は箱根強羅の『ホテルインディゴ箱根強羅』をセレクト。前回記事では、『ホテルインディゴ箱根強羅』のアウトラインとホテルが取り組むウイルス対策についてお届けした。
今回は、お部屋やお料理、非日常を与えてくれるホテルの仕掛けなどをレポートしたいと思います。
◆部屋の中に仕掛けられた数々の“ネイバーフット”
ホテルインディゴ箱根強羅のコンセプトは「ネイバーフットストーリー」。ホテル周辺地域の特徴と特性をリソースとして、ホテルの設えや装飾品、料理へと反映されています。チェーンホテルでありながら、同じホテルが2つとないユニークなコンセプト。まさにマイクロツーリズムという近場の旅だとしても、ローカルスタイルにどっぷりと浸れる(つまり旅感を高めてくれる)、そんな工夫が散りばめられているというわけです。
地元の工芸品、寄木細工をイメージして作られたオリジナル家具。
部屋の冷蔵庫の中のドリンクもローカルメイド中心。ペットボトル製品を置いていないのは地球環境のため。
▲部屋のアメニティ。
「これ、セットで持ち帰りたいわ…」今、そう思いました? フロント横の売店でお買い上げください。
ちょっと感動したのはこのコップ。こんなふうに歯ブラシを立てられる、ありそうでなかったアイデア(ネイバーフットには全く関係ありません)。
全室お風呂付き。いつでも蛇口から温泉状態。24時間部屋のテラスの露天風呂で一献可能って、最高じゃないですか!
部屋にシャワールームあり。外資系ホテルはこういうところがちゃんとわかっていると思います。
お風呂上がりに羽織る浴衣とバスローブどちらもあり。近所を散歩するのに便利な下駄もちゃんとあります。但し、レストランでは浴衣&下駄はNG。そこは外資のこだわりか?
Boseスピーカー、USB充電、無料高速Wi-Fi完備。ワーケーションもOK。
◆デザインに六角形モチーフを多用する理由
館内の至るところで目にする六角形。実は「強羅」は亀の甲羅に由来しているという説があり、亀の甲羅である六角形をデザインしたもの。ほかに岩がゴロゴロしていた場所であったことから、ゴロゴロという語呂から「強羅」となったという説も。
ベッドのクッションも六角形。ベッドの背後の写真は、地元の写真館が所蔵していた昔の箱根の様子(現在ウィルス対策のため、クッションは使用されていません)。
◆当然、料理は限りなく地産地消のものを
山の強羅ということもあり、全てを地産地消にするというのは難しいようです。が、かなりの部分、地元産の食材が使われています。
地元の薪でオーストラリアのシェフが焼いた足柄サーロインビーフ、これ本気で旨すぎ。久々にとろけるビーフを食べた気がします。牛肉、豚肉のほか魚介類もあり。焼くというよりむしろ炙った感じの優しい味? 火の通り具合と薪で焼いた香りが絶妙。
デザートのスモークチーズケーキのプレゼンテーションもお見事! スモークの香りが十分行き渡った、文字通り見事なスモークチーズです。
地元のわさびを使ったわさびマヨネーズで食べる、マグロのカルパッチョ。マグロの上の緑の小粒はクロレッツではありませんよ。ましてイクラでもありません。わさびのジェルで作っています。
朝食のリバーサイド弁当は二段のお重。足柄かまぼこの弾力が絶妙。洋食のリバーサイドセットにはドカンと神奈川ソーセージ。こちらもプチップリッな歯ごたえが絶妙。
「ネイバーフットストーリー」から生まれたオリジナルカクテルは二種類。季節には箱根強羅を彩る紫陽花カラーの“INDIGO+”、御殿場蒸留所で作られたウィスキー富士山麓をベースにして小田原のフルーツ、梅をシェイクしたカクテルした“AKAFUJI”。
◆安心空間の中に用意された快適かつエスケープ感を与えてくれる装置や仕掛け
“ザ・スパ by HARNN”
タイ発の世界的に知られたスパ。World Luxury Spa Awards受賞歴ありのスパが日本で体験できるのは、別府のインターコンチネンタルホテルとここだけ。
日本で入手困難なソープ、ハンドクリームほかHARNNの商品が購入可能。
大浴場? プール?
箱根といえば、それはもう温泉。大浴場で手足を伸ばし「あ、あ〜、極楽極楽」。「寿命が伸びますなぁ」なんてのが、箱根のお約束。
ここの温泉は他とはちょっといや、かなり変わっていて、水着着用で男女一緒に入れるおしゃれな温泉。深さ1、2メートルの立ち湯で水流に逆らって水中ウォーキングしたり、デッキチェアに横になり半身浴、箱根の火・水・岩をイメージしたデジタルアートが流れる巨大モニターを眺めつつ、ジェットバスで全身マッサージ、スペ−ス中央のラウンジチェアでまったり、そしてもちろんサウナでスッキリ…。
そんな新しい温泉の過ごし方を提供してくれています。
◆清流早川を眺めつつの足湯
中庭の早川を見下ろす位置に設けられた足湯スペース。飲み物や食べ物を運んでもらうことも可能なので、眼下に清流、足元スッキリ、カクテルでいい感じにまったり過ごせます。
◆箱根・強羅マイクロツーリズムのお土産
ホテルへのACCESSですが、電車の場合JR小田原駅からホテルの無料送迎バスを利用。もしくは箱根登山鉄道「強羅」駅から徒歩約15分です。で、小田原に寄ったら小田原名品の練り物をぜひ。実は個人的にも大好きなんです、ちくわや蒲鉾といった練り物。
◆蒲鉾で町興し
▲小田原かまぼこ通り活性化協議会会長田代さん(右)と専務理事の小西さん
小田原を盛り上げるため「小田原かまぼこ通り」を再整備しながら、かまぼこ押しのユニークな試みが行われていると聞いたら、練り物好き神奈川県民の自分としては盛り上げないわけにはいきません。
小田原蒲鉾発祥の店“鱗吉”では、神奈川の酒蔵のお酒を全て揃え、蒲鉾をつまみにこんなふうに一杯できるんです。因みに蒲鉾を切る際の厚みは「15ミリに切るのが最も美味しいんです」(田代さん)ということを初めて知りました。
宿泊もお土産も地域密着、それもまたマイクロツーリズムなんです。
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ということで、WITH コロナ時代のニューノーマルな旅スタイルになり得る、マイクロツーリズムレポはこれでおしまい。都会から車で約70分という距離にも関わらず、日常からシフトチェンジしてくれる世界観、全98室という静けさを保つに程よい規模感、世界ホテルチェーンの世界標準のサービスと安全基準と国際感が、なんとも心地よい旅となったのと同時に、目的地に加え、これからの滞在先選びのヒントがかなり得られた旅でもありました。
取材協力/ホテルインディゴ箱根強羅
山下マヌー Manoue Yamashita
雑誌編集者を経て旅行コラムニスト/作家に。渡航回数350回超、最新刊『 山下マヌーのランキンハワイ最新版』で著作は62冊に。
Travel columnist&writer after a magazine editor.
Over 350 times to foreign travel, and over 60 books of the copyright so that work.