倍返しの「倍」ってどれくらい?
いよいよ7月19日より「倍返しだ!」のセリフで一世を風靡した『半沢直樹2』が始まりますね!
あれ? でもちょっと待って。「倍返し」ってどれくらいだっけ? 二倍返しであってる?
◆倍とは二倍のこと
まず倍の意味から。デジタル大辞泉によると、以下のように書かれています。
1. ある数量を二つ合わせた数量。2倍。
2. 助数詞。同じ数を重ねて加え合わせる回数を表すのに用いる
つまり、倍=二倍ということ。
言い方によって、倍と言ったり、二倍と言ったり、どちらも同じ意味なのに、なぜそのような使われ方になったのでしょうか?
もともと日本では、一倍といえば、みんなが二倍と理解していました。この数え方は、日本で発展してきた算数(和算)に用いられたことに由来します。
しかしその後、西洋の文化・考え方が日本に入ってきて、明治時代には近代化を目指す中で、西洋化が進められ、学校教育においても西洋の算数が取り入れられました。
英語では二倍をtwo times、三倍をthree timesと表現しますよね。これは掛け算で、2×3=6をTwo times three is six.と表現することからきており、このtimesと近しい意味で倍を使うようになったんですね。
このように日本の算数と西洋の算数がミックスされたことによって、言い方が複雑になったのです。
◆倍と二倍は使い分けられている?
数量が明確だったり、二倍であることを強調したいときなどの算数的意味で用いる場合には二倍と使いますが、現在においても倍=二倍の意味で伝わるため、日常生活においてはそこまで厳密に倍と二倍を使い分けていないように思います。二倍の省略形が倍というような認識ということ。
一方、現在もあえて一倍を使う表現として、人一倍があります。『人一倍努力をして、難関試験を一発で突破した』などと使いますね。
人一倍とは「普通の人以上であること」をいい、人より多いということを示すために用いられる表現です。和算で使っていた一倍の名残りともいわれていますが、これまで見てきたような数量的な意味合いではありません。
話がややこしくなりましたが、冒頭の半沢直樹の決め台詞に戻ります。
ドラマの中で出てくる倍返しも、前述の「1. 贈られたものや受領したものに対して、倍額に相当する金品を相手に返すこと。2. やられた以上に手ひどく仕返しをすること。」のうち、2番の意味であり、数量的な意味合いの倍ではなく、自分が受けたダメージより多くのダメージを与えてやる! という思いを込めて使っているんですね。
実際に前回のシーズンは半沢直樹が受けたダメージを倍以上に返していた気がします。
* * *
倍という言葉も歴史とともに使い方が変化し、数量的意味合いのほかに、より多いというニュアンスが付け加えられたんですね。
しかし、二倍という意味を失うのではなく、これまでの意味も持ちつつ、二をつけることで西洋の算数にも対応できるようにしてきたところが柔軟な日本語らしいですね。その柔軟さゆえに外国の方からみると難しい言語なのかもしれませんね。
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!