【目次】
・「暗中模索」
・暗中模索の意味や由来とは
・暗中模索の使い方を例文でチェック
・暗中模索の類語にはどのようなものがある?
・暗中模索の対義語にはどのようなものがある?
・暗中模索の英語表現もチェック
・最後に
「暗中模索」
真っ暗闇の中で、探し物をしても見つかるわけがありません。手に触れる物を掴んだとしても、目的の物かどうか確認することさえできませんよね。言葉も意味や適切な用法も知らないまま使ってしまうと、訳のわからない「暗中模索」をしているような会話や文章になってしまうかもしれません。
そんなことにならないように、「暗中模索」という言葉の意味や正しい使い方を覚えて、上手に使いこなせるようにしてください。
暗中模索の意味や由来とは
「暗中模索」、読み方は「あんちゅうもさく」と読みます。「暗中模索」の意味は、「暗闇の中で、手探りして探すこと」、「手がかりがないまま、色々とやってみること」という意味の四文字熟語です。
こうした行動は、実際の生活の中でもよくあることですよね。何か問題があり、解決しようと取り組んでいるとき、解決方法が全く見つからないので、あれやこれやと試してみる。こうした行動が、正に「暗中模索」をしている行動なわけです。
ところで、この「暗中模索」の由来を調べてみますと、中国唐の時代(618年〜907年)まで遡ります。唐の時代に書かれた「隋唐嘉話(ずいとうかわ)」という説話集の一篇の中に、「暗中摸索著亦可識之(暗中に摸索し著するも亦た之れを識るべし)」という漢文の一節が出てきます。これが「暗中模索」の起源だと言われています。
この話、隋から唐に掛けて権力を奮った「許敬宗(きょけいそう)」という政治家のエピソードを紹介した内容になっています。この許敬宗という人物、政治家として手腕もあり、知性にも優れていた人物だったようです。
しかし、性格や振る舞いにはやや問題があったようで、人の名前に関しては全く覚えようとしない悪い癖の持ち主だったと紹介されています。そうした許敬宗の行いを見かね諫言(かんげん)した人の言葉が、「暗中摸索著亦可識之」と記されています。
この漢文の一節の意味は、「相手が偉い人であるならば、あなたも暗中を模索するように必死で思いだそうとするのでしょう」と苦言を呈する内容です。なかなか、蘊蓄(うんちく)のあるお話で面白いですよね。
暗中模索の使い方を例文でチェック
さて、意味や由来が理解できたところで使い方をご紹介いたしましょう。目標や問題解決に向かって試行錯誤しながら取り組んでいる姿勢を表現しているので、前向きな気持ちを表現する言葉として使う事ができます。
1:「暗中模索の状態から、なんとか新しいやり方を見つけて、やっと難局を乗り越えられた」
2:「暗中模索の中、あなたの助言は、私にとって大きな光明となった」
3:「我が社は、今、立て直しに向けて暗中模索の最中であり、苦しい状況です」
暗中模索の類語にはどのようなものがある?
「暗中模索」に類する四字熟語を幾つかご紹介いたします。意味としては、似通っておりますが微妙な違いがあります。それぞれの意味や使い方を、しっかり理解しておきましょう。
1:五里霧中
五里霧中(ごりむちゅう)」は、物事の様子や手掛かりがつかめず、方針や見込みが立たず困ることを表す四文字熟語です。五里(20km)四方にも及ぶ深い霧に包まれている状態、つまり進む方向すらわからず、佇んでいる状態を意味します。
「暗中模索」とは、微妙な状態の違いがあります。「暗中模索」は「手がかりがないながらも、色々とやって前に進んでいる状態」ですが、「五里霧中」は立ち止まって、戸惑っている状態を表します。また、たまに勘違いをして「五里夢中」と書く人もおられますので、ご注意ください。
具体的な使用例としては、「当時の私は、五里霧中の状態、何をして良いのか全くわかりませんでした」のような表現に用います。
2:試行錯誤
試行錯誤は、新しい物事を成すとき、試みと失敗を繰り返しながら次第に見通しを立てて、解決策や適切な方法を見いだしていくことを表す四文字熟語です。「試行」は試しに行うことで「錯誤」は誤りや間違いのことです。「色々とやって前に進んでいる状態」と表現する言葉としては、「暗中模索」と近い表現ですね。
具体的な使用例としては、「試行錯誤の末、新薬の開発に成功しました。」のように用います。
3:紆余曲折
紆余曲折は、道や川などが曲がりくねること。また、種々込み入っていて複雑なこと。事情が込み入っていて解決に手間どることを表す四文字熟語です。「紆余」は、道などがくねり曲がることで、「曲折」は、折れ曲がっていることです。事情が込み入って複雑で困難な状況を表現する場合などに用いられます。
具体的な使用例としては、「紆余曲折ありましたが、どうにか解決することができました」のように使います。その他、暗中模索の類語としては、「悪戦苦闘」「視界不良」「展望が開けない」などの表現があります。
暗中模索の対義語にはどのようなものがある?
1:一目瞭然(いちもくりょうぜん)
一目瞭然は、一目見ただけで、はっきりとわかること。一目で、物事が明らかになることを意味する四文字熟語です。「一目」は、パッと見ればということで、「瞭然」は、はっきりしていることでです。
具体的な使用例としては、「この状況を見れば、原因は一目瞭然だ」などの使い方をします。
2:熟慮断行(じゅくりょだんこう)
熟慮断行は、十分に考えた上で、思い切って実行することをことを意味する四文字熟語です。「熟慮」は、十分に考えをめぐらすことで、「断行」は思い切って行動することです。
具体的な使用例としては、「リーダーは、常に熟慮断行の人であった欲しい」あるいは「不透明な時代において、経営者には熟慮断行が求められる」などの使い方をします。
3:即決即断(そっけつそくだん)
即決即断は、その場で直ちに物事を決めること。間髪を入れずに決断を下すことを意味する四文字熟語です。「即断」も「即決」も物事に対して判断をすぐに行うこと意味する言葉です。
具体的な使用例としては、「彼の特徴は、何においても即断即決ができるところだ」あるいは「この問題は、即断即決できる様なことではありません」などの使い方をします。
その他の対義語としては、明々白々、顕著、歴然、明確などがあります。上手く使ってください。
暗中模索の英語表現もチェック
「暗中模索」は、中国の漢文が元になった四字熟語です。それにより、英語に訳すときは、直訳的に「grope in the dark」となります。「grope」は動詞で、暗闇の中で具体的な物を探すときに使用します。辞書では「暗闇の中で手探りするように探す」と訳されています。
用法としては「grope for…」の形で使われ「○○を暗中模索する」「○○を手探りする」と訳されます。
最後に
いかがでしたでしょうか? 言葉の意味、使い方としては「暗中模索」状態から脱する事ができたでしょうか?「暗中模索」という言葉、捉え方によっては、諦めることなく、挫けることなく、ひたすら答えを追い求め努力をする姿を、四文字で表現しているとも受け取ることができます。
人生そのものが、正解などあるわけでもなく「暗中模索」のようなものではないでしょうか? 日々の仕事においても、大変な状況であっても、投げ出さず「暗中模索」をしながら、努力する事で、あなたにとってよい方向への向かうのではでしょうか?
厳しい状況になった時、ぜひ「暗中模索」を思い出し実行してみてはいかがでしょう。
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