不要不急ってどんな状況をいうの?
緊急事態宣言を受け、不要不急の外出は控えるよう呼び掛けられていますね。しかし、“不要不急”とは実際にはどういった状況をさすのでしょうか? その意味を紐解いてみましょう。
◆不要不急は必要でもなく、急ぎでもないこと
不要とは『必要でないこと。また、そのさま。不用。』(デジタル大辞泉)をいいます。不急とは『急を要しないこと。今すぐでなくてもよいこと。また、そのさま。』(デジタル大辞泉)をいいます。つまり、不要不急とは必要でもなく、急ぎでもないこと。
今回の新型コロナウィルス感染予防対策として、「不要不急の外出を控える」という趣旨から考えると、“必要もなく急ぎでもないこと”だけでなく、必要だけれど急ぎではないこと、急ぎだけれど必要がないことも今はやめてね、ということだとわかります。
とはいえ、急ぎであることは往々にして必要であることが多いですね。急ぎだけれど重要性が低いことというとしっくりくるでしょうか。必要であり急ぎでもあることが、今回の自粛の対象外の用事といえますね。
◆不要不急はもともとは日本軍が使っていた
不要不急の語源は太平洋戦争時に日本軍が使っていた「不要不急線」という言葉と言われています。武器生産に必要な物資である金属を拠出させるため、軍事上重要ではない鉄道路線を「不要不急線」とし、線路を撤去したことに由来するのだそう。
ちなみに、理路整然と支離滅裂、前途多難と前途洋々などのように反対語がある四字熟語がありますが、不要不急はこれに当てはまらず、必要で急ぎであること、という意味を持つ四字熟語はありません。
◆不要不急は過去にも使われている!
今回の新型コロナウィルス感染予防対応として不要不急が注目を浴びましたが、実は不要不急の外出自粛を求められる場面は過去にもありました。
例えば2003年にSARS(重症急性呼吸器症候群)が流行した際には中国への不要不急の旅行は延期するよう勧告が出されました。また、直近では2018年の大雪や台風に際して不要不急の外出を避けるよう注意喚起がなされました。
今回の不要不急の外出の判断が特に難しい理由は、これまでのように特定の地域に行くことに限定して判断すればいいわけでもなく、また、天候などの一時的な期間で考えればいいわけでもありません。加えて、吹雪や台風など目の当たりにしたら外出をやめておこう、と思うような状況が目の前にあるわけでもない(ウイルスが目に見えない)ことによるのではないでしょうか。
これまでやっていたこと、やりたいことは自分にとっては必要なこと。例えばジェットコースターに乗って叫ぶことだって、ある人にとってはリフレッシュするのに欠かせないことで、不要ではないはず。
急ぐか否かの判断は容易ですが、要不要の判断は各人の価値観が入るために国が一律に決めることは難しいですし、自分にとっては必要だと思っても他人から見たら不要という場合もあるから、自信を持って必要だと判断することにためらいがあるんだと思います。
◆意図を理解して判断しよう
自分にとって必要なことの優先順位をつけるにあたり、『今どうしてもしなければならないことではない、三密の回避が難しい』ならば、新型コロナウイルスが収束してからでも良い、と理解すると少し判断がつけやすくなるのではないでしょうか。
1日も早く緊急事態宣言が解除されるように、そして1日も早く新型コロナウィルスが収束するように、その行動について、必要性と緊急性を言葉にして説明できるかな? と立ち止まってみてくださいね。もう少しみんなでSTAY HOME。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
鶴田初芽
都内在住のOLライター。マナーインストラクターであり、実用マナー検定準一級や敬語力検定準一級など、ビジネスにおけるマナーや、マネーに関する資格(2級ファイナンシャル・プランニング技能士、金融コンプライアンスオフィサー、マイナンバー保護オフィサー)などを保有。丁寧な暮らしに憧れ、断捨離修行中!