転勤が多い男性と結婚したら私のキャリアはどうなるの?
銀行員や自衛官、大手ゼネコンやメーカーの営業など、世の中には全国各地への転勤が伴う職業が意外と多くあります。もしあなたが結婚したいほど好きになった男性が、転勤族だったら…。今回は転勤族と結婚した女性たちの声を紹介します。
◆「一人で単身赴任してよ!」とは言えなかった
転勤を伴う異動の多くは、1ヶ月以上前に内示を出しているようですが、職種によっては、ある日突然知らされる場合もあるようです。ひどいケースは10日前に言い渡されたというケースも。
転勤に帯同するのか、それとも単身赴任で別居をするのか、カップルにとっては、大きな決断が迫られる場面ですよね。なかには、在宅ワークが可能な職種に切り替えたという女性もいますが、一般的な会社勤めをしている女性の場合、自身のキャリアをあきらめたという人も未だに少なくないのが実情です。
◆転勤族と結婚した妻たちの悩み
数年おきに転勤を繰り返している妻は、どのような悩みを抱えているのでしょう?
・「引っ越し作業が毎回大変なんです」(32歳/パート)
転勤のたびに発生するのが、引っ越し作業。ひとり暮らしでも大変なのに、忙しい旦那さんのために代わりに作業するとなると大変です。
特に引っ越しが多い3~4月は、ほかのシーズンに比べて引っ越し費用が倍以上に膨らむことも。最低限の出費は会社が負担してくれますが、足が出たりすることが多いそう。
・「気に入った部屋が見つからない」(31歳/フリーランスPR)
急な転勤が多い場合、物件の内覧などをする時間がなかったという人もいました。
また入居タイミングがずらせない場合などもあり、気に入った部屋に住むことができず、毎回ハズレ物件にばかり住む羽目になるという不満も。在宅ワークに切り替えても、気に入った部屋でないと落ち着かないですよね…。
・「社宅の奥様友だちが苦手です」(34歳/公認会計士)
社宅が用意されている場合は、物件探しの手間はなく、スムーズでよさそう! と思いきや、狭いコミュニティのなかでの人間関係に苦労する人もいました。一方で、病院やお店の情報など、その街のリアルな口コミを教えてもらえるから助かったという人も多かったです。
・「アウェイな環境で妊娠・出産・子育てが大変だった」(30歳/パート)
縁もゆかりもない場所での暮らし。妊娠や出産をすることになっても、身近に頼る人がおらず、不安な思いをしたという人もいました。また転勤族の旦那さんは、職業柄、激務の人が多い様子で、ワンオペ状態でアウェイ育児に陥りがち。産後鬱になりかけたという人もいました。
・「辞令が出るたびに気まずい空気」(35歳/Webサイト制作)
「この春の転勤はないよ」と言われてホッとしていたのも束の間。夫から「やっぱり異動になった」と言われて、顔がひきつってしまったというエピソードも。転勤が繰り返されるごとに、家族にかかるストレスも大きくなっていくようです。
◆転勤族の妻たちの本音
数年おきに繰り返される転勤。愚痴をこぼしたくとも、親や友人から「わかっていて結婚したんでしょ」と突き放されてしまうこともあるそう。当事者たちのなかには、結婚当初はポジティブな気持ちであふれていたけれど、実際なってみて、こんなに大変だとは思わなかったという人も。
2019年の秋には、金融庁が大手銀行や地方銀行に求めてきた不正や癒着の防止のための定期的な異動を撤廃するなど、時代とともに転勤の在り方も変化しています。
また子どもの学校入学や家を建てたタイミングで、単身赴任に切り替える家庭も。ネットがある現代は、SNSなどで転勤妻同士のコミュニティで情報交換したりもできるので、ひとりで抱え込まずに、同じ悩みをシェアできるような人間関係を築いていけるといいかもしれません。
<取材・文・烏丸莉也>
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