2人目妊活・3人目妊活、始めるタイミングは?
出産後、2人目以降の妊活を考える方の中には、「どのタイミングから始めればいいの…?」と悩む方もいらっしゃるかもしれません。実際に、出産にはたくさんのエネルギーを使い、からだにも様々な変化が訪れます。
今回は産後の妊活についてみていきましょう。
◆産後の妊活はいつから可能?
妊娠中は生理が止まり、再び排卵・生理が再開する時期には個人差があります。また、排卵・生理が復活したらすぐ妊活が始めてもよいか、というと、産後の母体には様々な変化があるため、一概におすすめできない場合もあります。
そのため、「産後の妊活は〇ヶ月・〇年から」といった明確な指標はありません。
ここからは産後の母体にどのような変化があり、妊活をスタートされる際にはどのようなことに気をつけなければならないかについてみていきましょう。
◆産後のからだの変化について
妊娠・出産を経た母体には、妊娠前に比べて様々な変化があります。
出産後の妊活に大きく関わるホルモンとして、「プロラクチン」というホルモンがあります。プロラクチンは出産後に急増するホルモンで、母乳が出るのを促したり、「エストロゲン」や「プロゲステロン」といったその他の女性ホルモンを抑制したりするはたらきがあります。
エストロゲンやプロゲステロンは排卵・妊娠に大きく関わる女性ホルモンですので、プロラクチンの分泌が活発な時には妊娠しにくいといわれています。
具体的な期間には個人差があり、2ヶ月程度で排卵が再開し、生理が始まる人もいれば、半年たってもなかなか始まらないという人もいます。
そのほかのからだの変化としては、子宮の収縮があります。
出産後の子宮は妊娠前に比べて約5倍大きくなっています。出産後は「オキシトシン」というホルモンが子宮を収縮させ、およそ6~8週間をかけて元の大きさに戻っていきます。子宮が収縮する際に強い生理痛のようなおなかの痛み(後陣痛)が起こることもありますので、ゆっくりからだを休めることが大切です。
排卵・生理が始まれば、2人目以降の妊娠の可能性はありますが、生理が始まってもホルモンバランスが安定し、母体が妊娠前の状態に回復するまでには時間がかかります。
からだの回復のためにも、まずは出産後に起こるさまざまな変化をよく把握して、無理をしすぎないようにこころがけましょう。
◆産後の妊活、気を付けるべきポイントは?
ママの年齢が35歳以上の場合にははやめの対策を
ここまで、母体のリスクを考えて、なるべくからだの回復を待つことをおすすめしてきましたが、女性の年齢が35歳以上の場合には、からだの回復をみながらも、なるべくはやめの妊活スタートをおすすめします。
35歳以上と比較的高齢での出産には様々なリスクがあります。はやめに医師に相談したうえで、妊活の準備をすすめていかれることをおすすめします。
出産後のセックスや妊娠をしばらく避けなければならないこともある
出産後に夫婦生活をすぐに再開できない場合もあります。例えば、帝王切開で出産した場合は、次の妊娠まで少し多めに時間をとらなければならない場合があります。
また、子宮の収縮に異常がある場合なども、セックスを控える期間を長めにとることがあります。不安に思われる方は、かかりつけの産婦人科医に相談してみることをおすすめします。
夫婦間での認識を合わせ、「予期せぬ妊娠」を避ける
出産後には夫婦間にも様々な変化がおこります。働き方を見直したり、子育て環境を整えたりと考えなければいけないこともたくさんあり、2人目以降の妊娠計画について認識を合わせる時間もなかなかとれないこともあるかもしれません。
「産後すぐには妊娠しない」、「生理が始めるまでは妊娠しない」、「授乳中は妊娠しない」と誤った認識をもってしまうことで予期せぬ妊娠を招く場合があります。
それによって思わぬ夫婦間のトラブルを引き起こしてしまう場合もあります。産後の妊娠についての知識を共有し、2人目以降の計画について話す時間を設けてみてもいいかもしれません。
たとえ「すぐに次の子供がほしい!」と思っていても、産後のママの体は想像以上に大きなダメージを受けているということを忘れず、ご自身のからだやその後の妊娠計画についてじっくりと考えてみてはいかがでしょうか。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。