今の自分に納得いかないなら、見た目から変わるのも大アリ!
通勤メイクやファッションにも自己プロデュース要素はあります。それがしっくりきていない… 何かを変えたいと思っている人は、この本を読めば、目からウロコな価値観に出合えるはず!
1『だから私はメイクする 悪友たちの美意識調査』
美容にまつわる本音で同調圧力から解放されよ!
化粧は嫌いじゃないけれど、自分に今いち自信がない…。そんな人におすすめしたいのが『だから私はメイクする』。編著者の「劇団雌猫」は、平成元年生まれのオタク女子4人組だ。SNSでつながった彼女たちが、インターネットでは言えない美容にまつわる話を集めている。匿名エッセイだからこそ打ち明けられる本音は、読み物としてとびきり面白く、もっと自由にメイクを楽しんでいいんだと思わせてくれる。
たとえば「あだ名が『叶美香』の女」。おしゃれに縁のなかった腐女子が大学生になって化粧を覚えた。オタク気質のためコスメにものめり込んで、どんどんメイクが濃くなっていったという。当時の彼氏が彼女のスッピンを見て言ったセリフには爆笑。ゴージャス&ファビュラスなメイクは、日常生活ではやりすぎに映るのかもしれない。でも「限界を決めない」をモットーに、自分の好きな顔を追い求める姿勢がカッコいい。
キラキラファッションを解禁するのは就業時間が終わってからで、会社では擬態する女、化粧や着飾ることが苦手だったがパーソナルカラーに救われた女など、登場する人はみんな自分を幸せにするために工夫している。何歳になったらこうしなきゃ恥ずかしいとか、男ウケしないとダメとか、妙な圧力をかけてくる人はだれもいない。美意識なんて人それぞれ違っていいんだ、という解放感がそこにはある。
『だから私はメイクする悪友たちの美意識調査』
編著/劇団雌猫 柏書房
自分はなんのために化粧やおしゃれをしたり、ダイエットをするのか。15人の切実で赤裸々な体験談を収録。アンケート調査で、女たちの美容に対する考え方を調査した本。TBSアナウンサー宇垣美里、美容ライター長田杏奈氏のインタビューも参考になる。
2『見た目レシピいかがですか?』
イメージチェンジをした女たちの物語から学ぶ
外見は変えられる。知識や技術に不安があるなら、プロの手を借りるのもひとつの方法だ。椰月美智子『見た目レシピいかがですか?』は、イメージコンサルタント・御手洗繭子をめぐる4人の女性の物語。パーソナルカラー診断とヘアスタイル提案、買い物アドバイスによって、登場人物の見た目だけではなく、意識まで変化していくところに引き込まれる。
コンサルタント自身が主人公の第4話が特に参考になる。彼女のもとに、何を言っても「えーっ?」と否定してかかる客がやってくるのだ。たとえ似合う色やアイテムを教えてもらっても、固定観念に縛られていたら効果はない。まずは自分をよく知り、なりたい目標をきちんと設定した上で、他人の意見も受け入れる柔軟性をもつことが大切なのだろう。
『見た目レシピいかがですか?』
著/椰月美智子 PHP研究所
娘から「参観日でお母さんがいちばんダサかった」と言われた主婦、不倫相手の私服にがっかりするアパレル社員、女らしい格好は似合わないと思い込むロック好きのフリーター。さまざまな女性とイメージコンサルティングの関わりを描く連作短編集。
2019年Oggi3月号「『女』を読む」より
撮影/よねくらりょう 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部
TOP画像/(c)Shutterstock.com
石井千湖
いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』(4月13日発売予定)、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。