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LIFESTYLE

2020.01.21

漫画だからこそ自然と身につく教養がある! いつもと違う世界を覗いてみて

書評家の石井千湖さんが、テーマごとにおすすめ本を紹介してくれる人気連載。今回のテーマは「漫画」。

普段は興味が向かない分野だって、漫画なら軽やかに超えていける!

絵と文字によって1ページから伝わる情報量が多い漫画は、興味がないと思い込んでいる世界でも引き込む力がある。自然と教養が身につく漫画で、知的欲求を満たそう。

1|科学者たちの下宿生活がかわいすぎて愛おしい
『ドミトリーともきんす』

これまでなじみのなかったジャンルについて、初めて学んでみたいと思ったとき、漫画は強い味方になってくれる。高野文子の『ドミトリーともきんす』は、日本を代表する科学者の業績とその著書の魅力を紹介した一冊だ。

主人公のとも子さんと娘のきん子ちゃんがまかなう下宿屋「ともきんす」には、科学を勉強する4人の学生さんが住んでいる。その4人とは、ノーベル物理学賞を受賞した朝永振一郎と湯川秀樹、日本の植物学の父とも呼ばれる牧野富太郎、世界で初めて人工的に雪の結晶をつくり出した中谷宇吉郎。製図ペンを使って描いた、涼やかな絵と穏やかな語り口に引き込まれる。

すらりとした美青年なのに、うどんを食べる自分のヘンテコな顔を鏡に映して遊ぶトモナガ君、紋付袴を身につけて花の雌シベと雄シベの結婚式に出席するマキノ君、ベレー帽をかぶって雪の手紙を読むナカヤ君、詰め襟にメガネで京都弁を話すユカワ君。著者である高野さんのフィルターを通してキャラクター化された科学者はみんなかわいい。ユカワ君がとも子さんにこんなことを言う場面が印象に残る。〈科学とは、〉〈いっぺん遠いところへ行くことなのです〉〈遠いところへ行ってみると、ようわかることがありまして〉。距離を置いて現実を見ることができる科学は、人間にとって必要不可欠なものなのだ。

『ドミトリーともきんす』
著/高野文子 中央公論新社
『黄色い本』などで知られる高野文子が、科学者の言葉を漫画でわかりやすく読み解く。登場人物のおしゃべりの内容は朝永振一郎、牧野富太郎、中谷宇吉郎、湯川秀樹の随筆の引用がもとになっていて、とっつきにくいイメージのある自然科学書を読みたくなる。

2|落語の深さが見える寄席に行きたくなる
『昭和元禄落語心中』

長い歳月を経て残っているものには、必ず人間の心をつかんでやまない何かがある。雲田はるこの『昭和元禄落語心中』は、日本の古典芸能のなかで最も庶民的に楽しまれている落語をテーマにした物語。

刑務所を出たばかりの青年が寄席に行く場面で物語の幕は開く。彼は服役中に聞いた有楽亭八雲の落語にひと目惚れ。弟子をとらないことで知られる八雲のもとに押しかけて、なんとか入門を許されるが…。「昭和最後の大名人」と呼ばれる八雲とその弟子・与太郎の波乱万丈の人生を描く。

天涯孤独で何ももたない与太郎が、なぜ家や仕事を探す前に寄席に行くのかと問われて、〈なんもねェからあすこに行くんだ〉と答えるくだりがすごくいい。芸の道は険しく厳しいものだが、どんな傷がある人でも受け入れてくれる。そんな落語の懐の深さが伝わってくる名作だ。

『昭和元禄落語心中』
著/雲田はるこ 講談社(全10巻)
第21回手塚治虫文化賞新生賞受賞作。元チンピラの与太郎が、親友を失った過去をもつ名人・有楽亭八雲の弟子になり、厳しくも魅惑的な落語の世界に居場所を見出していく。各巻末には初心者向けに落語用語などを解説した漫画を収録。2018年秋にはドラマ化も。

2019年Oggi4月号「『女』を読む」より
撮影/よねくらりょう 構成/宮田典子(HATSU)
再構成/Oggi.jp編集部

TOP画像/(c)Shutterstock.com

石井千湖さん

いしい・ちこ/書評家。大学卒業後、約8年間の書店勤務を経て、現在は新聞や雑誌で主に小説を紹介している。著書に『文豪たちの友情』(4月13日発売予定)、共著に『世界の8大文学賞』『きっとあなたは、あの本が好き。』がある(すべて立東舎)。

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