現在も存在する、鳥かごの“妾”
こんにちは。OLライターのタケ子です。今日はこの“妾(めかけ)”についてお話しましょう。私たちにとって聞き馴染みのない言葉ですが、明治後期まで社会的にもしっかりと使用されていた言葉です。なにせ法的に認められていた地位だったのですから。
私が初めて知ったのは、1985年放送のNHK連続小説「澪つくし」でした。妾の娘役で女優の沢口靖子さんが主演したテレビドラマ。30年以上も前ですが、当時興味本位でDVDをレンタルをして見入ってしまいました。母で妾役の加賀まり子さんの嬉しくも切ない妾心情が伝わってくるドラマだったことを覚えています。
◆妾と不倫の違い
妾と不倫、どちらも既婚男性が本妻とは別の女性と関係を持つこと。ですが、不倫との違い、妾は経済的支援はもちろん、住居まで与えられます。そのうえ、本妻も承認。現代の私たちからは、想像つかないお話みたいでしょ。まさに男が囲う“鳥かご”のよう。
妾の始りは定かではありませんが、明治初期の制定法では本妻と同じく二等親とするよう存在が公認。本妻と同等の権利は与えられませんでしたが、存在を認めるというのは大きいですよね。戸籍にも“妾”と記され、明治後期まで続いたようです。もちろんこれらが出来るのは一般人と呼ばれる男性ではなく、経済的・社会的地位もある男性。妾とは「男の甲斐性」が最も如実に表れるものではないでしょうか。
◆妾としての世間体
“妾”と言ってもさまざまな言い方があります。二号さんやおそばめさん等など。通常住まいや経済支援を受けているので、食べる物には困りません。また旦那さまの稼ぎが良ければ、妾であろうが女中も付いてくる待遇。しかし、世間の風当たりは優しいものではありませんでした。
子どもの存在は妾にとって心強い味方かもしれませんが、本妻の子でないため下に見られ、学校に上がると見下される存在です。また妻ではありませんが、他の男性との交際は認められません。あくまでも家族の一員なのですが、本宅の家族から良い顔されることは稀だったのでしょう。甲斐性のある旦那なら、本宅の子として妾の子を縁組してくれたようです。なぜならば、本宅の子か妾の子では大きく嫁ぎ先が変わってくるからです。
◆昨今の妾事情
妾制度がなくなった現在でも、少なからず存在しているよう。不倫とは違い、本妻の容認や経済的援助の妾は、現在“妾養子”になるケースもあるようなんです。以前テレビで、実業家が本妻に加え、2人の妾を作ったケースが紹介されました。今も昔も法的な財産権利が妾にはないため、養子縁組することで将来的に家族として、なるべく均等になるように考えられたものですが、倫理的にどうなのか疑問符が付きます。
この場合の戸籍上は、妾は旦那の子となる訳ですが、その子との間で男女の生活を営む。いくら養子縁組が可能だからといって許されて良いのでしょうか。私がその母親なら断じて許さないでしょう。何のための一夫一妻制か、なぜ重婚が禁止されているのか考えてもらいたいと思ってしまいます。
しかし「つまらぬ男と結婚するより一流の男の妾におなり」と女優 樋田慶子は言います。一流の男だったら、私はどうしよう… と彼氏なしのアラサーOL、新年のつぶやき。
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OLライター タケ子
恋愛コラムや指南書を読み漁り、婚活の糧にしているOLライター。スイーツや食にも興味あり♪