妊活中の予防接種どうする? 妊活と感染症の関係を解説!
妊活中の方が気にしなければならないこととして、食事・睡眠・運動・飲酒・喫煙など様々なものを紹介してきました。食事や睡眠など生活習慣を整える目的は、子宮や卵巣の環境を整え、赤ちゃんを授かりやすいからだづくりを行うことです。
そして、いつか赤ちゃんを授かるために気を付けなければならない大切なこととしてもう一つ、『感染症の予防』があります。
今回は妊活をはじめたら知っておきたい感染症の話と、毎年冬になると流行する『インフルエンザ』についてみていきましょう。
◆感染症予防はなぜ妊活中に行うの?
妊活を始めるときに、感染症の予防接種を受けることが推奨されています。なぜならば、風疹や水疱瘡などの感染症は胎児に影響を及ぼしかねないからです。
ここでは代表的な疾患をあげ、それぞれどのように対処すればよいかについてみていきましょう。
風疹
妊活中の方が、最も気を付けなければならない感染症が風疹です。
妊娠初期の女性が風疹にかかると、胎児もウイルスに感染してしまいます。その結果、心臓・目・耳などに障害を及ぼす選定性風疹症候群になってしまう可能性があるのです。
さらに、風疹の予防について最も注意するべきことは、妊娠してしまってからでは予防接種を受けることが出来ないということです。定期接種を受けていない人が多いことから、20代~40代の女性のおよそ20%割は風疹の抗体が十分ではないとされています。
これから妊活を始めるという方も現在妊活中の方も、妊娠したときに赤ちゃんを守るため、予防接種はかならず受診しましょう。
はしか(麻疹)
妊娠初期の女性がはしかにかかると流産・早産のリスクを高める可能性があります。
はしかは免疫を持っていない人が感染すると、とても高い確率で発症する、感染力の強い病気です。はしかの予防接種についても、妊娠してから打つことはできませんので、妊娠をする前、つまり妊活を始めたタイミングで接種し、免疫を獲得しておくことが大切です。
水疱瘡(水ぼうそう)
水疱瘡にかかったことのない女性が妊娠すると、妊娠していない場合よりも重症化しやすい傾向にあります。
およそ10~20%が肺炎を併発してしまい、最悪の場合死亡に至る例もあります。水疱瘡のワクチンも風疹と同じく妊婦さんへの接種は行えません。妊活をはじめた時に接種することをおすすめします。
おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)
おたふくかぜが妊娠中の方に悪い影響を与えることは、風疹や麻疹の場合にくらべてまれである、とされていますが、妊娠初期の感染は流産の可能性、妊娠中の感染は低出生体重児が生まれる可能性があるとされています。
これらを防ぐための唯一の対策方法はワクチン接種ですが、妊娠してからではワクチンを接種することができません。こちらも妊活をはじめた時に摂取することをおすすめします。
◆インフルエンザワクチンの接種はOK?
ここまでは、妊活を始めたら必ずチェックしておきたい感染症の対策方法についてみていきました。風疹や麻疹など感染症のワクチンの多くが妊娠中には接種できないことについて初めて知った、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。
では、毎年冬になると流行するインフルエンザの場合はどうでしょうか。妊活中の方の中には「予防接種をうけてもいいの?」と不安に思われる方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、インフルエンザワクチンの接種による母体と赤ちゃんへのリスクは低いことや、不妊治療に用いる薬との飲み合わせの悪さもないことから、妊活中・妊娠中のどちらでも接種することができるとされています。
考えられるリスクとしては、妊娠中の場合インフルエンザが重症化しやすくなることがあげられます。妊娠したときに重症化するのを避けるためにも、インフルエンザが流行する季節がくる前に、ワクチンを接種することをおすすめします。
インフルエンザはワクチンを打っていても防ぎきれないもの。ワクチンを打つことも重要な予防法ですが、手洗い・うがいや生活習慣を整えることも重要な予防法です。
インフルエンザに限らず、どの感染症にもかかりにくい、健康なからだづくりを目指しましょう。
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医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。