「卵子のアンチエイジング」卵子の質を上げるための方法!
卵子の数や質は、妊活においてとても重要な問題であることは広く知られ始めています。
しかし、検査の結果「質の悪い卵子が多い」「卵子が老化している」などと診断された方がどのような対策をすればよいかについては、ご存じない方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そもそも、卵子の質を上げたり、卵子の老化を防いだりするためにできることはあるのでしょうか? 今回は【ミトコンドリア】に注目して、卵子の質の低下を防ぐ方法についてご紹介します。
◆卵子の数の多さだけじゃない! 妊娠しやすさを決める「卵子の質」って?
卵子のアンチエイジングについてお話する前に、卵子の数・質についておさらいしましょう。
卵子の数は妊娠しやすさを決めるうえでの大切な指標となります。一般に卵子の数は生まれたときには約200万個存在し、年を重ねるとともに減っていき、閉経時にほぼ0になります。
このことから、妊活中の方の中には自分がいくつ卵子を持っているかの検査(AMH検査)を受診される方も増えてきています。しかし、卵子の数が多いだけでは妊娠しやすいと言い切ることはできません。
卵子の数とともに重要となるのが受精・成長する能力や正常な染色体を持ち合わせた「質の良い卵子」を持ち合わせているか、ということです。
卵子の質は年齢とともに老化し、老化した卵子は受精しにくくなり、妊娠が難しくなってしまいます。一度質が落ちた卵子を良い状態に戻すことはできませんが、質のいい卵子が老化するのを防ぐ・または老化のスピードを遅くすることは不可能ではありません。
では、その卵子の質の低下(老化)を決める要因は何なのでしょうか? 卵子の質と大きく関わっている器官こそが今回注目する「ミトコンドリア」です。
◆ミトコンドリアと卵子の関係って?
「ミトコンドリア」とは、わたしたちの身体を作っている約90兆個の細胞に存在している細胞内小器官です。
ひとつの細胞内には1~1,000個ほどのミトコンドリアが存在していて、臓器ひとつひとつの働きをサポートしており、なかでも卵子は人体で最もミトコンドリアの数が多いのです。
ほかの臓器と同様に、卵子のはたらきもミトコンドリアによってサポートされています。よって、ミトコンドリアの数が少ない、または機能が低下しているなどの状態の場合、卵子の質が悪く、妊娠しにくいと考えられるのです。
ミトコンドリアが減少したり、機能が低下したりする原因は、加齢やストレス、喫煙、食生活の乱れ、睡眠不足などによって体内に蓄積される活性酸素です。
つまり、活性酸素をからだに溜め込まない行動をこころがけることで、ミトコンドリアが活性化し、卵子の質が下がる(老化する)スピードをおさえることが期待できます。
ここからは、卵子を質のいい状態に保つことを「卵子のアンチエイジング」と呼び、具体的なアンチエイジングの方法についてご紹介します。
◆「卵子のアンチエイジング」って何をするの?
ミトコンドリアに着目して考えると、卵子の質を良い状態に保つためには、1.ミトコンドリアを増やす もしくは、2.ミトコンドリアの機能を高めるという2種類のアプローチができます。
1.ミトコンドリアを増やす方法
ミトコンドリアが増える瞬間とは、エネルギーが足りなくなった時です。たとえば、激しい運動をした後や体が冷えた後、空腹時などがそれらにあたります。
ミトコンドリアを増やすという観点だけでみれば、少し激しい有酸素運動・一時的に体を冷やす行為・意識的にお腹をすかせる行為などが有効的です。
しかし、これらの行動は、からだをあたためてリラックスが必要とされる妊活とは正反対の印象を受ける方もいらっしゃるかもしれません。これらの行動は定常的に行うのではなく、日々の生活の中で一時的に行う程度にとどめることをおすすめします。
2.ミトコンドリアの機能を高める方法
ミトコンドリアの機能を高めるためには、先ほどご紹介した「活性酸素」を発生させないことが最も効果的です。
・腸内環境が乱れている
・アルコールをほぼ毎日摂取している
・大量の薬を服薬している
・過度なストレスがかかっている
以上の中で当てはまるものがある方は、活性酸素を発生させているかも。これらの行動はできる範囲で避けることを心がけましょう。
妊活中の方の中には、日々の生活の中で運動や食事の改善など様々なことに取り組まれている方もたくさんいらっしゃいます。
今回ご紹介した【ミトコンドリアに注目して卵子の質を保つ方法】も、日常生活の見直しによって症状の改善が期待されるものですが、必ず卵子の質を良い状態に保てるとは言い切れません。
なかなか妊娠しない、卵子の質が悪いのかもしれない、という方はかかりつけの医師に相談しながら、できそうなことから初めてみてはいかがでしょうか。
TOP画像/(c)Shutterstock.com
医師 杉山力一
杉山産婦人科院長。不妊治療の名医。日本における生み分け法の権威・杉山四郎医師の孫。
東京医科大学産科婦人科医局では不妊治療・体外受精を専門に研究。その後、1999年より杉山産婦人科勤務。
監修する女性向けアプリ「eggs LAB」では、独自ロジックにより、アプリでの問診で自身の情報を入力することで、これまでにない高い精度での生理日・排卵日予測を実現。不安定な生理周期にも対応した適切なアドバイスや、妊活に関する情報まで、個々の身体の状態にフィットした「あなただけの/あなたのための/今欲しい情報」を発信中。