【目次】
・お詫び状を出す時の基本的な注意点は?
・【法人から法人へ出す場合】お詫び状の書き方
・【法人から個人へ出す場合】お詫び状の書き方
・お詫び状の便箋はどうすればいいか?
お詫び状とは、自分が過ちを冒したり、相手に迷惑を与えたりしてしまった時に書く手紙のことです。相手に会って直接お詫びの言葉を伝えられない時などに有効で、ビジネスシーンではお詫び状を早急に書かなければいけない場面に遭遇することも多々あるはず。
そこで、いざという時に困らないよう、働く大人の女性こそ身につけておきたいお詫び状の書き方をご紹介します。基本的なポイントをお伝えしますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
お詫び状を出す時の基本的な注意点は?
【1】お詫び状はとにかく速やかに出すこと!
お詫びの手紙は一般的に非常に書きにくいものではありますが、できるだけ速やかに届けた方が、相手に誠意が伝わります。書きにくいから… といって、先延ばしにするほど、送りにくくなってしまうもの。過ちに気づいたら、すぐに送ることが大切です。
取り急ぎ、「電話で済ませたからそれでよし」というわけではありません。電話でお詫びをしたうえで、改めて先方に出向いたり、お詫びの手紙を送ったりすることで、こちらの誠意を相手により真摯に伝えることができます。
【2】言い訳はあまりせず、素直に謝罪する気持ちが大切
また、言い訳がましい文章や、責任を誰かに転嫁したり、相手側にも非があったと非難するような書き方は、逆に相手の心証を害してしまう可能性が。また、お詫びの気持ちを最大限に表そうと過大に謝ったり、何度もお詫びの言葉を繰り返したりするのもかえってそらぞらしい印象を与え、逆効果になることも。まずは自分の非礼を素直に謝ること。これが一番です。
【3】原因、対応状況、再発防止策を明確にする
同じ過ちを二度と繰り返さないために、原因や対応状況、再発防止策をしっかり相手に伝えることで、今後も変わらず良い関係性を築いていきたいというこちらの誠意が相手に伝わります。
トラブルの原因はくどくど書くと言い訳がましくなるので、簡潔にまとめることが大切です。現在の対応状況や再発防止策は具体的な内容を盛り込み、相手に明確に伝えましょう。また、日付や文書の番号をしっかり特定して記載しておくと、今後、お互いの誤解やトラブルを防ぐことにもつながります。
【法人から法人へ出す場合】お詫び状の書き方
【1】基本的な文章構成をチェック
まずは基本の文章構成を覚えておきましょう。頭語、結語など基本の構成は一般的な手紙の書き方と一緒です。
1. 頭語、日頃の厚誼に対する感謝など
頭語は「拝啓」よりも丁寧な「謹啓」が用いられることが多いでしょう。急を要する内容ですから、冗長さ、悠長さを避けるため、時候の挨拶や日頃の厚誼に対する御礼の言葉も場合によっては省かれることもあります。まずはこちらの過失を速やかにお詫びをすることが大切です。
2. お詫びの言葉
まず、「ご迷惑をお掛けしてしまい、大変申し訳ありませんでした」など、お詫びの言葉を述べましょう。必要に応じてはその時の状況を簡単に説明してもOKです。
3. 後悔、反省の言葉
「自分のだらしなさに恥じ入るばかりでございます」「自分の不注意さが悔やまれてなりません」「取り返しのつかないことをしてしまったと深く反省しております」「失礼の段、心よりお詫び申し上げます」など、後悔や反省の意思が伝わるように誠意を込めて伝えましょう。
4. 今後の誓い
「今後は二度とこのようなご迷惑をおかけすることのないよう万全を期して参ります」「今後は気を引き締めて精進して参ります」など、これから失敗を繰り返さないことを誓う決意を表しましょう。
5. 再度お詫びの言葉、結語
「どうかお許しくださいますよう心よりお願い申し上げます」「何卒ご寛恕のほどお願い申し上げます」「まずは書面にてお詫び申し上げます」など、もう一度最後にお詫びの言葉とお許しいただけるようお願いする言葉などを記すことが多いでしょう。結語は、頭語との組み合わせで「敬白」など、頭語に対応する語で結びます。
【2】ちょっと細かい注意点について
法人から法人の場合は、しかるべき立場の人が落ち度をきちんと認めて謝罪し、今後の対策を具体的に提案することが大切です。
発信日(発送する日)を必ず入れ、宛名は相手の会社名と責任者にします。担当者レベルで交渉している場合でも、宛名は相手側の責任者宛にするケースがほとんどでしょう。また(株)などと略さずに、正式名で書き、漢字の間違いは絶対にしないよう細心の注意を払いましょう。宛名は差出人よりも大きめの文字サイズで書いて敬意を示します。
差し出し人も同様に、自社の責任者の名前にします。必要なら担当者の名前も入れます。文字サイズは宛名よりも小さめにして、社印、責任者と担当者の印を押します。お詫び状を送る際は上司の承認を得てから送りましょう。
【3】例文を紹介
それでは、「請求書の金額誤りを謝罪する」例文を紹介しますので、参考にしてみてください。
【法人から個人へ出す場合】お詫び状の書き方
【1】基本的な文章構成をチェック
法人から個人にお詫び状を出す場合も、法人から法人へ出す場合と基本の形式は同じです。
基本は、[1]頭語、日頃の厚誼に対する感謝など、[2]お詫びの言葉、[3]後悔、反省の言葉、[4]今後の誓い、[5]再度お詫びの言葉、結語の順で書きます。詳しくは先ほど紹介した上記の内容を参考にしてください。
ただし、異なる点があるとすれば、個人の場合は印鑑よりも担当者のサインの方が適している場合もあるでしょう。
【2】例文を紹介
それでは、「失礼な発言をお詫びする」例文をご紹介しますので、お詫び状を書く時の参考にしてみてください。
お詫び状の便箋はどうすればいいか?
それでは最後に、お詫び状を送る際の便箋について紹介します。便箋の選び方、書き方、折り方にもルールがあるので、ぜひ覚えてくださいね。
【1】縦書きか横書きか?
お詫び状や目上のかたに宛てる手紙は、通常は「縦書き」がもっとも改まった印象を受けます。ただし、ビジネスにおけるお詫び状の場合は、横書きが用いられることもあります。
【2】手書きかPC入力か?
法人から法人の場合は、請求書の間違いや納品ミスなど、手書きよりもPC入力で文書化した方が、相手も見やすく、分かりやすく、やりとりがスムーズな場合が多いでしょう。
法人からお客様など個人に対してお詫び状を差し上げる場合は、手書きもよいかもしれません。手書きのほうが温かみがあり、より一層相手に誠意が伝わるはずです。
【3】便箋の色はどうする?
基本、お詫び状の場合は、「白地」が正式です。白無地で罫線のない便箋がもっともフォーマルとされており、慶弔などあらゆる場面で使用できます。無地なのでまっすぐ書くことが難しいので、付属の線の入った下敷きを使って書くと、きれいに書けます。
白無地、縦罫線入りの便箋でもOKで、こちらもあらゆる場面で使うことができます。派手な絵柄や色付きの便箋は、お詫びなどの改まった内容や目上の方宛の手紙には不向きです。
【4】便箋の折り方について
手紙の折り方は、通常三つ折りが正式な折り方とされています。縦書きの場合、下1/3を折り上げ、上1/3をかぶせるように折り下げて重ねます。相手が封を開いた時に、まず手紙の書き出しの部分が目に入るように折るのが基本とされています。
封筒に入れる時は、封筒の表から見た時に、書き出し部分が左上になるように入れるのが正式です。
以上、ビジネスシーンにおけるお詫び状の書き方でした。いかがでしたか? お詫び状はできるだけ速やかに相手に届けることが重要なため、いざという時に焦って困らないためにも、基本の書き方を普段から身につけておくといいですね。ぜひ、参考にしてみてください。
監修/井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)
参考資料/
「パーフェクトマニュアル 最新 手紙・メールのマナーQ&A事典」(小学館)
「敬語使いこなしパーフェクトマニュアル」(小学館)
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