蚊のことを知って、かゆくない夏を過ごしたい!
自宅だけでなく外出先でもしつこく私たちの夏をおびやかす「蚊」。刺されることで起こるかゆみの不快さはもちろん、感染症にかかってしまう可能性もあるのので注意したいですよね。
そこで「蚊」の被害に合わないためにもまずは「蚊」のことを知りましょう。今回は害虫駆除のエキスパート、アース製薬株式会社 マーケティング総合企画本部 ブランドマーケティング部 シニアブランドマネージャー 渡辺 優一さんに「蚊」のことをお聞きしました。
◆蚊の認知能力はすごい!
蚊は、なんと数十メートル先から吸血のターゲットをロックオンすることが可能! 飛ぶときのスピードは時速約8キロでそれほど速くはありませんが、嗅覚・視覚の他、熱や二酸化炭素も感知します。いくつもの感覚機能を駆使して、人間のもとへやってきます。
◆吸血するのはメスだけ?
すべての蚊が吸血する訳ではありません。オスが栄養源としているのは花の蜜や果汁で、吸血するのはメスだけです。
「パチン」と潰して手を確認したときに「まだ血を吸われていなかった」とほっとすることがありますが、そもそもオスである可能性も考えられます。
通常はメスも花の蜜などを吸っていますが、産卵に必要なタンパク質を摂取するためにメスのみが吸血します。意外と大食いで、1回あたり自分の体重と同量くらいの血を摂取するのだとか。
◆蚊に刺されやすい人とは?
蚊は、汗に含まれる乳酸や二酸化炭素も敏感に察知。そのため、汗をかいている人や、運動や飲酒によって二酸化炭素を多く吐き出す人に集まってきます。逆に言えば、体温が低く、二酸化炭素排出量が少なく、汗をあまりかかない人は、蚊のターゲットになりにくいです。
一般的に血液型ならO型がさされやすいなどと言われますが、実際にはどんな人が蚊に刺されやすいかと言うと、以下のような人が刺されやすいのです。
1.赤ちゃんや子ども
2.妊娠中の女性
3.汗をたくさんかく人
4.飲酒をしている人
5.黒い服を着ている人
大人に比べて体温が高い赤ちゃんや子どもは、蚊のターゲットにされやすくなります。また、個人差はあるものの、妊娠中の女性は基礎代謝が上がり体温が高くなるので蚊にも刺されやすい傾向に。注意しておいて損はありません。
暗い色を好む蚊に狙われやすいのは、黒やネイビーの服を着ている人。日焼けして肌が黒くなると、刺される確率もUPします。キャンプやバーベキューなど蚊に刺されやすい場所へお出かけの際は白い長袖のシャツがおすすめです。
◆蚊が媒介する感染症って?
蚊が媒介する感染症として日本では日本脳炎と、近年ではデング熱が広く知られています。ペットの病気としてフィラリア、海外ではマラリア、デング熱、ウエストナイル熱などがあります。
感染症が大きく取り上げられたのは、2014年8月に約60年ぶりに国内での感染が確認されたデング熱です。その後、日本各地で発症が相次ぎ、立ち入り禁止区域の拡大、イベント中止といった社会問題となりました。
また、近年アメリカ全土を恐怖に陥れているウエストナイル熱は170種以上の鳥を宿主とし、43種以上の蚊が関与しており、感染の拡大を防ぐのは不可能です。航空機などの交通機関による日本への侵入も懸念されています。もっとも大切なのは、蚊に刺されないことです。
遠い国の話ではなくなってきている蚊の被害。実際、地球温暖化で日本も亜熱帯化が進んでいるといわれています。蚊に刺されたらかゆいだけでは済まされない環境にだんだんなってきているのが実情です。だから、私たちアース製薬は、蚊と戦い続けます。
◆外出時・屋外作業時に蚊に刺されないためにできることは?
・長袖を着用し、皮膚の露出を避ける
・「医薬品」「防除用医薬部外品」と記載された虫よけ剤を使用することです。効能や適用害虫等に「蚊」と記載されているものを選びます。
・蚊の吸血時間帯は、種類によって、朝方、日中、夜と違いがあるため、外出時間に関係なく虫よけ剤を使用してください。一般的な虫よけ剤は「ディート」という成分が含まれています。忌避剤なので、刺されるのを防ぐことはできますが、蚊が死ぬことはありません。塗っていない部分が刺されるので、塗りむらのないように、まんべんなくつけてください。効果持続時間は製品や使用場所により違いがあるので、長時間外出する場合は定期的に塗りなおしてください。※水に濡れたりすると、その時間が短くなります。
・小児(12歳未満)に使用させる場合は、保護者などの指導監督のもとで用法用量を守って、使用してください。
◆屋内で蚊に刺されないためにできることは?
・入り込む隙間をなくすことです。ただ、蚊は大変小さな隙間からでも侵入が可能で、人について侵入することもあります。上の階に住んでいるからと安心していても、エレベーター等でビルやマンション内のどこでも移動が可能です。
・蚊とり線香や、液体蚊とり、プッシュ式の蚊とりと、様々なタイプのものが販売されていますので、これらを駆使して蚊のいない空間をキープしましょう。その際、蚊に効くものであることを必ず確認してください。「防除用医薬部外品」の記載があり、効能や適用害虫等に「蚊」と記載されているものを選びましょう。
お話を伺ったのは… アース製薬株式会社 渡辺 優一さん
マーケティング総合企画本部 ブランドマーケティング部 シニアブランドマネージャー。研究部門にて研究員として主に虫ケア用品関連の商品を担当した後、現在役職に就く。