冷え性とは、手や足の先が冷たくなる症状のことで、重症な場合には身体全体が冷たく冷えることも少なくありません。
また、「冷え」だけでなく、肩こりや腰痛、むくみ、倦怠感など様々な不快症状の原因にもなるんです。
【目次】
・【冷え性】そもそも原因って?
・【冷え性】その症状って?
・【冷え性】今すぐにできる対策って?
・【冷え性】漢方が効くってホント? どんな漢方がいいの?
・【冷え性】英語だと何て言う? 日本人特有の症状?
【冷え性】そもそも原因って?
冷え性は女性に多い症状であり、成人女性の半数以上が冷え性を自覚しているとの報告もあります。多くの女性が悩まされる冷え性ですが、そもそも冷え性がどのような原因で引き起こされるのでしょうか?
冷え性の根本的な原因は、手足などの末梢部分の血管が過度に収縮して血行が悪くなることです。血管は筋肉でできており、収縮や拡張を繰り返しています。
この血管の運動を司るのが自律神経で、寒い時期には自律神経の中の交感神経が優位に働いて血管を収縮させ、血流による熱の放出を抑える仕組みが作動します。
一方、暑い時期には副交感神経が優位に働き、血管を拡張することで体温を放出します。このため、自律神経の働きが乱れてこのような血管の運動が正常に行われなくなり、血管が過度に収縮した状態が続くと、身体の一部や全身が冷たくなってしまうのです。
自律神経の乱れはストレスや疲れ、睡眠不足、女性ホルモンバランスの乱れなどによって引き起こされることが多く、働く女性は乱れを引き起こしやすいと考えられます。
また、過度なダイエットによるエネルギー不足や痩せ体型による筋肉量の減少なども冷え性を引き起こす原因となることもあり、夏の時期にはオフィスや公共交通機関などで過剰な冷房に長時間当たることによって冷え性を発症するケースも少なくありません。
このように、女性には冷え性になる原因が多くありますが、男性でも冷え性になる可能性はあります。しかし、男性は熱を作り出す筋肉量が女性よりも多く、冷えを引き起こす皮下脂肪も少ないため、女性よりはるかに冷え性になりにくいとされています。
【冷え性】その症状って?
冷え性はよく見られる症状のため、軽く考えられがちです。しかし、中には思わぬ病気が原因で冷え性が引き起こされていることもあり、決して軽く考えてはいけない症状でもあります。
冷え性を引き起こす病気には次のようなものが挙げられます。
冷え性を引き起こす病気
・自律神経失調症
・更年期障害
・糖尿病
・動脈硬化症
いずれも手足の末梢の血管を過度に収縮させたり、血管そのものに異常を生じる病気が原因となります。
これらの病気は早めに治療を行うことで症状を改善し、合併症の発症リスクが低くなりますので頑固な冷え性が長引く場合には早めに病院で相談するようにしましょう。
【冷え性】今すぐにできる対策って?
足先の冷えがつらい場合には、靴下を履くのがよい言われることがあります。確かに、大量温度が低下した足を靴下で保温することで、冷え性改善効果が期待できる場合もありますが、あくまで一時しのぎ的な対処法と考えましょう。
冷え性を改善するには、靴下は毛糸でできたものや厚手のものが適しています。外出先などでは靴下が履けないという場合でも、自宅にいる間はなるべく長く靴下を履くようにしましょう。また、オフィスではデスクワーク中は温かい靴下を履いておくのもおすすめです。
ただし、睡眠中は靴下を履くことで知らず知らずのうちに汗をかいてしまい、かえって足先が冷えてしまうことがありますので、朝起きた時に足が冷えているという人も睡眠中は温かい靴下を履くのは控えた方がよいでしょう。また、きついゴムが入った靴下は、冷え性によるむくみを助長することがありますので、注意が必要です。
【冷え性】漢方が効くってホント? どんな漢方がいいの?
慢性的な冷え性に悩み、どのような対策を行っても改善しない人におすすめなのが漢方薬の服用です。
漢方薬には様々な効果がある生薬がいくつも含まれており、様々種類がありますがなかには冷え性に効くものもあります。
過度なダイエットや筋力量の減少などによって熱を発するエネルギー不足が原因で生じる冷え性には、十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)や人参養栄湯(にんじんようえいとう)などがおすすめです。
また、末梢部位の血流低下が原因で生じる冷え性には温経湯(うんけいとう)、加味逍遙散(かみしょうようさん)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、むくみがある場合には苓姜朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)などが効果的とされています。
これらの漢方薬は病院で処方してもらうこともできますが、ドラッグストアなどでも市販されており、誰でも購入することができます。
漢方薬は副作用も少ないため、手軽に利用できる市販薬ではありますが、薬の飲み合わせなどによっては思わぬ副作用が生じることもありますので、常用薬がある場合には病院で医師に相談した上で、服用しても問題ない漢方薬を処方してもらいましょう。
【冷え性】英語だと何て言う? 日本人特有の症状?
海外では「冷え性」という概念が存在しない国もあります。しかし、旅行中などに冷房が強く、冷え性が悪化した時などに症状を説明できるよう英語でも表現できるようにしましょう。
「冷え性」という明確な英語は存在しませんが、下記の表現を使うといいでしょう。
・sensivility to the cold
・cold sensitivity
・cold intorerance
こんなふうに表現されます。また、血流低下による冷え性では「poor circulation」などと表現するのも分かりやすいのでおすすめです。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。