IT技術の進歩によって場所に縛られないことが「好きな場所で好きな人と好きな仕事をする」ことも可能な時代に! 人生の選択肢が増しライフスタイルの幅が広がる働き方が今注目を集めています。
このスピンオフコラムでは誌面で追い切れなかった【リモートワーカー】のライフスタイルやお仕事を深掘り。こちらの記事で紹介した女性、石山アンジュさんがどのようにして今のように活躍するようになったのか、さらに詳しくインタビューしました。
ちょっぴり長いですが、働くモチベーションが上がるとってもイイお話です。お時間あるときにぜひご一読ください。
STEP1 新卒でリクルートに就職
「就職活動の年にちょうど東日本大震災が起きました。学生時代は日本テレビイベントコンパニオンとNHKなどの放送局でアルバイトをしていたのですが、そのころは、『ジャーナリストになりたい』と思っていました。震災が起こった際に、海外に行くきっかけがあり、震災直後にベルギーへ。一度は日本に帰らないつもりで滞在をしましたが、大学が再開したと同時に一度帰国し、ゆっくりこれからのことを考えようと思っていました。
ちょうどそのころ、リクルートの面接を受ける機会に恵まれ、2回目の面接で当時の社長である柏木前社長とお会いし、お話に大変感銘を受けました。『夢を追いかけるのも大事だけども、明日焼け野原になっても、ゼロから1を生み出せる人材になりたい』と、震災前と震災後では気持ちが変化していることを感じて。だからこそ、リクルートという会社は最初の土壌としてピッタリなのではないかと考え、まずは3年働いてみようと思えたのです」
STEP2 社会を変えたいと思った
「リクルートに就職し、最初に配属されたのは人材カンパニーというHRの部署。だれもが知っているような会社の採用の支援やHR支援が主な仕事でした。新卒採用の採用支援、女性の管理職の研修制度を作ったり、海外採用、研修制度、ダイバーシティ推進など企業の人事部が困っていること全般を支援するような内容です。
リクルートでの3年間は充実した毎日でした。広告代理店とコンペをして年間数千万円というプロジェクトに携わったりもしました。肩書きは営業ですが、社内のクリエイターや、コピーライター、コンサルチームをまとめて一緒にひとつのものを作るプロデューサーのような役割でした。
3年目に入ったところで景気の変動によって新卒採用市場における学生のチャンスが不可抗力的に変わってしまう現状や、大企業の女性の管理職が増えないことへの組織的な課題、マネジメントにおけるメンタルなどの問題など、大きな組織であるがゆえの組織的な歪みを目の当たりにしました。仕事にはやりがいを感じていた一方で、“組織”と“個人”のアンバランスさに、違和感を感じることもありました。それらの違和感をきっかけに、個人と組織が対等で、今以上に自由になれる選択肢はないのだろうかと、求めるようになりました。
そんな中出合ったのが『クラウドソーシング』です。クラウドソーシングとは、個人が企業に属さなくても、パソコンさえあれば、好きな場所で、好きな時間に、好きな仕事をすることが可能な、自由な働き方です。そこで、クラウドワークスという会社に転職しました。クラウドワークスは、個人がパソコンさえあれば場所には囚われずプロジェクト形式で仕事を受けることができる、サービスを提供している会社です」
STEP3 クラウドワークスへ転職
「クラウドワークスは、個人がパソコンさえあれば場所には囚われずプロジェクト形式で仕事を受けることができるサービスを提供している会社です。当初私は、経営企画、IR、広報を担当し、現在は政府などの窓口となる渉外という担当もしています。
さまざまなユーザーさんに会って、新しい働き方で人生を変え、自分らしい人生を送っている姿を目の当たりにした。『これからは個人が主体的に生きていくことが可能になる時代だ』と、思ったんです。それが2年半くらい前のこと。個人個人が主体的に働くことのできる職場環境の整備を進めていく必要があるとより強く感じました。
また、『働く』という側面からだけではなく、これから私たちに必要な『豊かさ』を考えたときに、『人とのつながり』こそが重要なのではないかと考えるようになりました。私もそのひとりですが、今の若い世代は経済的には豊かであるにも関わらず、なかなか『豊かさ』を感じずらいのではないでしょうか。みんな、なんとなく寂しくて、なんとなく孤独です。
その理由は人との繋がりが希薄化しているからではないのかなと。そこで出会ったのが『シェアリングエコノミー』という考え方。個人と個人が直接つながって、モノや場所や時間、情報の売買・貸し借りを行うシェアリングエコノミーは、個人と個人が生活において『つながり』の中で支え合う『共助』な社会を作ることができる可能性を感じました」
STEP4 仕事とライフスタイルの組み合わせで複数の肩書きを得る
「実は、実家もシェアハウス、東京でもシェアハウスで暮らし。海外に旅行にいく際はAirbnbやUberなどを以前から利用しており、シェアサービスを日常的に使っていたことをきっかけに、あるメディアで、“シェアガール”という肩書きで連載を持たせていただくことになりました。
連載をきっかけに講演などさまざまな機会をいただき、2017年には、政府からシェアリングエコノミーを自治体に普及する『シェアリングエコノミー伝道師』を拝命しました。所属しているシェアリングエコノミー協会でも立ち上げ当時から関わらせていただき、だんだんと活動の幅が広がっていったんです。
現在は、2つの企業、2つの業界団体、個人事業主として政府の仕事やメディア活動を行っています。次なる挑戦は、企業・行政・Ciftのような市民活動、それぞれで肩書きを持って仕事をしてきた経験を活かし、イノベーションと政治・政策を結ぶような活動にチャレンジしたいと考えています。
ミレニアル世代の起業家が増えてきていたり、日々テクノロジーによる新しいサービスがどんどん生まれている一方で、仕組みを支える、制度やルールが時代にマッチしていないと日々課題感を感じています。だからこそ、今の立場から、企業・行政のパイプ役になり、時代に追いついていないものをアップデートして行きたいと思います。社会起業家や政治家もひとつの選択肢ですね」
最後に…
▲“Cift”にある石山さんの居室。白を基調にしたインテリアは清潔感と女性らしさがあふれる
今回のインタビューに大変心を打たれた担当編集。志や理念を持って働くことの美しさとすばらしさ! 同じ働く女性として精進したいと、勝手に心に誓いました。最後に質問です、英語はお得意ですか?
「大学がICUだったんです。帰国子女でもハーフでもなんでもなくて。大学に入学してから超スパルタで勉強しました。講義はほとんど英語でしたし…」
このキャリアは偶然でも運でもなく、努力の賜物というワケですね。貴重なお話をありがとうございました。これからのご活躍も影ながら応援させていただきます!
さまざまな流れが変わろうとしているこの現代で、人生の選択肢が確実に広がっています。石山さんが現在の働き方にたどり着くまでのキャリアをなぞることで、みなさんの今後のライフプランを考えるきっかけとなれば幸いです。
撮影/豊田和志 構成/村上花名(本誌)
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