アラサー世代の結婚について、渋谷のBar Bossaのオーナー、林伸次さんにアドバイスをいただくこの連載。前回は、言いにくいことを指摘してくれたり、自分を鼓舞してくれる存在ができることが結婚のありがたみ、と語ってくれた林さん。もうひとつ、結婚を通してかけがえのないものを得られたそうなので、ここではそれについて根掘り葉掘りつっこんでみました!
人生の中で、孤独じゃないと思えるって、とても幸せなこと
「結婚相談所を運営している友人がいて、あるとき、なぜ結婚を勧めるのか? と聞いたことがあるんです。彼いわく、人にとって一番辛いのは“孤独”だと。全世界が敵になっても絶対に自分の味方でいてくれる、と信じられる存在がいることは素晴らしい、だから結婚を勧めるんだと言っていました。人生の中で、孤独じゃないと思えるって、とても幸せなことですよね。そこまで信頼できる相手って、簡単に作れるものではないですし。ある書籍で読んだのですが、人間の脳にはもともと、“仲間になりたい”という欲求が強く刻まれているらしくて。つまり、本能的にひとりでいることの辛さがわかっていて(子孫を残すという意味でもありますが)、だからこそ友人や恋人など、仲間を求めるんだと思うんです。
ちょっと話は逸れますが、僕も、自分が大病をした際自力で救急車を呼ぶことができず、それに気づいた妻が代わりに電話をかけてくれた、という経験をしたことがあって。今でも、あのときひとりだったらどうなっていただろう、と想像するとゾッとします。ありきたりかもしれないですが、やはり、弱っているときにそばに誰かいてくれるってありがたいことですよね。結婚を通して“ひとりじゃないこと”に対する感謝を改めて実感しました」
「結婚って、孤独じゃないことを実感できると同時に、物事を共有できる相手がいる、ということでもあるんです。例えば相手と一緒に何かを観て、楽しいという感情を共有したり、数年後にあのときこうだったね、なんてふたりで振り返ってみたり。そんなちょっとした思い出を日々積み上げていくことができるのが、結婚のよさじゃないでしょうか。一緒に過ごす時間が積もっていくことが愛であり、死ぬまでひとりじゃないという安心感を得られるのが、何より一番大きいと思います」
結婚にさほど興味のなかった方も、このエピソードには心動かされたのでは? 結婚のありがたみをたっぷり語っていただいたところで、さていよいよ次回は「どうやって結婚/婚活すればいいのか?」という部分について、具体的なエピソードを交えつつ解説していただきます。
第4回【婚活アプリ】は必ずしも結婚につながらない!? 林伸次さんに聞く! アラサー世代に伝えたい婚活の心得
第2回【結婚で得られるかけがえのないもの】林伸次さんに聞く! アラサー世代に伝えたい婚活の心得
PROFILE|林伸次
1969年生まれ、徳島県出身。1997年、渋谷に「bar bossa」をオープン。ブラジルに住んでいた際に魅了された音楽、ボサノヴァが静かにかかる大人のためのワインバーとして人気を集めている。ボサノヴァにまつわる寄稿や執筆多数。『Oggi』本誌にて「渋谷のバーのマスターから、少しだけ恋に疲れたあなたに伝えたいここだけの話」連載中。近著に『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか−僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』がある。
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