アラサー世代の結婚について、渋谷のBar Bossaのオーナー、林伸次さんと考えるこの連載。第2回は、結婚をされている林さんならではの目線で、ご自身の経験も含めた“結婚のよさ”について語っていただきました。
口臭いよ、って妻ははっきり指摘してくれるんです(笑)
「前回、無理して結婚をする必要はないとお話ししましたが、僕自身は結婚してよかったと思っています。そのひとつが、“人が言いにくいことでもズバッと言ってくれる”人が側にいるということ。みなさんも経験があるかもしれませんが、友人との食事中、歯に海苔がついていたとして、それって指摘できますか? 物言いが少しキツイ友人に、言い方が悪いと注意できますか? ちょっと言いにくいな、と見ないふりをしてしまうことが大半ではないでしょうか。
例えば、僕は職業柄人と接することがメインなわけですが、口が臭かったら仕事が成立しません。でもそんなこと、そうそう周囲の人は言ってくれません。それを臆せず、口臭いよ、って妻ははっきり指摘してくれるんです(笑)。そういうデリケートな、マイナス面のことを言ってくれる存在って、配偶者だけじゃないかと僕は思っていて。なぜそれを指摘できるかというと、結婚という契約を結んでいるがゆえの信頼感や安心感があるからなんですよね。恋人の時点では、その契約を簡単に破棄されてしまうリスクがあるけれど、結婚となるとそう簡単に関係を解消できません。結婚という契約を結んだ男女だからこそできることだと思うんです」
自分のことを自分以外の人が見てくれているって、すごくありがたい
「もうひとつ結婚のよさとして実感しているのが、お互いを高め合える存在ができたということ。僕は妻に、付き合う前の1カ月間、毎日ラブレターを送っていたのですが、その中で、いずれすごい作家になるからその印税だけで暮らせるようになります、ということを書いていて。それ以来、3、4年に一度、まだ作家にならないの? と妻につっこまれるんです。バーでの仕事が忙しいから、なんてそのときどきには言い訳するんですが……また数年後に同じ質問をしてくる(笑)。自分ひとりで生きていたら、過去に決めた夢や目標を隅に追いやることもできますが、そうやって自分を鼓舞してくれる存在が、実際書籍やブログを書く原動力になっています。自分のことを、自分以外の人が見てくれている、ってすごくありがたいことだなと思うんです」
自分にあるマイナス面の要素を遠慮なく言ってくれたり、ひとりだと後回しにしてしまいそうなことを指摘してくれたり……結婚したからこそ得られた貴重な存在、と奥様について語る林さんの言葉を通して、結婚って素敵! と改めて実感した方も多いのでは? 実はもうひとつ、結婚をすることですごく大きなものを得られたんです、と言う林さん。結婚のさらなる魅力については、次回でたっぷりご紹介します!
第3回【結婚=ひとりじゃないと思えること】林伸次さんに聞く! アラサー世代に伝えたい婚活の心得
第1回【そもそも結婚ってしなきゃいけないの?】林伸次さんに聞く! アラサー世代に伝えたい婚活の心得
PROFILE|林伸次
1969年生まれ、徳島県出身。1997年、渋谷に「bar bossa」をオープン。ブラジルに住んでいた際に魅了された音楽、ボサノヴァが静かにかかる大人のためのワインバーとして人気を集めている。ボサノヴァにまつわる寄稿や執筆多数。『Oggi』本誌にて「渋谷のバーのマスターから、少しだけ恋に疲れたあなたに伝えたいここだけの話」連載中。近著に『バーのマスターはなぜネクタイをしているのか−僕が渋谷でワインバーを続けられた理由』がある。
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ホームページ : http://www.barbossa.com