「いい男」ってだれのこと?
婚活という言葉、定着しましたね。僕は毎日のようにバーのカウンターで色々と女性から聞いているのですが、よく耳にするのが「いい男がいない」というものです。
僕が思うに「いい男がいない」という理由は、合コンや婚活パーティといった男女の出会いの場にそういう男性が参加していないというのが考えられます。
男性でよくあるパターンは「もうとにかく仕事や趣味が大好き」という人です。何かを研究していたり、しょっちゅう仕事で海外に行っていたり、資格や仕事のステップアップのために勉強していたり、自分だけの趣味に没頭していたりという人です。男性には本当にこういう人が多いです。
そういうタイプで、そんなに男女の出会いや恋愛ごとにこだわらない男性は、合コンやアプリでいろんな女性と会ってルックスや条件で選んだりしないで、小さいサークルの中で「気が合う女性」を選んで結婚するということです。
ちょっと想像してみてください。研究室で毎日「いつかノーベル賞をとるぞ」と思って難しい実験をしている男性を。あるいは世界の貧困地域に出かけてそこで現地の人と泥だらけになって農場を作ったり技術を教えたりしている男性を。彼らは合コンに参加しないですよね。そして彼らは半径5メートルの小さいサークルの中の気が合う女性と結婚するんです。
こういう種類の男性って世の中にすごくたくさんいます。別に研究者じゃなくても普通の会社にもたくさんいます。そして彼らは合コンに参加しません。アプリにも登録しません。
そしてそんな彼らと出会うには、そこに入るのがいちばんの近道です。ボランティアや歴史研究会、読書会、実はそういうサークルってたくさんあるんです。彼らはお洒落なレストランに連れて行ってくれないかもしれないですが、良い旦那さんになるのはまちがいありません。
BAR BOSSA 林 伸次
1969年徳島県生まれ。レコード屋、ブラジル料理屋、バー勤務を経て、1997年渋谷にワンイバー「BAR BOSSA」をオープンする。カウンターの向こう側から、そこに集う人の人間模様を見守り続け、エッセイストとしても活躍。2018年7月には待望の初の恋愛小説『恋はいつもなにげなく始まってなにげなく終わる』(幻冬舎)を発表。スタンダードナンバーの音楽とお酒のエピソードとともに綴られるのは、切なさの溢れるラブストーリー。学生から大人世代まで、自身の恋の記憶を呼び起こす珠玉の一冊。Amazonのページはコチラ