咳はよく見られる症状の一つですが、中にはアレルギーが原因で引き起こされることもあります。
病気による咳とアレルギーによる咳は治療法や対処法が異なり、間違った方法を続けていると症状が長引いたり、悪化につながることも少なくありません。
ここでは、アレルギーによる咳と病気による咳の見分け方について詳しく解説します。
【目次】
・【咳】こんな咳の場合はアレルギーを疑おう
・【咳】こんな咳の場合は病気を疑おう
【咳】こんな咳の場合はアレルギーを疑おう
アレルギーによる咳は、花粉やハウスダストなどのアレルゲンがのどに侵入し、気道粘膜のむくみや炎症を生じることによって引き起こされます。
また、気道のアレルギー症状が長く続くと、気温差や乾燥した空気などの些細な刺激によって咳が生じやすくなる「咳ぜんそく」や気道狭窄によって呼吸困難などを引き起こす「気管支喘息」に進行することも少なくありません。
アレルギーによる咳には以下のような特徴がありますので、咳が長引く場合は軽く考えずに早めに病院を受診するようにしましょう。
アレルギーによる咳の特徴
・のどのイガイガ感が強く、乾いた咳がでる
・特定の場所に行ったり、特定のものを口にしたりすると咳が止まらなくなる
・花粉症の時期にのみ咳が出やすくなる
・気温の変化や乾燥によって咳が出やすくなる
・就寝中や明け方に咳がひどくなる
・咳止めを内服しても三週間以上咳が続く
・鼻水や鼻詰まり、目のかゆみ、目やになど他のアレルギー症状を伴う
・少量の透明~白色の痰がからむことがある
・子どものころアトピーだった
【咳】こんな咳の場合は病気を疑おう
一方、咳は病気によって引き起こされることもあります。最も多い原因は、のどの炎症を生じる風邪やインフルエンザなどの感染症です。
のどの粘膜には、細菌やウイルスなどの病原体、ホコリやチリなどの異物をキャッチして気道や肺への侵入を防ぐための「線毛」と呼ばれる構造が密生しています。
線毛の表面は粘液で覆われており、のどに炎症が生じると粘液の産生量が増える性質があります。
増加した粘液は「痰」として体外へ排出されるようになりますが、痰を排出しやすくなるために咳やくしゃみが引き起こされるのです。
その他にも、肺がんや肺結核、肺血栓塞栓症などの重篤な肺の病気で咳が生じることもあります。
病気による咳の特徴には以下のようなものが挙げられます。
病気による咳の特徴4
・発熱やのどの痛みなどの症状を伴い、それらの症状が良くなるにつれて咳も治まってくる
・黄色~緑色の粘り気のある痰が多く出る
・胸の痛みや息苦しさを伴う
・痰に血液が混じることがある
重篤な病気が潜んでいることもありますので、早めに病院を受診して検査・治療をするようにしましょう。
成田亜希子先生
一般内科医。プライベートでは二児の母。
保健所勤務経験もあり、医療行政や母子保健、感染症に詳しい。
国立医療科学院などでの研修も積む。
日本内科学会、日本感染症学会、日本公衆衛生学会所属。