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LIFESTYLE

2019.02.17

ファーストデイトで「文喫」は、お互いの距離感を最速で近づけるための最高の場所

消費家、黒島美紀子さんのエッセイブログ。今回のテーマは「文喫」です。

黒島美紀子

待ち合わせの場所、それは「文喫で」

「ファーストデイト」

この言葉の持つ意味。女子にとってこの言葉はいくつになってもとても大きい。

たまたま誘われ、行った男女5人での夜のご飯会。その時にたまたま横に座ったあの彼。

どこかのIT企業のプランナーだとは知っていたけれど、おとなしいという印象だけだった彼が、隣の席で会話をするうち、一回りも大きく、そして頼もしい存在に見えたあの夜。

そんな彼から「もう一度二人で話をしませんか? ゆっくり」

なんて誘いが深夜に入って、胸がちょっとチクチクするような、久しぶりの高揚感。
こういう時の女子は、いくつになっても少女のような恥じらいを取り戻す。

何を着て行こう?
どんな会話をしよう?

相手の情報があまりない時ほど、こっちもソワソワ緊張感が高まるものだ。そんな心配を見越したかのように、彼からの返信メールで来た

待ち合わせの場所、それは「文喫で」

ぶんきつ?

ちょっとググってみる。え、六本木? それも駅の近く。
この頃とんとご無沙汰なエリア。外人さんと夜の街っていうイメージだ。

「待ち合わせは土曜の15時」
昼ごはんでも夜ご飯でもない。そんな時間?

「寒いし、入ったところで待っていてね」
で、何屋さん? 本屋?

ちょっと興味はそそられるけれど、本なんてこのところほとんど買ってない。
スマホ、ネット、デジタルの世界でしか活字と触れる機会がない、今日この頃。

すこし楽しみだ。

入場料は先払いシステム。デートで文喫、その中身は?

彼と無事に「文喫」で会えた土曜日の午後、私はまず、びっくりした。
ここは入る時に先に入場料を払うのだった。

静かな店内。

私とおしゃべりしたいんじゃなかったんだ。。。

本屋なんて一人でも楽しめるじゃん、と心の中で少しガッカリする私。

「自分の興味のある本を何冊でも持ってきて読めるんだよ、ここは」
カフェスペースにある窓際の素敵なクッションの場所を陣取った彼は、ここの使い方を教えてくれた。

ふーん。

うっすらピンクがかった店内も柔らかいトーンと居心地の良いデザイン、人は皆、くつろいだ姿でそれぞれに本をよんでいる。

私の気持ちもすこしずつ和らぐ。

さて、どんな本を選ぶか?
食、ファッション、アート、トラベル、文学。。。

彼を前に文字のいっぱい並んだ文学にじっくり集中はできまい。トラベルと食のコーナーで本を見てみる。

パラパラとベトナム案内本を見る。赤のデザインがかわいい本。
ふと横を見ると、「ホノルル、ブラジル」という名の紀行書がある。

ホノルルとブラジル? なんか変な組み合わせ。トラベルガイドの横にある洒落た装丁。
確かにどっちも「旅」ではあるか。

手にとって戻った私の本を見て、彼は言った。
「あ、偶然だね。僕もハワイの本」
選んだ数冊の中から取り出した一冊。

きちんとして真面目そうな彼がゆる〜いハワイ、それもスーパーマーケットの本!
そのギャップがおもしろくてつい笑ってしまった。

「あ、バカにしているでしょう!!! でも僕は現地のローカルフードとか面白い缶詰とかが大好きなんだ。デザインも異国情緒あるし。観光より地元の生活に触れる方が楽しいと思う」

続けて彼は言った。

「そのホノルルの小説も面白そう。単なるトラベルガイドの情報より、小説とか誰かの文章からのインスピレーションで気持ちを盛り上げる方がずっと素敵だよね」

なんかちょっと鼻が高い。この本を選んでよかった。
コーヒーを片手に、二人で向き合い、時々読書、ときどき会話。
そんなポツリポツリの会話が逆に圧迫感もなくて心地よい。

数時間がは瞬く間に過ぎていった。

「ファーストデイト」

それは私にも彼にとっても、ちょっとドキドキするハードルの高い1回目。
「本と向き合う」彼、「本について語る」彼を見られたことで、直接言葉を交わすより、深く人としての彼がわかった気がする。

「お互いときちんと向き合う」にはまだ情報が少なかった私たち。本という存在が二人を近づけたことは間違いない。

彼の「文喫」チョイスはお互いの距離感を最速で近づけるための作戦だったのかもしれない。

「どれか買っていく? べつに買わなくてもいいんだよ」

帰り際、静かにレジ前で聞いてきた彼に、「このホノルル、ブラジルをじっくり読んで、ハワイ行き、もしかしたらブラジル行き? の気持ちを高めてみます!」と返した私。

まだまだ、ちょっとぎこちない関係な二人だけど、もしかしたら、一緒にワイキキで地元のスーパーを散策する時もくるかもしれない。

少なくとも今、私はこの人に当面は関わっていきたい。

そんな風に思えた文喫での「ファーストデイト」だった。

「文喫」ってどんな場所? どんな風に使う?

そもそも文喫とは

ここにはブックディレクターが選んだ約30000冊の本がずらり。
それも基本的には1冊ずつしか置いてありません。どんなに新書の話題本でも。

一期一会。
そんな言葉が心をよぎる。

買いたい本を買うならもう、ネットでいい。
ここではジャケット? チラ見? はたまたここで最後まで読破?

いままで出会わないような本に出会う場所。それが文喫

▲(こんな本、なぜあるんだろう?笑)

▲こういうファッションの本は高くて買えないし、重いからこういうゆっくり読めるところはありがたい。

ちなみに店舗全体に広がる薄いピンクの世界、これは「初恋ピンク」と言うそうです。

本に恋する? それとも隣に一緒にいる人に?

面白いと思ったらすぐアマゾンとかで買ってしまう人に

そんなに買っていつ読むの? 家のソファの周りは買って積まれた本だらけ。そう「ツンドク」タイプ。

家には誘惑が多い。テレビ、ネット、エトセトラ。

そんな人はぜひここへ。

チェックインしている皆さんの「本を読むぞ」という熱意に煽られて、自然に「読む」行為に移行できるでしょう。

気になる本を数冊手に取り、そのままデスクへgo。

ちょっと齧って、気になったら買って帰るのもよし。イントロだけ楽しんで、後日ネットでポチるのもよし。

本屋なのに書斎のような静けさ。集中したいときに

「お静かに」なんて札があるわけではないけれど、自然にみんなヒソヒソ声となる。

よく見ると、パソコンを広げて打ち込んでいるひと、ノートに色々メモを取る人。本なんか読んでいない人もわんさかいる。

アイデア出しなんかの数時間の集中作業にはうってつけの静けさ。
コーヒー、お茶も自由にいただけるし、なんなら参考図書も山のようにある。

六本木にいるのを忘れて自分の作業に集中できる異空間。

仕事が終わらない彼を待つ、デートまでの待ち時間に

せっかくの週末金曜日。なのに彼の仕事がまだまだ終わらない。
「ごめん、なるべく早くでるけど、部長のOKが出ないと帰れないんだよ。。」

私は早く会社を抜け出したからあと数時間のギャップがある。
ショッピングも飽きたし、、一人でバーにいるのも手持ち無沙汰。

そんな時に頭をカッカさせずに彼を待つのには最適なプレイス、ここ文喫。
チェックインをしたら、本のお供はアルコール。ビールかワイン、いやウイスキーのソーダ割り?

アルコールの力で気を安め、そして選書はぐっと胸にくるような恋愛小説しばりで行こう。
汗かきながら走ってあなたの元を目指してくる彼を、優しい気持ちで迎えられること、間違いなし。

いちばんのおすすめは…

返本台。
たくさんの本を抱えこんで楽しんだ後、帰る時はまとめてポン。この台に返却する。それが返本台。

そこがちょっとカオスで面白い。

人が選んだ後の本の山。
そこに意外とお宝が隠れているのだ。

『軍隊指揮・ドイツ国防軍戦闘教範』

そんな分厚い本が返本台にあった時はちょっとびっくりして、思わず手にとる。

この本を選んだ人はどんな人? コワイ人?
いやいや、よくよく中を見てみると「現代の孫子と称せられる勝利のドクトリン」。

そうか、人を、人の心を動かす術、そんなことが学びたかったビジネスマンかな、読んだ人はきっと。

他人の抱えている本、返本台にある本、どんな気持ちでこの本をえらんだのか? そんな見方も面白い。

小腹を満たしたいときにも

牛ほほ肉のハヤシライス。厚切りトースト。カスタードプリン。カカオニブのチョコレートケーキ。

アルコール、ノンアルコール以外にこんなメニューが。

バターがとろけ始めた厚切りトーストをほおばりながら、本のページをめくっている隣の男性を見て、ちょっと羨ましくなる。

読書という行為には糖質は絶対必要要素なのだ。

そう自分を肯定しながらオーダーカウンターへと向かう。(本に油しみがつかないように気をつけなくちゃ)

それでもどうしても中に入る勇気のないあなたへ

1500円の入場料を払って中に入る勇気がない場合。

手前の企画展示スペースと雑誌コーナーからレッツトライ。
2月いっぱいは文喫が選書した“恋”についての本がずらり。

あなたの「恋」は献身的な恋? 友達? エロス? それとも狂気?

どれもなんか読みたくなる。(今の私は男ともだちの気分、かな?)

本が山積みの世界。本に囲まれた自分。

まんがも、トラベルも難しい人文学も、でもビジュアルだけで楽しいファッションやアートの本も。

どの本にも今までの人間の歴史が紡いだ人知が詰まっている。
人はなぜだかそこに安らかさを感じるようだ。

まずはそんなイントロを味わってから、おそるおそる次のステップへ。
そう、まだまだ私たちはたくさんの時間が残されている。

この階段の先に「本との出会い」の新しいかたちが待っている!

黒島美紀子 MKシンディケイツ代表

消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。


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Oggi5月号46ページに掲載しているアルアバイルのライトベージュのジャケットの値段に誤りがありました。正しくは¥49,500になります。
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