理系男子。もしかしたら「ちょっと苦手なタイプかも…」と思っている方も多いのでは? サッパリ理解できない彼氏の言動。すれ違いばかりの同僚。理屈っぽくてイヤな上司…そんな人は必読の理系男子の取り扱い方です。
なぜ「理系男子」は資料の細かいミスを指摘するのか?
今回も、主にビジネスシーンでよくある題材を使い、理系男子の特性をわかりやすく説明します。もちろんその対応方法にも触れますのでぜひお付き合いくださいね。
まず前回の内容を少し復習しましょう。
いわゆる理系の勉強や研究では、厳密さがとても重要でした。
たとえば数学なら少しでも論理矛盾があったり、1つでも計算ミスがあればその解法は「間違い」とされます。コンピューターのプログラムも、1つでもエラーがあれば動作に影響が出るので「失敗」とされます。医薬品の開発なども、ほんのわずかな分量の違いの中で勝負している世界です。
つまり、正確できっちりしていないものは「ダメなもの」「不快なもの」という価値観があります。それゆえ、「適当に◯◯しておいて」といった類いの指示はとても困惑してしまう。前回はそんな内容でした。
ではここからが今回の本題。
そんな理系出身者は、ビジネスシーンでは次のような言動を(悪気はないのですが)してしまうことがあります。
たとえば会議などで紙の資料が配布されたとします。その資料の中にデータの記載ミスを発見(たとえばあるデータが1桁間違っていたとします)。正直、会議の内容には影響しない小さなミスです。しかし、こういうものを見逃せないのです。
「ここのデータ、間違ってるよ。この資料の内容、信じていいの?」
あえて感じ悪い(苦笑)言い回しで表現しましたが、要するに読む価値のある資料なのかという確認です。大人なんだし、会議の内容には影響しそうもないのであればなにも触れずにサラリと流す余裕も欲しいところです。
しかし、ほんのわずかのエラーでも「失敗」と評価される環境で苦しんだ経験のある理系出身者は、つい見逃せずに指摘してしまう傾向があります。常に「細部」が勝負であり、そして「細部」で痛い目にあってきたがゆえに、細部に気を遣っていないその仕事ぶりが不快だという気持ちもあります。
ではそんな理系出身者の性に対してどう対処していくか。大きくふたつあります。
1.細かいところまでチェックした正しい情報を資料に記載する。
2.必要以上に紙の資料を使わない。
1は当然といえるでしょう。
しかし、私は2を推奨します。可能ならば口頭で説明して話を終える。紙の資料は極力少なくする。こちらの方向でいきたいものです。実際、現代のビジネスシーンでは「紙1枚で説明できること」が良しとされることが増えてきていますしね。
最後に少しだけ余談です。私の専門でもある数学では、数学者の仕事のひとつに、他の学者が証明したものを検証するというものがあります。先述したように、数学は少しでも論理矛盾があったり、1つでも計算ミスがあれば「残念ながらすべてNG」と評価します。
つまり、ミスがないことを確かめる(裏を返せばミスを探すこと)も仕事なのです。
そういう理由もあり、私は理系出身者にはなるべくミスを探したくなるようなものは見せないほうが得策だと考えます。
結果として紙の資料が少なくなり、かつ余計なツッコミをももらうこともない。一石二鳥ではないでしょうか。
深沢真太郎 ビジネス数学の専門家/人材教育コンサルタント
BMコンサルティング株式会社代表取締役/多摩大学非常勤講師/理学修士(数学)
ビジネスパーソンの思考力や数字力を鍛える「ビジネス数学」を提唱し人財育成に従事。著作多数。
文化放送「The News Masters TOKYO」ニュースマスター
ラジオ『深沢真太郎のビジネス数学カフェ』パーソナリティ
パールハーバープロダクション所属(文化人タレント)
国内初のビジネス数学検定1級AAA認定者
公式チャンネル「ビジネス数学TV」