湿らせる掃除は菌を増やす…!?
みなさんは、普段お掃除シートを使って掃除をするとき、ドライシートを使っていますか? それともウェットシートを使っていますか?
なんとなくで使っている人もいると思いますが、実は、使い方を誤ると菌を増殖させてしまう可能性も…そこで今回は、洗剤化学のスペシャリスト・かずのすけ先生に、お掃除シートの使い方について教えていただきました。

汚れを取りながら雑巾掛けもできる掃除用のウェットシート。便利なようですが、実は色々と問題点があります。
ウェットシートはただ水で濡れているだけでなく、成分として「除菌剤」や「洗浄剤」などが配合されています。しかし困ったことにウェットシートは化粧品ではないので、除菌剤や洗浄剤の成分名を書く必要がありません。
ですから何が入っているのかは詳しくはわかりません。しかもこれらの成分は揮発してなくなるわけではないので、ウェットシートで拭けばその度に残って蓄積していく心配も…。特に子どもやペットがいる家庭では使いたくない気がします。
「アルカリ電解水」など水とイメージさせて安全性が高そうに見えても、実際には皮膚刺激の強いアルカリ剤が溶けている場合があるので注意が必要です。
そもそも雑菌は水分がないと生きられないため、乾燥していれば雑菌が増殖することはありません。それなのにわざわざ床を濡らしていたら、雑菌にとってうれしい環境を作ってあげているようなものです。
ホコリや髪の毛はドライシートの静電気で吸着!

主な床の汚れは、髪の毛やホコリ。ホコリの主成分は生き物の表面の皮膚の塊や、カビ・ダニの死骸、生き物の残滓みたいなものが集まってできています。
そして、こういった生き物の体表物質はプラスの静電気を帯やすい性質があります。
プラスの静電気を帯びた汚れはマイナスの静電気に引き寄せられます。その力を利用したのが「ドライシート」です。ドライシートはマイナスの静電気を帯びやすい「ポリエステル繊維」でできているため、床の汚れを引き寄せてスイスイ掃除ができるというわけです。
また、ポリエステル繊維そのものが油を吸収しやすい性質を持っているため、油汚れにも強く、掃除の強い味方になってくれます。
乾燥しているものならティッシュでも良いのでは? と思う人もいるかもしれませんが、ティッシュは「セルロース繊維(綿と同じ素材)」からできていて帯電しにくく、ホコリを吸着する力はありません。
髪の毛やホコリといった日常の床汚れを掃除するアイテムには、「ポリエステル繊維」や「アクリレート繊維」でできているかどうかを目安にすると良いでしょう。
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