肌トラブルの原因に!? 柔軟剤を避けたい理由
洗濯物をふわふわの柔らかい仕上がりにしてくれることから人気の柔軟剤。でも、成分や効能をちゃんと理解して使っていますか?
実は、洗剤化学のスペシャリスト・かずのすけ先生によると、刺激が強いことから敏感肌の人は使わないほうが良いのだとか…。
そこで、「柔軟剤」を使う際の注意点について、かずのすけ先生に教えていただきました。
洗濯洗剤の主成分はマイナスの静電気を帯びる「陰イオン界面活性剤」ですが、柔軟剤の主成分とは、一体何でしょうか?
実は柔軟剤の主成分も同じく界面活性剤の一種で、こちらはプラスの静電気を帯びる「陽イオン界面活性剤」と呼ばれるものです。マイナスに帯電した繊維をプラスの電気で中和することで柔軟性を付与しているのです。
柔軟剤を入れた方がふわふわになって肌刺激が少なくなる…と思っている人もいるかもしれませんが、実は最近ではアトピーや肌荒れで悩む患者さんに柔軟剤の使用を控えるように指導する皮膚科も増えています。
柔軟剤の主成分である陽イオン界面活性剤は通常の洗剤よりも刺激や毒性が強く、柔軟剤を使用した衣類が原因で肌荒れが悪化するケースが増えている場合もあるのです。
洗剤は流れる性質ですが、柔軟剤は衣類に残留しやすいため、肌トラブルに結びつきやすいともいえます。
低刺激タイプもあるが、市場では絶滅危惧種
現在市場で出回っている一般的な柔軟剤は、「エステル型ジアルキルアンモニウム塩」という成分が主流で、これは「第四級アンモニウム塩」の一種です。抗菌剤として配合されている塩化ベンザルコニウムなどと比較すると、毒性も弱く生分解性にも配慮した成分であることに違いはありませんが、それでも肌が弱い人にはお勧めと言える成分ではありません。
一方、柔軟剤成分には敏感肌向けの低刺激なタイプもあります。それが「アミド型アルキルアミン塩」などの成分で、「第三級アミン塩」という低刺激型の陽イオン界面活性剤です。柔軟効果は第四級アンモニウム塩には及びませんが、敏感肌でも問題なく使用できる低刺激性が売りの成分です。
また「両性イオン界面活性剤」を柔軟剤として代用する方法もあります。両性イオン界面活性剤は弱酸性で弱い柔軟効果を持つので、この作用を利用した低刺激な製品もあります。
ただし、低刺激である「第三級アミン塩」や「両性イオン界面活性剤」の成分を含むいずれのタイプも、市場ではほとんど入手できない絶滅危惧種です。
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