文房具には各々の「マイ規格」がある
町の文房具屋さんというものはどんどんその姿を消している。
それもそのはず、「ゲルインキがなくなった」「付箋を買いたい」と思っても、コンビニや本屋のでも文房具は売っているのだから。
でも社会人になってから「規格」というものに気づいた。それも「マイ規格」。
例えば、ペン。私は、ボールペンは筆のすべりがちょっと重たいと感じてしまう。だから、ゲルインキができてからすっかりゲルボールペンのトリコになってしまった。色々なものを試した結果、今のお気に入りは色とスベリを合わせて「ハイテックCコレト」というやつ。
インクは限りなく黒に近いネイビーブルーと少し赤みが抑えられた「チェリーピンク」を愛用中。だって、黒だとあまり可愛くないからね。しかも、メモやスケジュール帳の途中でペンの色が変わってしまうのも嫌。付箋も同じもので統一したいの!
それが「マイ規格」。どうしても譲れない、自分の中の規格。
例えばメモ用のノートはずっと同じシリーズを使いたい、とかも同じこと(だって並べた時の高さが不均一とか嫌ですよね)。だから、コンビニや本屋の一角に飛び込んだ時、自分の欲しいブランドのものがなかった時は、焦りまくる。だって今までのルーティンを変えたくないじゃん。
種類が豊富な「ロフト」の手帳売り場で、来年のダイアリーを探した結果…
11月の終わりのある日、私は渋谷ロフトにいた。そう、「2019年のダイアリー」を探しにきたのだ。
10年くらい前に”清水の舞台”から飛び降りる覚悟で買った、エルメスの手帳を使っていたのだが、もう見ての通り革のツブツブも消えかけてしまった。少し前にステッチもほどけて修理に出したくらい使い込んでいる状態。
以前は持ち運びを考えて、メモ帳もダイアリーと同じ大きさにこだわっていたのだが、ページが小さいと書く分量も少なく、余計にページばかりかさむのでこの大きさに変更した。
もしかして、そろそろ違うものにチャレンジすべき時期が来たか!? なんとなくフッと湧いたこの気持ちにつられてロフトに来たのだった。
さて、長年の「マイ規格」を変えることができるのか…!?
店内には、サラリーマンや学生など多くの人がダイヤリーを探しにきていた。しかし、たくさん種類があって、どれにしたらいいのかわからない。
1位は、一部上場まで果たした糸井重里さんの『ほぼ日』手帳。ほぼ日の定番である1日1ページのタイプから最近はウィークリーまで種類が豊富。
1日1ページって、みんな何を書いているんだろう….!? 私は予定以外そんなに書くことがないから、1日1ページだと無駄な余白が残ってしまう。きっと、みなスケジュールというよりも「自分の記録」として使っているのだろう。
しかし、私の生活は日々、週ごと、そして毎年、ある意味やっていることが違う。毎日スケジュール管理が必要で、かつ持ち歩いて走り回る私にはもう少しコンパクトなものがやっぱりいい。
先日お邪魔したロフトさんの内覧会で学生向け手帳部門で大賞として表彰されていたこの、『スタディプランナー』。
3ヶ月間の中で目標を立て、それの達成までのスケジュール管理をするという手帳。学生の間で流行っているらしいインスタグラムのハッシュタグ「#勉強垢」でもこの手の手帳が人気だそう。今は資格を取りたい社会人にもじわじわと人気が広がっているとか。
色も可愛く、使い方も丁寧に説明付き。何より、専用マーカー、専用付箋、シールなどでカラートーンも揃えておしゃれにスケジュール管理ができるという(しかし、私なら、綺麗にこのプランナーに書き込んだだけで、勉強してなくても達成感ハンパなく出ちゃいそう…)。
売り場には似た様な学生様の○○達成ダイアリーに溢れていた(就活verとか資格取得verとか…)。今の学生さんてほんと真面目だなぁ(遊んでいた記憶しかない、クロシマ)。
しかし、そういう目線で見ていると、今の手帳って、とにかくいろんな種類がある。
江戸文化を見直し、二十四節気をきちんと感じる手帳をはじめ、美容手帳、しきたり手帳、月の満ち欠けをきちんと感じる手帳などなど…とにかく種類が豊富。
「自分の夢を叶える」とか「マインドフルネス」系も増えていて、学生しかり、こう漫然と日々を生きるのではなく、自分の目標は自分のあり方をしっかり考えていらっしゃる方が多いのだろうか? ほぼ日もある意味自分の生き様の記録だしなぁ。
(そこまで全然考えていない自分に反省ーなクロシマ。。。)
でもこんなほっこり県民手帳もあったり…(ほっ)。ご当地名物や名所が記されてて普通に楽しい♫
前述の通り、毎日やることもいる場所もかかる時間も違う私。色々目移りしたけれど、結果ウィークリーで見渡せるバーチカルタイプがいい、という結果に落ち着いた。(いつも仕事場が一緒で時間ごとの動きがない方には逆に不便かもしれませんが…)
でもワークライフバランス、働き方改革の現代。自分の時間の使い方も細かく数ヶ月も先まで書き込めるこのタイプ、昔に比べて断然シェアが増えている! 仕事もプライベートも一元管理(色を分けるともっと便利ですよ)。
そうそう、このタイプだと移動時間も想定できるので尚更便利なんです。昔はこのバーチカルを探すのは結構大変だった…。やっぱりみんな時間の使い方が変わって来ているのね。
と、あれ…あれ!?
いたーーーーっ! ふと、横を見ると、仕事の知り合いタロウさんも手帳をじっくり眺めていた。彼も空いた時間を使って来年のダイアリーを探しに来たという(やっぱりそういう時期なのよ)。
彼のイチオシはこの「ジブン手帳」だという。専用のメモ帳も独立で売っていて、収納ポケット、専用カバーなど付属商品なども種類が豊富。
おぉ、ここで腑に落ちる。
ダイアリーを買う時にいつも困るのが最後のほうに少しだけオマケでついているメモ欄。
打ち合わせなどもある我々としてはメモはもっと莫大な量を使うわけだ。
なので、ダイアリーとメモ帳は別に持っている。この最後のオマケはメモ帳を忘れた時に緊急で使うくらいしか使い道がなかった。
「ジブン手帳」、ダイアリーはダイアリーだけで独立しており、メモはいつでも追加できるセパレート方式だった。それもダイアリーは私好みのバーチカル! タローさん、さすがっす。こりゃ使い勝手がよさそうだ。
「なにげに最後についている日本地図の白図。ここに自分が行った温泉とか出張の場所とか書き込むと年末達成感ありますよー」だって。それも楽しそう♫
で結局、クロシマは何を買ったか?
「マイ規格」から離れることができず、お約束のエルメスに、お約束のバーチカル(バッグに入るサイズってのも決め手だった)。
やれやれ。自分の長年の「規格」を外れるのにはもう少し時間が必要だった。来年、いや再来年(2020年だし)こそは、この長い(くたびれた)相棒のエルメスを卒業しよっかね。
2019年のダイアリー、まだ購入してない方! 急げー。売り場へ!
新しい自分の達成を目標に新しい相棒を迎え入れるか、「マイ規格」を大事に2019年を迎えるか、どっちでもアナタ次第です!
「え、まだ紙のダイアリー使ってんの? 私、もうスマホのスケジューラーで全て管理してるよー」(えええぇーっ)。
やっぱそっち?すでにみんなデジタルの社会!? 会社のスケジュールだけじゃなくて、全て!?!? 紙に残さないの?みんなーっ!!!
取り残されてるのーっ?消費家クロシマ(とタロウさん)…。
【編集後記】
その後タロウさんからは「ジブン手帳買ったけど、、まだフラフラしてますー」って連絡きた。 みんな「マイ規格」からの脱却と執着の間で悩んでいるんだ(ってこれまた、私とタロウさんだけ!? みんなすんなりデジタル化〜!?泣)
#スタディプランナー
#ほぼ日手帳
#ジブン手帳
初出:しごとなでしこ
黒島美紀子 MKシンディケイツ代表
消費家・商業マーケティングコンサルタント
アパレル、セレクトショップ・百貨店を経て独立起業して早や10年余。数々のお買い物の実践と失敗を繰り返し、ファッション、ビューティ、グルメ、ライフスタイルの動向を消費者目線で考察。また、世界各地の商業スペースやブランドをチェック、消費活動を通じたマーケティングを行い、企業と消費者を結ぶ。